Sightsong

自縄自縛日記

廣木光一『Tango Improvisado』

2017-04-16 10:19:38 | 中南米

廣木光一『Tango Improvisado』(hirokimusic、1995年)を聴く。

Koichi Hiroki 廣木光一 (g)

なんて音のひとつひとつが粒として立っているのだろう。驚くほど強度が高く、しかも透き通っている。

廣木さんの書く文章は読むたびに面白く感嘆してしまうのだが、本盤のライナーノーツもまた興味深い。アルゼンチンタンゴのリズムを、幼少時にタケノコ掘りをしたり、球根を植えたりするときの感じに重ね合わせているのである。そしてまた、ジャズのリズムで演奏するときも、横に流れ過ぎないように、縦の振幅をより大事にしているという(「私の中でのジャズのタンゴ化」)。

これほどの強度を持っているからこそ、たとえば、渋谷毅さんとのデュオアルバム『So Quiet』も凄い存在感と透明性を持って創出されたのだろうな、と思ってみたりする。

●廣木光一
安ヵ川大樹+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
吉野弘志+中牟礼貞則+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
Cooljojo Open記念Live~HIT(廣木光一トリオ)(JazzTokyo)(2016年)
廣木光一(HIT)@本八幡cooljojo(2016年)


トニー・マラビー+マット・マネリ+ダニエル・レヴィン『New Artifacts』

2017-04-16 09:45:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

トニー・マラビー+マット・マネリ+ダニエル・レヴィン『New Artifacts』(clean feed、2015年)を聴く。

Tony Malaby (ts)
Mat Maneli (viola)
Daniel Levin (cello) 

いつものことだが、トニー・マラビーのテナーの音色には本当に魅せられてしまう。ヘヴィ級なのに隙間がたくさんあり、テナーらしくてテナーらしくない。常にサウンドの全体と融合し、重層的なテキスタイルを形成するのだ。

そしてここでは弦ふたりとのトリオ。擦れる音と融け合い、重なり合い、役割をいつの間にか交換している。マット・マネリもまた、このようにじっくりと入念に音を積み重ねていくプレイヤーではなかろうか。

マーティー・アーリックがライナーノーツを書いている。やはり豊かなエアを含んだ音色を持ちながらも違う個性を持ったサックス吹きである。曰く、「This shared space is mirrored between the strings and the saxophone. If Mat's viola or Daniel's cello became a tenor, it would be what Tony's tenor is saying.」同感である。

●トニー・マラビー
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas V』(JazzTokyo)(2016年)
トニー・マラビー『Incantations』(2015年)
チャーリー・ヘイデンLMO『Time/Life』(2011、15年)
アイヴィン・オプスヴィーク Overseas@Seeds(2015年)
ハリス・アイゼンスタット『Old Growth Forest』(2015年)
ジェシ・スタッケン『Helleborus』(2014年)
クリス・ライトキャップ『Epicenter』(2013年)
トニー・マラビー『Scorpion Eater』、ユメール+キューン+マラビー『Full Contact』(2013、08年)
トニー・マラビー『Adobe』、『Somos Agua』(2003、13年)
リチャード・ボネ+トニー・マラビー+アントニン・レイヨン+トム・レイニー『Warrior』(2013年)
チェス・スミス『International Hoohah』(2012年)
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas IV』(2011年)
ポール・モチアンのトリオ(2009年)
ダニエル・ユメール+トニー・マラビー+ブルーノ・シュヴィヨン『pas de dense』(2009年)
トニー・マラビー『Paloma Recio』(2008年)
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas III』(2007年)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』(2007年)
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas II』(2004年)

●マット・マネリ
チェス・スミス『The Bell』(2015年)
イングリッド・ラブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
ルシアン・バン『Songs From Afar』(2014年)
ジェン・シュー『Sounds and Cries of the World』(2014年)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』(2007、12年)

●ダニエル・レヴィン
「JazzTokyo」のNY特集(2016/1/31)