ルイ・ヘイズ『Return of the Jazz Communicators』(Smoke Sessions、2013年)を聴く。ニューヨークの「Smoke」で演奏されたライヴ録音の1枚。
Abraham Burton (ts)
Steve Nelson (vib)
David Bryant (p)
Dezron Douglas (b)
Louis Hayes (ds)
大ヴェテランであるルイ・ヘイズにとって、「Jazz Communicators」は、かつて60年代後半に結成したグループ名であり、ジョー・ヘンダーソン、フレディ・ハバード、ケニー・バロンらが仲間だった。その録音はまったく残されていないという。したがって、幻のグループの再結成ということになる。もし時代がかれらに追い風だったなら、ジャズ・コミュニケイターズは、ジャズ・メッセンジャーズやジャズ・クルセイダーズのように有名になり、称えられていたかもしれない。
エイブラハム・バートンは、ずいぶん以前にアルトサックスを吹いていたときには、強引なだけでアイデアのないソロを取る人だなという印象を持っていた。しかし、ここでは、澱みなく気持ちの良いテナーを吹いている。
それでも重力で下に沈んでしまいそうな音楽に鮮やかさを付け加え、上にまたひっぱりあげているのは、スティーヴ・ネルソンのヴァイブであり、決定的にヘイズのドラムスなのだと思う。ヘイズのプレイからいつも感じるのは風圧であり、ここでも、周りに竜巻を起しまくっているのは嬉しい限り。
●参照
マルグリュー・ミラー逝去、チャーネット・モフェット『Acoustic Trio』を聴く
スピーカーのケーブルを新調した(ルイ・ヘイズ『The Real Thing』)