Sightsong

自縄自縛日記

木村毅『モンゴルの民主革命 ―1990年春―』

2014-07-26 06:06:25 | 北アジア・中央アジア

木村毅『モンゴルの民主革命 ―1990年春―』(中西出版、2012年)を読む。

1921年、モンゴルは中華民国から独立。1924年、ソビエトに続く社会主義国家として、「モンゴル人民共和国」が誕生。前後して、革命の功績者であるスフバートルは毒殺され、ボドー、ダンザンらは処刑される。このときから、傀儡国家として実権をソ連に握られ、民族主義的な要素が抑圧されることとなった(そのため、チンギスの名前すら出せなくなった)。また、強権政治や計画経済の問題も、ソ連と同様に噴出していった。

そして、ソ連崩壊とともに、1990年前後には民主化運動が高まり、90年の一党独裁放棄、92年の国名変更(モンゴル人民共和国からモンゴル国へ)と、劇的な変貌を遂げる。わたしが2013年にウランバートルを訪れたとき、ちょうど議事堂の前にあるスフバートル広場が、チンギス広場へと改名されたばかりだったが、それも、変貌の続きだったのだろうか。

本書は、その2つの劇的な時代を描いている。事実よりも思い入れが前面に押し出され、あまりにも抒情的な表現が目立つ本ではあるが、それなりに面白い。