Sightsong

自縄自縛日記

オンドジェイ・ストベラチェク『Sketches』

2017-04-30 20:27:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

オンドジェイ・ストベラチェク『Sketches』(Stvery Records、2016年)を聴く。

Ondřej Štveráček (ts)
Gene Jackson (ds)
Tomáš Baroš (b)
Klaudius Kováč (p)

オンドジェイ・ストベラチェクはチェコのテナー吹き。ふつうに言えばモードのシーツ・オブ・サウンド、現代のコルトレーン・フォロワーだ。この盤も「どジャズ」。フレーズにも、たとえばトレーンの『My Favorite Things』を思い出させる瞬間がある。

ただ、音はフレッシュで、ブロウしている間に入ってくる潤いがなまなましさを増している。まだ30歳前、こういう人がチェコにもいるのだというだけで嬉しいことである。

実は目当てはドラムスのジーン・ジャクソン。ヘヴィ級ならではの躍動感があり、フレーズのそこかしこでキメ技を繰り出す(ライヴを観るとこれが本当に快感なのだ)。さすがハービー・ハンコックのトリオでドラマーを務めた人である。最近かれのFBではアメリカの活動ばかり出ていたのだが、ようやく日本に戻ってくる。どこかで観に行こう。

●ジーン・ジャクソン
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
及部恭子+クリス・スピード@Body & Soul(2015年)
デイヴ・ホランド『Dream of the Elders』(1995年)


ヤコブ・ブロ『Streams』

2017-04-30 15:11:14 | アヴァンギャルド・ジャズ

ヤコブ・ブロ『Streams』(ECM、2015年)を聴く。

Jakob Bro (g)
Thomas Morgan (b)
Joey Baron (ds) 

一聴物足りなかったのだが、何度も繰り返しているうちに面白さが浸透してくる。

ヤコブ・ブロのギターは音を長く響かせて、その残響する和音の中にさらなる音を重ねてゆくスタイル。浮遊的という点ではビル・フリゼールやヴォルフガング・ムースピールと共通しているのかもしれないが、ブロは、より透明な音のひとつひとつを楔として刺してゆくように聴こえる。

そしてトーマス・モーガンの中音域でとても制御されたベースが美しく、また、微妙なずらしによってタイム感を奪われる。シンプルなジョーイ・バロンのドラミングも良い。

●トーマス・モーガン
ジェン・シュー『Sounds and Cries of the World』(2014年)
クレイグ・テイボーン『Chants』(2013年)
ポール・モチアン『The Windmills of Your Mind』(2010年)
菊地雅章『Masabumi Kikuchi / Ben Street / Thomas Morgan / Kresten Osgood』(2008年) 

●ジョーイ・バロン
ジョン・ゾーン『Spy vs. Spy』(1988年)


渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン

2017-04-30 12:33:30 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットインで、渋谷毅オーケストラ(2017/4/29)。ハコはほぼ満員。ドイツ語や中国語を喋る人たちもいた。

Takeshi Shibuya 渋谷毅 (p, org)
Kosuke Mine 峰厚介 (ts)
Koichi Matsukaze 松風鉱一 (bs, as, fl)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Kenta Tsugami 津上研太 (ss, as)
Osamu Matsumoto 松本治 (tb)
Akihiro Ishiwatari 石渡明廣 (g)
Katsumasa Kamimura 上村勝正 (b)
Akira Sotoyama 外山明 (ds)
(ゲスト・小川美潮は間違い) 

ファーストセット。「Side Slip」(石渡)。「Reactionary Tango」(カーラ・ブレイ)、石渡さんのギターがいつもより細く鳴らしている印象。渋谷さんのピアノ、微妙に含めた明るい旋律。「Ballard」(石渡)、松風さんはバリトンをイントロから使う。「Three Views of A Secret」(ジャコ・パストリアス)、常にこの曲での津上さんのソプラノは透明感があって良いのだが、この日はちょっとタメを作っていた。その後の峰さんのテナーとバックのオルガン。「Chelsea Bridge」(ビリー・ストレイホーン)、ピアノのイントロにおいて浅川マキとの共演時にしばしば見せた渋谷毅の色気が放たれる。「Brother」(林)、外山さんのドラムスがすごい。

セカンドセット。「もはやちがう町」(石渡)、林栄一のアルトの音圧。珍しく、「What Masa Is... She Is Out To Lunch」(松風)、ギターとピアノとが創り出す浮遊空間の中を松風さんのアルトがうねる。「A New Hymn」(ブレイ)、トロンボーンが主導するかたちのなかで峰さんのテナーが良い。「Jazz Me Blues」(トラディショナル)、遊び香るピアノのイントロ、音に満ち満ちた林栄一・60億分の1のアルト。松風さんのバリトンも見事。「Soon I Will Be Done With The Trouble Of The World」(ブレイ)。「Aita's Country Life」(松風)、愉しい展開の中で松風アルトうねるうねる。上村さんのグルーヴがノリまくり。アンコール、ピアノソロで「Lotus Blossom」(ストレイホーン)。

何度聴いても、終わりの時間が来ないで欲しいと思ってしまう。

今回、「What Masa Is...」の演奏が珍しかったのだが、松風さんによれば、「TAMASA」をやろうという予定でもあったらしい。では「Great Type」は?と訊くと、しばらくやってないなあとのこと。

思い出して、森順治さんが松風さんの家に遊びに行ったとか、と振ってみると、ああ今度共演するんだよ、えーとスマッシュ。いやマッシュです。というわけで、7月になってるハウスでM.A.S.Hにゲスト出演。かつて同時期に松風さんに師事していたSさんが最近M.A.S.Hに客演していて、それで調整したのだとか。スゴい!

●渋谷毅
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅@裏窓(2016年)
渋谷毅+市野元彦+外山明『Childhood』(2015年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅のソロピアノ2枚(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
『RAdIO』(1996, 99年) 
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』(1998年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
『山崎幹夫撮影による浅川マキ文芸座ル・ピリエ大晦日ライヴ映像セレクション』(1987-92年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年) 
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
見上げてごらん夜の星を 


『けーし風』読者の集い(32) 弾圧をこえて、さらに先へ

2017-04-30 10:46:59 | 沖縄

『けーし風』第94号(2017.4、新沖縄フォーラム刊行会議)の読者会に参加した(2017/4/29、千代田区和泉橋区民館)。参加者は7人。

不精なわたしは未だに定期購読にしておらず、数日前にBooks Mangrooveに注文したが到着しないまま参加(帰宅したら届いていた)。

以下のような話題。

●共謀罪のあやうさ。謀議であっても捜査しないとそれとわからないわけである。
●対米恐怖と親米的態度は表裏一体(新崎盛暉)。
●運動において極論を言う者、極端な行動を取る者、カッコいいことをやろうとする者はいるものだが、仮にそれが処罰の対象になってしまうと、全体が委縮する。沖縄や国会前でもそのような指導がなされている。
●沖縄では「現場をつくりだす努力」がなされてきた。それにより、歴史や、たたかいの意味が広く共有された。一方、2015年安保では多くの個人としての市民が国会前に集まった。これらをどうつなげてゆくか。
●運動における個の限界を言う者は少なくない。かれらは組織の中で密室的にことを決定したがり、組織的動員に頼る。しかし、そのような既成の運動は広がりをもたない。
●自らの取り組む運動以外のことを知らない者が少なくない。それでは議論を深めることができない。
●共謀罪に抗してたたかう結果として沖縄問題の解決があるのではない。沖縄問題においてたたかうことによって、法を法たらしめることができる。(一般から具体へではなく、具体において一般を強化)
●砂川事件(1957年)の高裁における再審決定はありうるのではないか。(2016年、東京地裁で再審棄却、現在抗告中) 
●沖縄における「プロ市民」との誤解、それを招いてしまった行動。
●沖縄の米軍基地の県外移設論。2009年衆議院総選挙(民主党が大勝)により沖縄の保守が分裂し、主にその後に出てきた言説である。それは一様ではなく、安保を前提とするもの(高橋哲哉)、安保を日本の問題として問わないもの(知念ウシ)など異なっている。現実論としての捉え方にもゆらぎがある。たとえば、「ご高説」だとの批判がある。目取真俊は高橋哲哉に対し、いつ引き取るのか、辺野古新基地が出来てしまうではないかと迫った(「AERA」、2016年)。
●基地問題はもとより安保に踏み込まなければならないものではないか。沖縄から基地を「引き取る」ことがなくても、既に日本の米軍基地拡充、自衛隊との一体化は進んでいる。すなわちゼロサムではない。
●海兵隊のグアム移転協定(2009年)。対象が9千人だったはずが、知らない間に4千人に変わっていた。これはすなわち、グアム移転の可能性が低下したことと、これが米軍のアジア戦略全体の中に位置付けられることを意味する。
●ウィキリークスにおいて、米軍は沖縄に3本の滑走路が必要だとしているとの内容が露見した(辺野古、嘉手納、那覇)。すなわち、95年以来の「普天間移設」とのストーリーはそれには整合しない。
●オフショア・バランシングの場として沖縄と日本が位置付けられている。もはや米軍の戦略は固定基地に依存していない。
●「非暴力」のとらえなおしが必要。
●高江では現在、鳥類の営巣期間のため、工事がなされていない。曲がりなりにも日本の統治のもとであるからそこが担保されている。しかし、これが米軍の使用下にあって顧みられなくなるのではないか。 

以下、情報提供。

●島尾敏雄『琉球文学論』(幻戯書房)
●嵯峨仁朗・柏艪舎編『死刑囚 永山則夫の花嫁ー「奇跡」を生んだ461通の往復書簡』
●『ぬじゅん』
●映画『海辺の生と死』(原作・島尾ミホ、2017/7公開) 
●高良倉吉『沖縄問題―リアリズムの観点から』(中公新書)
●新崎盛暉『私の沖縄現代史』(岩浪現代文庫)
仲宗根勇・仲里効編『沖縄思想のラディックス』(未來社)
●映画『カクテル・パーティー』(原作・大城立裕、2017/6/23に国際文化会館で上映) 
北島角子さんご逝去。
●『沖縄列島』、『やさしいにっぽん人』、『ウンタマギルー』、『夏の妹』上映(早稲田松竹、2017/5/13-19) 
●安田浩一「沖縄の右派と『プロ市民』」(『一冊の本』2017年4月、朝日新聞出版

●参照
『けーし風』 


チンドン屋@蒲田西口商店街

2017-04-30 09:47:39 | ポップス

蒲田西口商店街にて、菊乃家、チンドンよしの、チンドン芸能社計15名の演奏(2017/4/29)。大賑わい。大爆笑。大迫力。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●参照
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)