エヴァン・パーカー『残像』(Jazz & NOW Records、1982年)を聴く。貴重なLP盤。
Evan Parker (ss, ts)
仙台、秦野、横浜における演奏の記録である。ここではA面でソプラノ、B面でテナーとソプラノを吹いている。この音の群れに陶然とする。
もちろん昨年や今年のライヴも、忘れがたい体験だった。ただ当時と今とで大きく違うのはテナーであるように思える。ソプラノが連続的な音のひとつながりを出してくるのに対し、テナーは音を小分けにして放出する。いまのテナーは重力を感じさせ、ブルースの味もつけられている。一方、ここで聴くことができるテナーには、重力など感じさせない。まだエヴァン・パーカーは40歳になる前であり、エンジンの稼働状況が半端なかったということだろう。
同じ1982年、少し前の別の録音も、ある方に聴かせていただいた。やはり、放たれた音に手を出そうものなら腕ごともっていかれそうなテナーである。いやソプラノだって、当時の推進力はやはりとんでもないものだ。
それでも、かつてのソプラノといまのソプラノ、かつてのテナーといまのテナー、すべてそれぞれいいと思ってしまう。(なんてことのない結論だが。)
●エヴァン・パーカー
エヴァン・パーカー@稲毛Candy(2016年)
エヴァン・パーカー+高橋悠治@ホール・エッグファーム(2016年)
エヴァン・パーカー@スーパーデラックス(2016年)
エヴァン・パーカー、イクエ・モリ、シルヴィー・クルボアジェ、マーク・フェルドマン@Roulette(2015年)
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー+土取利行+ウィリアム・パーカー(超フリージャズコンサートツアー)@草月ホール(2015年)
エヴァン・パーカー ElectroAcoustic Septet『Seven』(2014年)
ジョン・エスクリート『Sound, Space and Structures』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(2008年)
エヴァン・パーカー+ネッド・ローゼンバーグ『Monkey Puzzle』(1997年)
エヴァン・パーカー+吉沢元治『Two Chaps』(1996年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981-98年)
スティーヴ・レイシー+エヴァン・パーカー『Chirps』(1985年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Detto Fra Di Noi / Live in Pisa 1981』(1981年)
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(1972年)