Sightsong

自縄自縛日記

ウィレム・ブロイカーの映像『Willem Breuker 1944-2010』

2014-08-14 23:14:19 | アヴァンギャルド・ジャズ

『Willem Breuker 1944-2010』(BVHAAST)というDVDには、稀代の音楽家ウィレム・ブロイカーの若き日から晩年までの映像が収められている。よくもまあ、こんなに貴重な映像があったものだ。

21歳時のトリオでの演奏や、ピアノ2台との共演など変わったものもあるが、ほとんどは、ブロイカーが長く率いたグループ「コレクティーフ」による演奏。これがまた、いちいち愉快だ。ふざけるのは真剣勝負であり、おもねることなく大真面目にやらねばならぬ。何と、ヨー・ヨー・マとの共演もあって、彼もコレクティーフの演奏ぶりに煽られつつ、愉しそうに笑っている。

しかも、緻密に考え抜いたであろうアンサンブルと演奏テクニックが、インプロビゼーションと共存している。そのことは、ブロイカーのインタビューやリハーサルの様子を観るとわかる。

コレクティーフのアンサンブルは変動幅が大きく、ときに狂騒的といえるほどのハイスピードで走りぬける。そして、ブロイカーの執拗なサックス・ソロが続くなか、ストップ・アンド・ゴーを行う。こちらは聴き惚れつつ、動悸が激しくなるのを覚え、また、脇腹の痙攣にも気が付く。名曲「Hapsap」や、ガーシュインの「An American in Paris」なんて最高である。

コレクティーフのライヴを観たのは1回きりだ。もっと体感しておくべきだった。

●参照
ウィレム・ブロイカーの『Misery』と未発表音源集
ウィレム・ブロイカーが亡くなったので、デレク・ベイリー『Playing for Friends on 5th Street』を観る
ウィレム・ブロイカーとレオ・キュイパースとのデュオ『・・・スーパースターズ』
ハン・ベニンク『Hazentijd』
レオ・キュイパーズ『Heavy Days Are Here Again』