Sightsong

自縄自縛日記

スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』と最近のライヴ

2009-11-22 22:58:50 | ポップス

中高生の頃、MTVなどを観ては夢中になっている姉がいたせいか、「洋楽」というものが鬱陶しく、ろくに聴いてこなかった。スティーヴィー・ワンダーも例外ではなかった。そんな狭い了見ではいけない。

『SONG TO SOUL』というBS-TBSの番組があって、毎回何か1曲を採りあげている。以前、スティーヴィー・ワンダーの「Sir Duke」を特集した回(>> リンク)をツマが観ていた。ああこれ、いけるねと気が付き、この歳になってスティーヴィーが気になる存在になってしまった。

「Sir Duke」は、亡くなったばかりのデューク・エリントンに捧げた曲。決してあのジャングル・サウンドを真似たものではないが、賑々しい幸福感には共通するものがある。番組の解説によると、『Talking Book』(1972年)に収録された「You Are The Sunshine Of My Life」は、「Take the "A" Train」に倣って、イントロをホール・トーン(全音階だけの関係)にしている。決して「Sir Duke」のタイトルを思いつきで付けたものではないというわけだ。

そんなわけで、『メイキング・オブ・キー・オブ・ライフ』(1997年)というレンタル落ちのDVDを入手した。「Sir Duke」は、アルバム『Songs in the Key of Life』(1976年)に収録されている。ベースを弾いたネイサン・ワッツが言うように、スティーヴィーはソロを演奏できる上手いプレイヤーよりも、スティーヴィーのインスピレーションをすぐに耳で聴いて演奏できるプレイヤーを求めていた。それでも、このアルバムにはハービー・ハンコックも参加していて、インタビューに答えてもっともらしいことを語っているのは苦笑ものだ。そんな大御所よりも、アルバムに参加した者たちが輪になって同窓会のように喋るのは面白い。ミュージシャンってどこでも馬鹿話と法螺話が好きなんだな。

気になるとはいっても、最近の活動とか何もチェックしていないので、何年か前の大晦日に放送された「K-1」(曙がホイス・グレイシーにあっさり敗れたとき)で、米国の国歌を歌っていたのが印象に残っていた程度。それで、ついこの間、昨年(2008年)のライヴ映像がNHKで放送されたので、嬉しくなって観た。なんと、最初の曲として、スティーヴィーは、ハーモニカでマイルス・デイヴィスの「All Blues」を弾いた。今まで、ディー・ディー・ブリッジウォーターが歌うヴァージョンが好きだったのだが、勿論これも最高に格好よかった。