Sightsong

自縄自縛日記

スティーヴ・レイシー『Straws』

2015-10-05 22:03:02 | アヴァンギャルド・ジャズ

スティーヴ・レイシー『Straws』(ARTIS Records、1977年)を聴く。そのうちにと思って今に至ったのだが、レコ屋の500円箱で発掘した。

Steve Lacy (ss)

レイシーのソプラノサックスはいつも通りだ。吹き始めの「ぶわっ」とした音色、微妙にかすれていつまでも続きそうな音色、ベンドによるトーンの変化。まったく聴き厭きることがない。

これも数多いソロ演奏のひとつかと思っていたのだが、そうではなかった。遊び心と実験心に溢れた、またとない演奏である。1曲目は、アート・テイタムの無数の引き出しをイメージしながら吹いた愉しい演奏(対となるメロディーをやたらと開陳し、また「Get Happy」なども引用する)。2曲目は、3人のクラリネット奏者・2人のサックス奏者(うちひとりはレイシー本人)による演奏テープに重ねて吹いたもの。3曲目はジャニス・ジョプリンに、4曲目はイレーヌ・アエビに、5曲目はマリリン・モンローに捧げた演奏・・・具体的なイメージは浮かび上がらないが。

そして最後の曲は、工事現場の騒音を録音したテープに重ね合わせて吹いている。2002年に、『New Jazz Meeting Baden-Baden 2002』においてターンテーブルと共演したレイシーだが、そんなものは晩年になっての思い付きなどではなかったのだ。

●参照
レイシーは最後まで前衛だった(『New Jazz Meeting Baden-Baden 2002』)(2002年)
『富樫雅彦 スティーヴ・レイシー 高橋悠治』(2000年)
『Point of Departure』のスティーヴ・レイシー特集(『Sands』)(1998年)
チャールス・タイラー(『One Fell Swoop』)(1986年)
スティーヴ・レイシー+エヴァン・パーカー『Chirps』(1985年)
『Interpretations of Monk』(1981年)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』(1979年)
スティーヴ・レイシーのアヴィニヨン(1972-73年)
ザ・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ(1968年)
スティーヴ・レイシー『School Days』(1960、63年)
セシル・テイラー初期作品群(1956-62年)
Ideal Bread『Beating the Teens / Songs of Steve Lacy』(2014年)
ハリー・コニック・ジュニア+ブランフォード・マルサリス『Occasion』(『Sands』にインスパイアされた演奏)(2005年)
副島輝人『世界フリージャズ記』
村上春樹 編・訳『セロニアス・モンクのいた風景』(レイシーのモンク論)
中平穂積『JAZZ GIANTS 1961-2002』