一昨日お訪ねしたO家から、十数点の古文書をお預かりしてきた。
御赦免開きに関するものや、質地に対する税、召出しにあたって組への状等内容は多岐にわたっている。
そんな中に、天保五年十一月一日「伝授」と書かれた文書があった。
ご紹介する写真は、切り張りなどして現物とは少々状態を異にするが、三種の和歌が記されている。
O家のご先代が読み下しにチャレンジされた書付が残っていたが、読めない字が多々見られ随分苦労されたことが伺える。
その部分の10文字ばかりを読み解いた後、「西行法師 〇〇〇〇〇」と歌の頭部分を打ち込んでインターネット献策してみると答えが出た。
月をよみ侍りける 西行法師
(一) 人もみぬ よしなき山の末までに
すむらん月の影をこそ思へ (山家心中集)
(ニ) うき身こそいとひなからも哀
なれ 月を詠(ながめ)て年のへぬれば (山家心中集)
虫をよめる 西行法師
(三) 秋の夜をひとりやなぎてあか(明)さまし
ともなふ虫の聲なか里せは (玉葉集・秋)
(ニ)に「月を詠て」と読んでみたものの意味が通じない。なんと「ながめて」と読むと知った。
しばしの間、奥ゆかしい和歌の世界を楽しんだことであった。