どうやら梅雨に入ったようだ。もっとも現在は曇り空で、雨が降り出すのは夕方からのようだが。
梅雨といえば「増殖する俳句歳時記」に梅雨に関する不思議な句が掲載されている。
梅雨と書き陳者と書き嫌になりぬ 永作火童
歳を重ねた昨今、手紙を書こうと思うと相当の物理的・体力的消耗をきたす。思いをいかに伝えようかとペンを走らせていると、字句を間違えたり書き損じたり、文章の辻褄があわなくなったり、難儀に思うことが多い。
時折、気分が乗らずペンを置き数時間後に改めて書いたりする。明らかにインクの色が変わり、書き改めなければならないことがある。
最近はパソコンを使うことにしているので、加筆や修正や簡単で楽をしているが、最後のあて名書きや、自分の署名は自筆としている。
私は永作火童という人について、まったく知識を持たないが、どうやら私が大好きは俳人・久保田万太郎の俳風を受け継ぐ人らしい。
生没年も判らないでいるが「陳者」などという書き出しで手紙をしたためて居られたのだろうか。
随分以前古文書の中にこの「陳者」が現れ、何と読むのか、どういう意味なのか全く分からず往生したことを思い出す。
大辞林の解説によると、「のぶ(述ぶ)れば」と読み「候文の手紙で、冒頭のあいさつのあと、本文に入る前に書く語。申しあげますが。さて。」の意とある。
時候の挨拶を述べ、さて(陳者)とまで書いて、梅雨に入ったうっとうしさと、今から書き綴らねばならない事柄を思いうっとうしさが重なっていく想いが理解できる。すごいな~と思い知らされる。
今年の梅雨は長梅雨になるとか聞く。うっとうしい事ではある。