Sightsong

自縄自縛日記

ソニー・シャーロック『Ask the Ages』

2014-08-21 23:33:01 | アヴァンギャルド・ジャズ

ソニー・シャーロック『Ask the Ages』(Axiom、1991年)。ジャケットの表裏を見ただけではわからないが、なかなか豪華なカルテットなのだ。

Sonny Sharrock (g)
Pharoah Sanders (ts, ss)
Elvin Jones (ds)
Charnette Moffett (b)

1曲目からファラオ・サンダース節満開である。というか、いつもの「ぎょべー!ぎゃー!」という「叫びながら吹き」。ええ、いきなり何でしたっけ。

90年代初頭といえば、ファラオが『何やらラヴ』とか『愛の何やら』とかいった、軟弱コルトレーンの情けないコピー商売に乗っかっていたころだ。わたしは脱力しまくって、もうファラオなんて聴いてもしかたがないと勝手に見限っていた。こういうことは早く言ってほしかった。実は、テレビ放送されないヘビー級タイトルマッチでは、朝顔から唾を飛ばしまくっていたわけである。

もっとも、ヘビー級タイトルマッチの主役は、リーダーでもファラオでもなく、エルヴィン・ジョーンズである。牛刀か斧のようなものを、軽々と振り回す。しかもときには繊細に。エルヴィンが叩くだけで、時空間が、身体全体をゆっくりと揺らすような大きなノリに支配される。いやあ、凄い。

●参照
ファラオ・サンダースの映像『Live in San Francisco』
エルヴィン・ジョーンズ+田中武久『When I was at Aso-Mountain』
エルヴィン・ジョーンズ(1)
エルヴィン・ジョーンズ(2)
『Stan Getz & Bill Evans』(エルヴィン・ジョーンズ参加)
ロヴァ・サクソフォン・カルテットとジョン・コルトレーンの『Ascension』(エルヴィン・ジョーンズ参加)
藤岡靖洋『コルトレーン』、ジョン・コルトレーン『Ascension』(エルヴィン・ジョーンズ参加)
マッコイ・タイナーのサックス・カルテット(エルヴィン・ジョーンズ参加)
ベキ・ムセレク『Beauty of Sunrise』(エルヴィン・ジョーンズ参加)
ソニー・シモンズ(エルヴィン・ジョーンズ参加)
チコ・フリーマン『Elvin』
チコ・フリーマンの16年(セシル・マクビー参加)
ソニー・フォーチュン『In the Spirit of John Coltrane』


トニー・マラビー『Adobe』、『Somos Agua』

2014-08-21 07:09:59 | アヴァンギャルド・ジャズ

トニー・マラビーがベース、ドラムスと組んだトリオによる作品『Adobe』(JPR Productions、2003年)、『Somos Agua』(Clean Feed、2013年)を、繰り返し聴いている。

『Adobe』では、ポール・モチアンの伸縮するドラムスに、また、『Somos Agua』では、ナシート・ウェイツのヴァイタルなドラムスとウィリアム・パーカーの文鎮のように下支えするベースとに包まれて、マラビーが妙なテナーソロを展開する。

敢えて「朗々と吹く」という幹を取っ払ったような感覚である。そのイメージを続けて夢想するなら、かれの音は森のさまざまな存在を収集したようなものに聞える。葉叢がざわめいたり、鳥や虫が居場所を変えてみたり、なにものかが踏み入って口笛を吹いてみたり。そんなわけで、着地点を見出せないような不可思議な音楽なのであり、聴く方もどこかをあてもなく彷徨する。10年間を挟んだ演奏だが、その個性はより強まっているように思える。

Tony Malaby (ts, ss)
Drew Gress (b)
Paul Motian (ds)

Tony Malaby (ss, ts)
Willam Parker (b)
Nasheet Waits (ds)

●参照
トニー・マラビー『Paloma Recio』