Sightsong

自縄自縛日記

デイヴ・バレル『Conception』

2015-10-07 07:28:05 | アヴァンギャルド・ジャズ

デイヴ・バレル『Conception』(somerealmusic、2013年)を聴く。NYのOther Musicで入手。

Dave Burrell (p)
David Tamura (ts)
Joe Chonto (ds)

デイヴィッド・タムラは日系アメリカ人のプレイヤーであるらしく、他の盤ではピアノやオルガンも演奏している。ここではテナーサックスを熱く吹きまくっていていい感じである。

しかし、構成も録音も、デイヴ・バレルのピアノが前面に出ている。普段あまり聴かないのだが、硬いというのは偏見で、実はとても柔軟でブルージーなピアノを弾く人なのだった。

●参照
サニー・マレイ『Perles Noires Vol. I & II』(デイヴ・バレル参加)
ウィリアム・パーカーのベースの多様な色(デイヴ・バレル『Expansion』)


ジョン・ブッチャー+マシュー・シップ『At Oto』

2015-10-07 00:11:19 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジョン・ブッチャー+マシュー・シップ『At Oto』(Fataka、2010年)を聴く。

サックス奏者・吉田野乃子さんご推薦のNYのレコ屋「Other Music」で買った。なんでも、昔タワレコが入っていた場所の向かいにできたため、そのように命名されたという(笑)。小さいながら愉快なところで、LPの「Experimental」コーナーの一番手前には、白石民夫さんの『大凶風呂敷』が輝いていた。

John Butcher (ts, ss)
Matthew Shipp (p)

ブッチャーのサックスソロが15分ほど、シップのピアノソロがやはり15分ほど、そのあとにデュオが30分ほど。

まるで周辺環境そのものを共鳴体としているかのような人・ブッチャーは、ここでも、実に多彩で激しい共鳴音を響かせる。かれは偶然性を排し、サックスを完璧にコントロールしているとしか思えないのだがどうか。その意味でカメレオンでありストラテジストである。

ソロもいいのだが、硬質なシップのピアノと組み合わさることによって、まるでペインティング・ナイフで網膜が千切れそうな色彩の変化を提示するゲルハルト・リヒターのペインティングが、さらにダイナミックに、あちこちでぱちぱちと爆ぜているようなイメージを幻視する。

録音は2010年2月14日。わたしは同じ月の少し前に、これが演奏されたロンドンのCafe Otoにおいて、ロンドン・インプロヴァイザーズ・オーケストラを観ていた。そしてそのあとマドリッドに移動し、ジョン・ブッチャーと大友良英のデュオを観た(2010/2/12)。ブッチャー氏はそのあとロンドン入りし、2日後にCafe Otoで演奏したということか。不思議な縁である。

●参照
ロードリ・デイヴィス+ジョン・ブッチャー『Routing Lynn』(2014年)
ジョン・ブッチャー@横浜エアジン(2013年8月)
ジョン・ブッチャー+大友良英、2010年2月、マドリッド(2010年)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
ジョン・ブッチャー『The Geometry of Sentiment』(2007年)
デレク・ベイリー+ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Scrutables』(2000年)
ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年)