Sightsong

自縄自縛日記

デイヴ・ホランド+ペペ・ハビチュエラ『Hands』

2013-08-12 20:41:57 | アヴァンギャルド・ジャズ

このところ、頻繁に、デイヴ・ホランド+ペペ・ハビチュエラ『Hands』(Dare2 Records、2010年)を聴いている。

Dave Holland (b)
Pepe Habichuela (g)
Josemi Carmona (g)
Carlos Carmona (g)
Israel Porrina (Pirana) (cajon and percussion)
Juan Carmona (cajon and percussion)

ペペ・ハビチュエラはフラメンコ・ギターの大家。すなわち、ジャズ・ミーツ・フラメンコである。

重厚にして同時に軽やかなダンスを、大きなベースで繰り広げるような、デイヴ・ホランド。彼のプレイの魅力に気付かされたのはかなり最近のことで、いったい自分は20年以上も何を聴いていたのだろうと思う。

それはともかく、そのようなホランドの踊るベースは、フラメンコの世界と驚くほど相性が良いことにも、気付かされるのだった。ハビチュエラのギターだけではない。独特のリズムを持つパーカッション、拍手、掛け声。もっとも、ホランドは、ライナーノートにおいて、フラメンコに関して「It was a new world to me.」と大きな字で書いているのではあるが。

食わず嫌いはよくない。推薦。

●参照
デイヴ・ホランドの映像『Jazzbaltica 2003』
カール・ベルガー+デイヴ・ホランド+エド・ブラックウェル『Crystal Fire』
ゲイリー・トーマス『While the Gate is Open』(デイヴ・ホランド参加)
ジョン・サーマン『Unissued Sessions 1969』(デイヴ・ホランド参加)


ジョン・ブッチャー@横浜エアジン

2013-08-12 08:29:23 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジョン・ブッチャーを聴くため、横浜エアジンに足を運んだ(2013/8/11)。

John Butcher (ts, ss)

昼過ぎに大雨と落雷があった。そのため京王線は何時間も止まってしまい、共演する筈のパール・アレクサンダー(ベース)が来ることができず、急遽ソロとなった。(本人のtwitterでは、苛立ちや怒りが書かれており、はらはらした。)

ブッチャーのサックスの音色は、実に幅広く、それゆえに不定形であるともいうことができる。さまざまな周波数の倍音があり、音なき音が異次元との間を行き来し、サックスの管体が聴いたことのないあり方で共鳴する。タンポを使った破裂音、マウスピースのごく先端のみをくわえた吹き方、マウスピースをはずしての音の増幅、時には風の音。

演奏中、目と耳は釘づけである。しかも、どんな技術なのか想像できない。前回聴いたのは、3年前、マドリッドにおける大友良英とのデュオだったが、そのときよりもさらに演奏が柔軟になっているように思えたのだがどうだろう。

終わったあと、ブッチャーと少し話をして、楽器もみせてもらった。テナーのマウスピースはメタルだが、ソプラノのマウスピースはエボナイト(数十年前の米国製だという)。リードは4番、黒くプラスチックのコーティングが施してある。固いなあと驚くと、オーバートーンを出すためにはこれがいいのだと語った。そして、雑談をしながら、途中まで彼を含め数人で一緒に帰った。


『SCRUTABLES』にサインを頂いた。写真は日本の温泉で出された料理だとか。

●参照
ジョン・ブッチャー+大友良英、2010年2月、マドリッド
デレク・ベイリー+ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Scrutables』
ジョン・ブッチャー『THE GEOMETRY OF SENTIMENT』


三上智恵『標的の村』映画版

2013-08-12 01:11:34 | 沖縄

沖縄県東村高江では、2007年から、ヘリパッド建設に反対する座り込みが続けられている。1996年の日米間のSACO合意以降、日本政府は沖縄の基地負担軽減を謳いながら、実は住民を騙す形で、基地機能強化を図り続けている。座り込みは、如何に声をあげようと聞き入れられない状況において、なされている。

この事実を描いたドキュメンタリー『標的の村 ~国に訴えられた東村・高江の住民たち~』(2012年、琉球朝日放送、三上智恵ディレクター)(>> リンク)は、さまざまな賞を受けた。しかし、それでも、全国放送にはつながらない。状況打開のために、三上ディレクターは、映画という配給手法を用いた。時間も、テレビ版の46分から91分へとほぼ倍になっている。

公開初日(2013/8/10)のポレポレ東中野では、入りきれない人が続出したという。そんなわけで、2日目も早めに行かないとダメだなと思って30分前に着いたところ、既に整理番号ぎりぎりだった。やはり、外には入れない人たち。久しぶりに、大木晴子さん(>> リンク)にもお会いすることができた。

映画の内容は、ほぼテレビ版(>> リンク)と同じだ。しかし、時間が長くなっている分、さまざまなエピソードや説明を盛り込み、さらにわかりやすく充実したものとなっていた。もっとも、知っているとはいえ、腸が煮えくりかえるような話ばかりだが・・・。

この、国家のむきだしの暴力に対し、人権を侵害された住民は、如何に抗していくべきか。辺野古でも、映画で描かれる高江でも、オスプレイ搬入を阻止するために住民が蜂起した普天間でも、結果だけをみれば、国家の暴力的な企図を無化するところにまで至らず、むしろ、事態はその方向に進んでしまっている。

しかし、辺野古も高江も、真っ当な抵抗があったからこそ、最悪の結果に行きつかないでいるということができる。また、上映後に壇上に立った三上さんによれば、普天間包囲も、いざとなれば実力で阻止できるという住民の意思表明だと捉えるべきだという。

多くの人に、ぜひ観てほしい。これが、テレビでは覆い隠されて報道されない、日本の実状だ。

●参照
テレビ版『標的の村』
2010年8月、高江
高江・辺野古訪問記(1) 高江(2007年)
沖縄・高江へのヘリパッド建設反対!緊急集会
ヘリパッドいらない東京集会
今こそ沖縄の基地強化をとめよう!11・28集会(1)
今こそ沖縄の基地強化をとめよう!11・28集会(2)
「やんばるの森を守ろう!米軍ヘリパッド建設を止めよう!!」集会  
東村高江のことを考えていよう(2007年7月、枯葉剤報道)
『米軍は沖縄で枯れ葉剤を使用した!?』
エンリコ・パレンティ+トーマス・ファツィ『誰も知らない基地のこと』
高野孟『沖縄に海兵隊はいらない!』
宮城康博・屋良朝博『普天間を封鎖した4日間』
10万人沖縄県民大会に呼応する8・5首都圏集会(オスプレイ阻止)
オスプレイの危険性(2)
オスプレイの危険性
6.15沖縄意見広告運動報告集会
オスプレイの模型