Sightsong

自縄自縛日記

『海鳴りの果てに~言葉・祈り・死者たち~』

2014-08-23 07:58:33 | 韓国・朝鮮

NHK「こころの時代」枠で放送された『海鳴りの果てに~言葉・祈り・死者たち~』を観る(2014/7/6放送)。

詩人の金時鐘さんは、済州島で皇国少年として育ち、17歳のときに終戦を迎えた。やがて、四・三事件(1948年)に関与した咎で追われ、日本に密航する。辿りついた大阪・猪飼野(現・生野区)では、朝鮮に近い日本語が使われていたという。

流麗な日本語を使っていた金時鐘さんは、ことばの限界を知り、ことばへの復讐をはじめる。かれが幼少時より親しんでいた唱歌は、いまも心に響く。それだからこその限界と復讐である。批評を持たない日本語、情感だけの日本語ではない日本語によって、かれは詩を書き連ねた。ことばに挑み、殺すことなくしての、ことばの再生はない、ということか。

●参照
『海鳴りのなかを~詩人・金時鐘の60年』
金時鐘『境界の詩 猪飼野詩集/光州詩片』
細見和之『ディアスポラを生きる詩人 金時鐘』
尹東柱『空と風と星と詩』
文京洙『済州島四・三事件』
『済州島四・三事件 記憶と真実』、『悲劇の島チェジュ』
オ・ミヨル『チスル』、済州島四・三事件、金石範
済州島四・三事件と江汀海軍基地問題 入門編
金石範講演会「文学の闘争/闘争の文学」
仲里効『悲しき亜言語帯』
梁石日『魂の流れゆく果て』
藤田綾子『大阪「鶴橋」物語』
金賛汀『異邦人は君ヶ代丸に乗って』
鶴橋でホルモン(与太話)
林海象『大阪ラブ&ソウル』


キース・ジャレット『Arbour Zena』

2014-08-23 00:00:13 | アヴァンギャルド・ジャズ

キース・ジャレット『Arbour Zena』(ECM、1975年)。ようやく平常心でチャーリー・ヘイデンを聴くことができるようになった。

Keith Jarrett (p)
Jan Garbarek (ts, ss)
Charlie Haden (b)
String Orchestra

特に、パブロ・カザルスと太陽とに捧げられた「Solara March」。この頃、インパルスとECMに多く吹きこんでいた時代のキースの曲からは、過剰な抒情性が溢れ出る。ヘイデンのベースの残響感は他にないものであり、また、ガルバレクが静かに入ってくるソロは遥か向こうを見ることができるようだ。

70年代のキースは、アメリカン・カルテット、ヨーロピアン・カルテット、そしてソロと、傑出した録音が多いと思うが、それだけではないことが実感できる。素晴らしい。不覚にも泣きそうになってしまう。

●参照
キース・ジャレットのインパルス盤
70年代のキース・ジャレットの映像
ピーター・ブルック『注目すべき人々との出会い』、クリストのドキュ、キース・ジャレットのグルジェフ集 
キース・ジャレット『Standards Live』