Sightsong

自縄自縛日記

ジョルジュ・メリエスの短編集とアンソロジー・フィルム・アーカイヴズの知的スノッブ

2015-10-02 23:15:02 | アート・映画

わたしにとってジョナス・メカスは特別な存在であるから、ニューヨークでアンソロジー・フィルム・アーカイヴス(AFA)に立ち寄らないわけにはいかない。ただ、主に上映している時間が夜であり、ライヴと重なってしまう。そんなわけで、夕方に上映していたジョルジュ・メリエスの短編集だけを観た。

といいながら、歩き疲れたあとで古いサイレント映画、どうしても半分寝てしまう(1904年の『不可能を通る旅』なんて無邪気で面白かったのではあるが)。

それはそれとして、AFAに集うシネフィルたち。傍目からみても「何か発言して知性をアピールしなければダメ」的な空気が漂っている。上映中も、われ先に面白がって反応する競争をしている。どうでもいいようなことではあるが、大変ですねとしか言いようがない。そうしなければコミュニティで生き残れないのかしら。

ミーハーなるわたしは、AFAのトートバッグを手に入れて御満悦。

●参照
ルイス・ブニュエル『黄金時代』
チャールズ・ヘンリー・フォード『Johnny Minotaur』をアンソロジー・フィルム・アーカイヴズで観る
ジョナス・メカス(2) 『ウォルデン』と『サーカス・ノート』、書肆吉成の『アフンルパル通信』


グザヴィエ・ドラン『Mommy/マミー』

2015-10-02 00:42:15 | 北米

機内で、グザヴィエ・ドラン『Mommy/マミー』(2015年)を観ることができた。

多動障害の息子を抱えるシングルマザー。周囲には冷ややかな目で見られ、経済的に困窮し、さらに暴れる息子の世話をするうちに、精神的に追い詰められていく。

これは「感動作」などではない。むしろ、共感が難しいかもしれない者たちを描いている。しかし、これを観る者は、かれらが自分自身でありうることを、薄々と、あるいは明らかに意識せざるを得ない。映画はスクエアフォーマットで撮られており、それは息子の視野の狭さや登場人物たちにとっての隘路を象徴しているように思える。そして、それは誰の視野でもある。

「他者に依存せず生き延びること」が、観る者の背中に重くのしかかる。