津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

孝之に家督・・・?

2011-01-12 16:28:38 | 歴史

 今までまったく気づかないでいたが、護貞様の御著「細川幽齋」の慶長四年己亥の試筆の紹介に、括弧書で(『衆妙集』には「孝之に家督相続し侍るとての元旦に」とあり)として、つぎの歌が紹介されている。

        あら玉の今年はよをもゆづりはの常盤の色にならへとぞ思ふ

 孝之は幽齋の四男、天正十三年生まれとされるから長兄・忠興とは22歳も歳が離れている。称長岡、茶知丸、茶千丸、孝(幸)紀、與十郎、與一郎、中務少輔、薙髪後休齋宗也
幽齋五十一歳のころの生まれであるから、可愛がりようも一方ならぬものがあったのであろう。時慶卿記に「ちゃち」と記されて幽齋ともどもの消息が窺える。

 豊前に入り香春城を預かり25,000石これが幽齋の隠居料だとされる。上記慶長四年に正式に家督されたのだろうか。いささか勉強不足で承知しないでいる。
のちに退身、忠利から三百人扶持を与えられている。忠利公の豊前時代の「御侍帳并軽輩末々共ニ」にもそのことが記されている。家記では窺えない娘(二女か)の名が「十良」とあり、百石が与えられている。「とら」と読むのか、「幽齋様五男(ママ)也・長岡中務孝之殿女」とある。

 叔父孝之は、一つしか歳の違わぬ忠利にとっては扱いにくい存在であったらしく、表立ってのぼやきの文書も残されている。

       我等おち休斎事我等申候事を不被聞候間中を違候 就其
       又上度由被申候間主儘与申候 乍去我等者中違二而候
       故、三齋ハ御構候事不成候故、立允笑止かり主知行所へ
       よひ候て置候様ニ聞候緞(ママ)又其替り被上候事も可在之
       候 段々約束違候て心儘二候間右之分ニ候 それ故主身
       躰之事も今ハ構不申候 何事そと可存候間申遣候 段々
       御入候なかき儀ニ候間、此度不申候 左門殿なと御尋候
       ハゝ此前かしらをそり京へ被上候時 色々かための書物な
       と被申付候 左様之事違候とて腹を被立しかり被申候由ニ
       候 今弟之知行へはいり候而被居候由承候通御尋候ハゝ
       可申事
            (熊本縣史料・近世編第二 p140 該当部分抜粋)

 肥後入国後は兄・三齋から500石の禄を得ている。(上記文書では、「今弟之知行へはいり候」とあるが?)三齋が亡くなって二年後正保四年七月七日卒高桐院に葬られた。歳六十三。泰林院一空宗也

 付け足し:護貞様の御著「魚雁録」にある一文に、「香春」にルビがあり「かはる」とあった。
        難読地名の一つで、校正の間違いであろうが「かわら」が正解である。

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細川家と妙立寺

2011-01-12 08:34:46 | 歴史

 重賢公夫人は由婦姫様、21歳の時31歳の重賢公のもとへ嫁がれた。久我通兄公の姫様である。不幸なことに眼疾に罹られ、後に失明される。御子を成さなかった由婦姫は、重賢公に対し側室を置くように薦められたという。金澤氏女・此井は世子治年を生んだ。又小陣氏女・嘉門は親姫(細川長門守興徳・室)と夭折した二男豪次を生んだ。重賢公の側室はこの二人だけであったと伝えられる。

 私は現在、丹後から豊前・肥後へと細川家に随従してきた妙立寺(熊本市横手町)の文書の解読に当っている。先にも書いたが、綱利の側室仁田氏(熊-安住院)のお墓がある。長男與一郎(14才没)、二男吉利(18才没)の生母である。
この妙立寺文書に「治年公御安痘之御祈祷披 仰付此井殿ヨリ依頼格別ニ披差免本堂鐘樓門迄燈申候」とあり、但し書きとして「差迫火等之節者高張ニ仕御位牌等守護仕妙乗寺江立退候筈之心得之事」とあり、藩主家との深い関係が窺える一文に出会った。

 治年公は天明五年末重賢公の遺領相続、七年熊本に在った治年は二月廿八日参勤の為熊本を立ち、四月八日江戸についた。その後吐血し浮腫が生じ、九月十六日に亡くなる事と成る。此井が妙立寺に祈祷を依頼したのはこの時期ではないのか。そしてこの時期此井が熊本に在ることを示す貴重な資料といえる。重賢公は側室については名前で呼ぶようにされたというが、この文書でも「此井殿」と書かれており、それを裏付けている。

 このような隠れた文書に出会うと、解読の苦労も一度に消し飛んでしまう。
ちなみに妙立寺は、「丹後與佐郡府中中村 田邊ヨリ六里 根本法華堂 禜昌山妙立寺」だとする。幽齋公の籠城時については残念ながら記述がない。

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