この8月に出された元ちとせの2枚のアルバム『Orient』と『Occident』は、それぞれ日本語と英語によるカヴァー盤で、特に『Orient』の方をよく聴いている。
あがた森魚「百合コレクション」や山崎まさよし「名前のない鳥」は残念なことに再録で、いまの元ちとせによる唄ではない。また、広島の原爆で亡くなった子どもを唄った「死んだ女の子」は初回限定ボーナストラックではあるが、既に『ハナダイロ』のボーナストラックとして収録されたものと同じ。それならそうと宣伝してくれないと落胆する。しかし、それでも良い唄だから許すことにする。
永六輔+中村八大「遠くへ行きたい」や、イルカが唄った「なごり雪」も悪くないが、「コリアンドル」が何といっても出色。「ワダツミの木」といい、「カッシーニ」といい、上田現による奇妙な歌詞とメロディは元ちとせの個性に向いているような気がする。
エジプトに行くのさ 砂漠が見たくなってね。
でも着いちゃったのはマレーシア あこがれの南の・・・。
ちょうど今日、『TBSニュースバード』に元ちとせが出るというので、録画しておいて観た。主に「死んだ女の子」をテーマとした受け答えとライヴ映像(2005年、原爆ドーム前での初録時と、今年8月のオーガスタキャンプと)が紹介されていた。8年くらい前、デビュー前に「死んだ女の子」を唄ったものの、まだ早いと判断して中止したという。それだけに、思い入れの強い唄を懸命に唄う姿には涙腺がゆるんでしまう。よく泣かないで唄えるね。
若松孝二『キャタピラー』も早く観ないとなあ。
●参照
○元ちとせ×あがた森魚
○『ウミガメが教えてくれること』
○元ちとせ『カッシーニ』
○元ちとせ『Music Lovers』
○元ちとせ『蛍星』
○『ミヨリの森』、絶滅危惧種、それから絶滅しない類の人間
○小田ひで次『ミヨリの森』3部作