スコット・ラファロ『Pieces of Jade』(Resonnance Records、1961年)を聴く。
Scott LaFaro (b)
Don Friedman (p)
Pete LaRoca (ds)
Bill Evans (p) (only 6)
1曲だけ、1960年におけるラファロとビル・エヴァンスとの「My Foolish Heart」のリハーサル録音が収録されているが(翌年のヴィレッジ・ヴァンガードのライヴを思い出しながら聴くと少し興奮する)、主に、ドン・フリードマン、ピート・ラロッカとのトリオによる演奏である。すなわち、名盤と称される『Circle Waltz』(1962年)のベースが、ラロッカの夭折により、チャック・イスラエルに交代したという形になっている。
たとえば、両盤に共通する「I Hear a Rhapsody」を聴いてみると、フリードマンは1961年にはまだ生硬なソロを取っているのに対し、『Circle Waltz』ではより洗練されている。しかし、それ以上に、ベーシストの違いが大きく、ここでの録音はラファロの存在感のみを目立たせているように感じる。ラファロは、従来のコード進行に沿いながら(もちろん、ベースはコードを主導しなければならない)、同時に、緊張感をびりびりと保ちつつ、奔放極まるソロを展開している。
ラファロがあと1年か2年生き永らえていたら、『Circle Waltz』は、もっと違ったものになったに違いない。
●参照
ビル・エヴァンス『The Complete Village Vanguard Recordings, 1961』
岡田暁生+フィリップ・ストレンジ『すごいジャズには理由がある』