マンハッタンのチェルシーには多くのギャラリーが集中していて、確かに歩くと楽しい。もっとも、最近では地価の高騰もあって、ブルックリンなどに拠点がシフトしつつあるという話も読んだ。
廃された鉄道の高架を再利用した歩道、兼、公園である「ハイ・ライン」を歩いて、たどり着いた。
◆ Anna Zorina Gallery
バーナード・パーリンという20世紀前半のアメリカの画家の作品を展示。第二次世界大戦の負傷兵を描いている。
◆ J. Cacciola Gallery
チャイナ・マークスによる、布とシルクスクリーンによるコミカルな作品群。「フルーツサラダは食べたくない!うんざりだ!チーズバーガーが食べたい!」「ファーストフード食べてたら死ぬよ!フルーツは身体にいいんだよ!食べられてラッキーだと思わないと!」などといったセリフが笑える。
◆ Margaret Thatcher Projects
Venske & Spanleの石による彫刻を展示。ほとんど『家畜人ヤプー』である。
◆ Gagosian Gallery
有名アーティストの作品を揃えた名門のようで、アンゼルム・キーファー、ロバート・ラウシェンバーグ、ジュリアン・シュナーベル、ゲオルグ・バゼリッツらの作品が展示されていた。なかでもキーファーのミクスドメディアによる暗鬱な作品、デュシャンにインスパイアされたかもしれないラウシェンバーグの車輪の作品に目を奪われた。
◆ Mary Boone Gallery
エド・パスケによるキッチュな作品。オバマやビン・ラディンらをモチーフにしている。
◆ Luhring Augustine
あのラリー・クラークの写真。またしても男の○○○ばかり。もういいです。
◆ Andrea Rosen Gallery
マーティン・ドゲヴァルによる写真は、白壁のマチエールと影を捉えており、面白かった。アルフレッド・スティーグリッツの作品もあった。
◆ Metro Pictures
ルイーズ・ローラーによる、「なぞり」作品。既存の芸術作品が線描でパクられている。村上隆まである。なんだこれは。
◆ Marianne Boesky Gallery, Marlborough Chelsea
2か所のギャラリーそれぞれで、デトロイトをテーマにした新旧の作品。スピーカーからは自動車工場の音。
Metroplex Recordsというレーベルのレコードが並べてあるが、これはデトロイトのレーベルか、あるいはヴァーチャルなものか。その上に20世紀初頭の絵が架けてあって愉快。また、クルマに淫するようなリズ・コーエンの写真と変態動画。
◆ Yossi Milo Gallery
セ・ツン・レオン(Sze Tsung Leong)による「Horizon」と題された写真。世界の異なる場所におけるフラットな光景を並べて、その類似性を気づかせるような構成になっている。ギャラリーの係員は、meditationalでeducationalだ、ウユニ塩湖なんて初めて知った、と話していた。
わたしもかなり気に入ったので、カタログを入手。
◆ Driscoll
ジェニファー・パッカーの油彩のマチエールが、和紙のようでなかなか魅力的。
◆ BDG
ピーター・マーテンセンによる一連の奇妙な作品。白シャツのオヤジたちが、いちいち水につかっているものばかり。
◆ Praxis
Lautaroの熱帯的な作品。
◆ Jim Kemner Fine Art
あっ、ゲルハルト・リヒターが道に向けて飾ってあると吃驚して入ったところ、スタンリー・カッセルマンという別の画家による作品だった。だって間違えるでしょう。
◆ Nancy Margolis Gallery
花をモチーフにしたグループ展。印象稀薄。
◆ 303 Gallery
印象稀薄。
◆ Cheim & Read
ジョン・ミッチェルによる木をテーマとした作品群。印象稀薄。
◆ Debuck
ジョン・クレメントによる「大きな輪っか」。どこか道端にでもパブリック・アートとして置けば。
◆ Bruce Silverstein
ブレア・ソウダース。印象稀薄。
◆ Asya Geisberg Gallery
まるでラッセンが描いたような宇宙船の絵とか。印象稀薄。
◆ 新ホイットニー美術館
2015年オープンだそうで、ハイ・ラインの南端に建築中だった。設計はレンゾ・ピアノ。