ポール・ラザフォード+豊住芳三郎『The Conscience』(No Business/ちゃぷちゃぷ、1999年)を聴く。
Paul Rutherford (tb)
Sabu Toyozumi 豊住芳三郎 (ds)
もともとトロンボーンは「奇妙な声」だが、ポール・ラザフォードはそのことを過激に素直に受け入れた人のように思える。奇妙な声による奇妙な声の幅はとても広く、聴けば聴くほど味わいがある。
かれを迎え撃つのは豊住芳三郎。美しい破裂音やスムースな流れなどは脇に置いておいて、ともかくも騒乱と疾走を見せる。90年代に豊住さんを最初に観たときには、こんな奇天烈な表現もあるのかと無知なわたしは驚いた(ミシャ・メンゲルベルクとのデュオ)。このヴァイタリティのためか、サニー・マレイと共演したときには、マレイが繊細に叩く局面でもお構いなしの騒乱と疾走、マレイのプレイを塗りつぶしてしまった。それもまた豊住さんの個性に違いない。
ここでは、火花を散らすとか衝突するとかいったものではなく、マイペースのふたりがとてもマッチしていて、結果的に波が訪れるたびに快感を覚える。
●ポール・ラザフォード
ポール・ラザフォード『Solo Trombone Improvisations』(1974年)
●豊住芳三郎
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)