Sightsong

自縄自縛日記

トム・ピアソン『Left/』

2015-10-18 10:58:00 | アヴァンギャルド・ジャズ

トム・ピアソン『Left/』(Auteur、2000年)を聴く。

Tom Pierson (p)
加瀬達 (b)
Pheeroan akLaff (ds)

地下足袋の人、トム・ピアソンはつかみどころのないピアニストで、ここでも、ブギウギのようなノリであったり、奇妙に聴こえる和音であったり、何だかヘンなプレイをしている。もちろん、バド・パウエルの「Wail」を演奏してもなにひとつ共通する要素がないような。ジャキ・バイアードやアーマッド・ジャマルにも共通しながらさらに地味でヘンな印象がある。そのために大きく受けることはなかったのかな。(昔、ケニー・バレルと共演するピアソンのプレイに、心無い客から「Stop the piano!」との野次が飛んだことがあった。)

ただ、聴けば聴くほど地味ではなく滋味が沁みてくるようで、なかなか良いアルバムなのである。しかもドラムスは闊達なフェローン・アクラフ。

いまもどこかでピアノを弾いているのなら、出かけて行ってまた聴きたいのだが。

●フェローン・アクラフ
フェローン・アクラフ、Pentax 43mmF1.9
"カラパルーシャ"・モーリス・マッキンタイアー『Dream of ----』
レジー・ワークマン『Summit Conference』、『Cerebral Caverns』
アンソニー・ブラクストンはピアノを弾いていた
ワダダ・レオ・スミス『Spiritual Dimensions』
ヘンリー・スレッギル(2)
ヘンリー・スレッギル(1)


クリス・コルサーノ、石橋英子+ダーリン・グレイ@Lady Jane

2015-10-18 00:13:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

実に久々のLady Jane。下北沢は駅の風景が一変していた。

演奏前にクリス・コルサーノさんと少し話をしていて、メテ・ラスムセンとのデュオCDのレビューのことになると、それならGoogle Translatorを使って読んだと涼しい顔。今更ながらおそろしい時代である。

■ 1st Set

Chris Corsano (ds)

最初のセットはコルサーノのソロ。ノイズとエフェクターに重ねていくブラシの音があまりにも繊細で、驚いてしまう。プレイは次第に激しさを増していったが、線の細い音を出す繊細さは最後まで失われなかった。聴いていて、誰もが身体をぴくぴくと動かしていた。

Fuji X-E2、60mmF2.4

■ 2nd Set

石橋英子 (fl, p)
Darin Gray (b)

石橋英子のフルートと、ダーリン・グレイのベース(というより、コントラバスをステージとしたギミック)。ふっとエフェクターの音を止め、ピアノとベースとが演奏すると、空が開けるようなドラマチックな印象を覚えた。

ところで、店内の壁には、六本木にかつてあった姉妹店ロマーニッシェス・カフェからはがしてきた黒田征太郎のタイル画が、まだ沢山あった。いつか1枚ほしいものだと思い続けて早何年。

●参照
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(2013年)
勝井祐二+ユザーン、灰野敬二+石橋英子@スーパーデラックス(2015年)