Sightsong

自縄自縛日記

竹内正右『モンの悲劇』

2014-11-21 23:33:56 | 東南アジア

竹内正右『モンの悲劇 暴かれた「ケネディの戦争」の罪』(毎日新聞社、1999年)を読む。

モン族は、中国雲南省からベトナム北部、ラオス北部で生活する山の民である。佐々木高明『照葉樹林文化とは何か』によると、もともと長江流域で稲作をしていたが、太平天国の余波などにより、東南アジアへと移動してきた。さらにまた、梅棹忠夫『東南アジア紀行』によれば、1000mの等高線で切って、それ以下の部分を地図で消し去ってしまうと、あとに彼らの「空中社会」があらわれる。

本書は、そのモン族が、戦後も、大国の思惑で翻弄され続けてきたことを示す。インドシナ戦争とベトナム戦争、さらにその後も、フランスやアメリカの「反共」のために多数が動員された。中越戦争にも、タイ・ラオス国境紛争にも、モンは巻き込まれた。70年代末には、北ベトナム軍が、ソ連から提供を受けた化学兵器をモン攻撃のために使った証拠さえあるという。それが本当なら、ベトナムは枯葉剤の被害者であるだけでなく、加害側にも立っていたことになる。

大変興味深いルポなのだが、残念なことに、文章が読みにくい。本書を読み解いてあらためて歴史の中に位置づけていく仕事があればよいと思う。


モン族のふたり(ベトナム北部、2012年)  Pentax LX、FA77mmF1.8、Fuji Superia 400

●参照
佐々木高明『照葉樹林文化とは何か』
梅棹忠夫『東南アジア紀行』


『RAdIO』

2014-11-21 07:43:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

『RAdIO』(地底レコード、1996, 99年)を聴く。

川下直広 (sax, vln)
不破大輔 (b)
芳垣安洋 (ds)
渋谷毅 (org)

川下直広の濁ったサックスも、不破大輔の挑発的なベースも、マーチングバンドの勢いを思わせる芳垣安洋のドラムスも、すべてが良い。

何より、渋谷毅のオルガンのカッチョ良さに吐きそうになり、卒倒しそうになり、また陶然とする(本当)。いや攻める、攻める。渋谷毅オーケストラでも、浅川マキの歌伴でも、渋谷さんは時折立ち上がり、ピアノの上に置かれたオルガンをぎゅい~んと弾き、突然攻めの姿勢に転ずる。90年代の頭ころにはじめて観たときにはやかましいなあと感じたオルガンだが、それが突き刺さってくるのには時間がかからなかった。かなりのヴィンテージものだと聞いたことがあるがどうなのだろう。

この『RAdIO』は、かつて同じ地底レコードからカセットテープ版が出ていて、よく聴いていた。同じメンバーだが、CDとは異なる音源である。なかでも、「Dava Dava Dava」(フェダインも演奏)がとても良かった。ずいぶん前に問い合わせると、これをCD化する計画はないということだった。残念・・・。

●参照
ネッド・ローゼンバーグ@神保町視聴室(芳垣安洋)(2014年)
高木元輝の最後の歌(不破大輔)(2000年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』(2011年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+森山威男『しーそー』(2001年)
浅川マキの新旧オフィシャル本
宮澤昭『野百合』(渋谷毅)(1991年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)
浅川マキ『闇の中に置き去りにして』(1998年)
渋谷毅のソロピアノ2枚