津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■六月十四日・祇園会

2017-06-16 18:25:19 | 史料

 「歳序雑話」という古い記録がある。熊本の歳時記ともいうべきものだが、六月の項の「祇園会」を抜粋してみた。
原文は白文であるが、これが掲載されている「日本都市生活史料集成3ー城下町篇1」では「レ点や一二、送りカナ」が振られている。
それでも中々読むのに難儀するが、チャレンジしてみた。

   (六月)十四日は祇園会也、七日より十三日に至ル、社頭ニ詣デ尊卑於道路ニ支(わか)ルコト竹葦ノ如ク稲麻ニ似タリ、
   一駄橋ノ前後、社壇ニ及マデ茶店ヲ構エ、仮屋ヲ飾リ種々ノ売買ノ珍異、玩弄ノ具物、酒肴ヲ置時果ヲ備エ、来往ノ求ヲ
   俟ツ、又道ノ傍ノ乞食人、声々ニ一銭ヲ求ム、是國初ヨリ河原ノ地ヲ卜(ボク)シ、曾テ世ノ交リ無シ、故ニ寛仁ノ世ニ
   至テモ猶斯ノ如ク乎、往反朝ヨリ暮ニ至リ、暮ヨリ明ニ達ス、夜々月光明々、水色清々、涼風袖ヲ翻ス、故ニ遊舟ニ棹シ、
   坪井ノ流ヲ降リル、一駄橋ノ下ニ至リ、棹ヲ閣(お)キテ往還ノ行粧ヲ見レバ、多々舟中酒ヲ置キ、吟風弄月楽ヲ以テ尽
   ス、亦女童ノ商売ノ遊船傍ニ有リ、倡瞽(しょうこ)ハ淫楽ノ器ヲ鳴シ、淫風ノ歌ヲ謳ウ、種々其ノ求ムルハ一種ニ非ザ
   ル也、陸者ハ舟中ヲ窺ヒ、舟者ハ陸路ヲ仰グ、述ベキ情患耳ヲ忘ル、
   祭日ハ両座ニ於テ申楽ノ能ヲ興行ス、舞台上下ノ桟敷、芝居ノ結構、巨細毫ヲ以テシ難シ、六曹ノ一人上ニ代リテ至リ見
   ル焉士長群臣列ヲ曳キ席ニ著ス、臘次ヲ敢テ乱サズ、其式御所ノ体ト異ル莫シ、楽七番ヲ以テ限ト為ス

難しい熟語があり解しがたいが、喧噪の中の祭りの様子が見事に白文の中に凝縮されている。
ざわめきの中に人々の笑顔が見えるようである。

                    

 かっての祇園社、現在の北岡神社では6月30日「夏越の大祓」の茅の輪くぐりが催される。むかしの賑わいを取り戻したいものだ。

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■夢の中の作句

2017-06-16 09:55:37 | 俳句

         籐椅子の母が手の止む団扇かな  津々

 夢には何の前触れもない。久しぶりに母の夢を見た。
母の一人居の住まいはなだらかな丘陵地に建っている。母が一人で建てた家である。一人でというのは自らの労力でという意味である。
私が時折訪れて何本かの木を植えた。
またたく間に成木となって爽やかな木陰を作った。不思議なことにこの夢は何度も見る連続ものである。

昨晩(今朝かもしれない)の夢は、その粗末な家の縁側で籐椅子で母が昼寝をしている。団扇で風を送っていた手が止まって寝入ってしまったようだ。
夢とは不思議なもので、そんな母の様子を見ながら私も夢の中で俳句を作っている。

朝目が覚めると、その句のすべては覚えていない。こんなものだったろうと思ってメモに控えた。
どうやら昨日のTV「プレバド」で、辛口のコメントをされていた夏井いつき先生の見事な添削に、大いに感心したことが影響しているようにも思える。
添削をお願いするとどんな句に変身するのだろう。

 

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