ウラジーミル・タラーソフ+エウジェニュース・カネヴィチュース+リューダス・モツクーナス『Intuitus』(NoBusiness、2014年)を聴く。LP 2枚組である。
Vladimir Tarasov (ds, perc, cimbalom and hunting horn)
Eugenijus Kanevičius (b, electronics)
Liudas Mockūnas (ss, ts, cl, bcl)
もっとも印象深い音は、リューダス・モツクーナスの多彩なリードと、へヴィー級のエウジェニュース・カネヴィチュースの重いベースなのであり、実際のところウラジーミル・タラソフは「背後でヘンな音を出しているな」くらいだったのだが。
2回ほど通して聴いたあとに、「JazzTokyo」に岡島豊樹さんが執筆されたレビュー(>> リンク)を読んだところ(聴く直前に読むと印象が引きずられるので避けていた)、吃驚してしまった。曰く、
「タラーソフは多彩な音を繰り出しているが、その中で「シュッ、シュッ、シュッ」というブラシで出した音は「輸送車」が出発する直前にたてる音として象徴的なものであると教えられて絶句してしまった。(略)これを聴いてしまった人は誰しも、以後タラーソフのパフォーマンスを流し聴きすることなど不可能になるだろう。」
そして、ジャケットの写真は、風がどこからともなく吹いてきて聖書の頁がめくれるという、タラソフ自身によるインスタレーションであるという。また、沼野充義編著『イリヤ・カバコフの芸術』によれば、ウラジーミル・タラソフがカバコフに何度も協力していた。
つまり、タラソフの音楽は観なければ、それができないとすれば想像力をフルに発揮しなければならないということである。こんな耳ではいけない。
●ウラジーミル・タラソフ
イリヤ・カバコフ『世界図鑑』(2008年)
モスクワ・コンポーザーズ・オーケストラ feat. サインホ『Portrait of an Idealist』(2007年)
ロシア・ジャズ再考―セルゲイ・クリョーヒン特集(2007年)
ガネリン・トリオの映像『Priority』(2005年)
●リューダス・モツクーナス
「JazzTokyo」のNY特集(2015/12/27)