クリフォード・ブラウンの名盤と呼ばれる記録はいくつもあるが、『Jazz Immortal』(Pacific、1954年)はそれほど取り上げられることがない。昔、ジャズを聴きはじめたころ随分気に入っていた。じつに久しぶりに聴いた。
Clifford Brown (tp)
Zoot Sims (ts)
Bob Gordon (bs)
Stu Williamson (valve-tb)
Russ Freeman (p)
Carson Smith (b)
Joe Mondragon (b)
Shelly Manne (ds)
このセッションが一風変わっているのは、西海岸の面々とブラウニーとの顔合わせだ。練られた気持ちいいアンサンブルのなかで、ブラウニーは、力強さと抑制との両方をみごとに保ちながら、次々にわき出るアイデアをトランペットの音にしていく。
もちろん、ズート・シムズの名人芸も、ラス・フリーマンの上品な色付けも聴こうと思えば聴けるのだが、ブラウニーの存在感が別格ゆえ、耳はトランペットの音ばかりを追いかけてしまう。こういうものに接すると、「輝かしい」、「ブリリアント」といった言葉が大袈裟な常套句でないことを実感する。