Sightsong

自縄自縛日記

ウェイン・エスコフェリー『Live at Smalls』

2015-10-10 08:38:52 | アヴァンギャルド・ジャズ

ウェイン・エスコフェリー『Live at Smalls』(SmallsLIVE、2014年)を聴く。

Wayne Escoffery (ts)
David Kikoski (p)
Ugonna Okegwo (b)
Ralph Peterson Jr. (ds)

NYのSmallsでのライヴ録音シリーズは臨場感があって良いものが揃っているのだが(最近ではテオ・ヒル『Live at Smalls』など)、日本では知名度が低いと売れないのか、某レコ屋でもいくつものCDが特価販売されている。この盤も新品が500円。わたしもこのサックス奏者のプレイを聴いたことがなかったが、Smallsという場に愛着が湧いてしまい、またドラムスがあのラルフ・ピーターソンであるから、すぐに確保した。

聴いてみると、エスコフェリーのテナーはなかなかドライな音色であり、トーンを微妙に変えつつ豪快に吹く。音に味わいがあってついじっくりと聴き入ってしまう、好きになるプレイヤーだった。オリジナル曲もスタンダード曲も吹いており、なかでも、キース・ジャレットの「So Tender」には喜んでしまった。

ラルフ・ピーターソンはというと、アップテンポになると水を得た魚のように煽りまくる。さすが人間扇風機トマソンである(いやこうなると無用の暴風雨を起こしているわけではないので、超芸術ではない)。特に「Sweet and Lovery」においてテンポを頻繁に変えるたびに凄まじい存在感をアピールする。まるでコピーバンドのような『Outer Reaches』(2010年)を聴いて愕然としたのではあるが、ガチンコ勝負で叩いてくれればこのように血が沸騰するのだ。最近、ヴィジェイ・アイヤーと組んで新作を吹きこんだそうでもあり(しかも、久しく名前を見なかったゲイリー・トーマスも参加!)、ちょっと楽しみである。

大騒ぎしながら盛り上がるSmallsの観客の中に身を置いたような、いい気分。堅実なようで実は熱くビートを刻み続けるウゴンナ・オケーゴの前に、かぶりつきで座っているような。

●参照
ラルフ・ピーターソン『Outer Reaches』(2010年)
マイク・ディルーボ@Smalls(2015年)(オケーゴ参加)
トム・ハレル@Cotton Club(2015年)(オケーゴ参加)
トム・ハレル@Village Vanguard(2015年)(オケーゴ参加)
トム・ハレル『Trip』(2014年)(オケーゴ参加)
トム・ハレル『Colors of a Dream』(2013年)(オケーゴ参加)
マイク・ディルーボ『Threshold』(2013年)(オケーゴ参加)