ジョイス・キャロル・オーツ『アグリーガール』(理論社、原著2002年)を読む。
ついふざけ過ぎてしまい学校を爆破するぞと口走ったばかりに、警察に取り調べられる男の子。背が高く直情的なために、自分も周りも女の子扱いしない女の子。世間の風当たりに弱く、あまりにも保守的な大人や先生たち。ユダヤ人を敵視するカルト宗教の教祖。甘やかされて育った、見てくれが良いだけのボンボンたち。
ジュブナイルではあるが、汗とニキビが噴き出る場所を求めて渦巻いているような若者の心を、オーツはとても巧く描く。自信がないために暴走し、何もよくわからなかった日々は、誰にでもあったものに違いない。
これが大人向けの小説であれば、オーツの筆は、いやそれはないだろうというグロテスクな閾にまで突き進むに違いない。それはそれで、読後にとても後味が悪く、後悔したり満足したりするのだが。
●参照
ジョイス・キャロル・オーツ『Daddy Love』(2013年)
ジョイス・キャロル・オーツ『Evil Eye』(2013年)
林壮一『マイノリティーの拳』、ジョイス・キャロル・オーツ『オン・ボクシング』(1987年)
ジョイス・キャロル・オーツ『Solstice』(1985年)
ジョイス・キャロル・オーツ『エデン郡物語』(1966-72年)