ジャカルタ行きの機内で、リチャード・プレス『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(2010年)を観る。
ビル・カニンガム、1929年生まれ。20代のころに、奇抜なデザインの帽子屋を開くが失敗。しかし、80歳を超えるいまも、興味の対象はひたすらにファッションだ。 「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載されたストリート写真が評判を呼んだのが1978年、50歳前だというから、きっと遅咲きであったのだろう。
ホームセンターで買った安物の上っ張りを着て、ニコンのフィルム一眼レフ(FM系)を首から下げ、自転車でニューヨークを失踪する。そして、これはというファッションをゲリラ的に撮りまくる。住居にはネガが入ったキャビネットだらけ、トイレとシャワーは共同。楽しくて忙しくて、恋愛なんかする暇がいちどもなかったよ、と、いまも独身。
似た人が誰もいないという意味で明らかに変人、しかし、多くの人に愛される変人。本人はとにかく楽しそうだ。
少し元気が出た。好きなことを追及できるのは幸せなことに違いない。
ところで、もう1本観た、ウォルター・ヒル『バレット』はつまらなかった。スタローンの個性に頼って、エンタテインメントとして何ら新しい要素がないという・・・。かつての『ストリート・オブ・ファイヤー』なんてもっと面白かったと思うんだけど。