津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■西行法師・歌

2017-06-07 12:29:38 | 史料

 一昨日お訪ねしたO家から、十数点の古文書をお預かりしてきた。
御赦免開きに関するものや、質地に対する税、召出しにあたって組への状等内容は多岐にわたっている。
そんな中に、天保五年十一月一日「伝授」と書かれた文書があった。
ご紹介する写真は、切り張りなどして現物とは少々状態を異にするが、三種の和歌が記されている。
O家のご先代が読み下しにチャレンジされた書付が残っていたが、読めない字が多々見られ随分苦労されたことが伺える。
その部分の10文字ばかりを読み解いた後、「西行法師 〇〇〇〇〇」と歌の頭部分を打ち込んでインターネット献策してみると答えが出た。

           月をよみ侍りける  西行法師
    (一) 人もみぬ よしなき山の末までに
        すむらん月の影をこそ思へ             (山家心中集)
    (ニ) うき身こそいとひなからも哀
        なれ 月を詠(ながめ)て年のへぬれば        (山家心中集)

           虫をよめる  西行法師
    (三) 秋の夜をひとりやなぎてあか(明)さまし
        ともなふ虫の聲なか里せは             (玉葉集・秋)

(ニ)に「月を詠て」と読んでみたものの意味が通じない。なんと「ながめて」と読むと知った。
しばしの間、奥ゆかしい和歌の世界を楽しんだことであった。

 

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