Sightsong

自縄自縛日記

イングリッド・ラウブロック『Who Is It?』

2015-11-03 22:41:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

イングリッド・ラウブロックの若い頃の演奏を聴きたくなって、『Who Is It?』(Candid、1997年)を聴く。彼女の20代後半における初リーダー作である。

Ingrid Laubrock (ss, as, ts, vo, shaker)
Ife Tolentino (g)
Kim Burton (p, accordion)
Davide Mantovani (b)
Helder Pack (ds, perc)
Chris Wells (perc)

ずいぶんとライトでカラリと明るいサウンドもあったりして、違うといえば違う。しかし、軽く吹きこなしているようで、エッジがマイルドで周囲の世界と溶け合うようなサックスの音は、すでに聴くことができる。やはり聴けば聴くほど味が耳に沁み込んでくる。

他人の曲も演奏しているが、少しミステリアスで聴きやすいラウブロック自身の曲のほうが面白く聴こえてしまうのは贔屓か。

ところで、「Brasitaleiro」とか「Conto Do Passaro」(鳥の物語)とか、ドイツ生まれでロンドンにて活動していたラウブロックのサウンドに、ブラジルのテイストが入っているのはなぜだろう。ギターとのデュオ「Com açucar, Com Afeto」(砂糖で、愛情で?)にいたっては、まるでボサノバと共演していた時代のスタン・ゲッツのようなサックスであり、しかも、ポルトガル語で歌まで披露する(結構いい感じ)。このブラジルとの糸が、ブラジルの街から取ったという新バンドの名前「UBATUBA」にまでつながっているのかな。

●参照
イングリッド・ラウブロック UBATUBA@Cornelia Street Cafe(2015年)
ヴィンセント・チャンシー+ジョシュ・シントン+イングリッド・ラウブロック@Arts for Art(2015年)
アンドリュー・ドルーリー+ラウブロック+クラウス+シーブルック@Arts for Art(2015年)
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)
ネイト・ウーリー『Battle Pieces』(2014年)
アンドリュー・ドルーリー『Content Provider』(2014年)
トム・レイニー『Obbligato』(2013年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』(2012年)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』(2007、2012年)