バンコクからの帰国便で、ブライアン・ヘルゲランド『42』(2013年)を観る。
1947年に黒人選手としてはじめてメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンと、彼を受け入れて契約したブランチ・リッキーの物語。
ローザ・パークスによる「モンゴメリー・バス・ボイコット事件」が1955年。キング牧師による「I have a dream」の演説が1963年。それよりもはるかに前の時期において、確かに、「白人のスポーツ」たるメジャーリーグに黒人が参加することへの拒否反応は、大変なものだっただろう。
映画では、ジャッキーは、守旧的な白人至上主義者たちから、言葉に言い表せないほどの差別や脅迫を受ける。いや「主義者」だけではない。彼らは一般市民であり、また、チームメイトたちの中にも、一緒にプレイすることに不快感を示す者たちがいた。もちろん、このような愚か者はどの時代にもいるものであり、本質的には現代日本も同じようなものだ。(言うまでもなく、あなたも私も無縁ではありえない。)
映画としてはさほど優れた作品とは言いがたいが、それでも、このような物語には弱い。どうしても感情移入して、涙腺がゆるんでしまう。
ジャッキーがメジャーに昇格したドジャースは、当時、ブルックリンにあった(それゆえに、ポール・オースターがしばしばジャッキーのエピソードを書いている)。確か、狭い路地で子どもたちが自動車をよけたりしていたために、「ドッジ」する人たち、すなわち「ドジャース」と命名されたのだったと記憶しているが、どうだったか。
バーニー・ウィリアムス『Rhythms of the Game - The link between musical and athletic performance』(>> リンク)によると、カウント・ベイシーが彼に捧げた「Did you see Jackie Robinson hit that ball?」という曲があるそうで、ぜひ聴いてみたいところ。