神野紗希と言う女流俳人の編著「日めくり子規・漱石 俳句でめぐる365日」の6月21日は、子規の次の句が紹介されている。
六月を奇麗な風の吹くことよ 子規(明治28年)
明治27年(1894)夏に日清戦争が勃発すると、子規は翌28年4月近衛師団つきの従軍記者として遼東半島に渡ったものの、上陸した2日後に下関条約が調印されたため、同年5月帰国の途についた。その船中で喀血して重態に陥り、神戸病院に入院。7月、須磨保養院で療養したのち、松山に帰郷した。喀血したことから、「鳴いて血を吐く」と言われているホトトギスに準えて、ホトトギスの漢字表記の「子規」を自分の俳号とした。(ウイキペディアから要約)
この句はそんな時期の句である。
最近引っ越した我が家は、以前の3階から5階に高登りした。東南角であるため、窓を開け放つと気持ちの良い風が部屋の中を吹き抜ける。
子規が言う「綺麗な風」の意が今一つ理解できないが、梅雨の中休みの時期に吹き抜ける爽やかな風だと考えると、私は子規と同じ感慨の中にある。
夜中も窓を開けて寝ると、風邪を引きそうな冷たい風が吹き抜けて心地よいが、ついでといえば「石わくど(蛙)」の大合唱が余計ものであった。
同じ時期漱石は「どっしりとしりをすえたるかぼちゃかな」(明治28年)という句をものにしている。
ふと次の句が浮かんだ。
どっしりと尻据えて啼くわくどかな 津々