Sightsong

自縄自縛日記

川島誠+西沢直人『浜千鳥』

2017-05-21 09:45:30 | アヴァンギャルド・ジャズ

川島誠+西沢直人『浜千鳥』(Homosacer Records、-2016年)を聴く。

Makoto Kawashima 川島誠 (as)
Naoto Nishizawa 西沢直人 (perc)

ワビサビとか枯淡とか言うのは容易だが、それは結果である。それに、枯淡と言うよりも身体を反転させた生の感覚がある。

川島誠のアルトは思索するように、間を置いて、微風でも揺れ動きながら、ときに弱弱しく音を発する。ときに田舎の忘れ去りたい音風景でもある。内面への旅というのか、記憶の深奥へと降りていって、何かの残滓を拾い集めてきては、身体の外に出すこと。それを感知しながら西沢直人のパーカッションが音風景に響きを重ね合わせてゆく。

これはそうしたきびしい過程の一断面なのではないか。

●川島誠
川島誠『HOMOSACER』(-2015年)


メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy、スーパーデラックス

2017-05-21 07:49:58 | アヴァンギャルド・ジャズ

メテ・ラスムセン待望の初来日。これも、日本・デンマーク外交150年を記念した「OPPOSITE」イベントがあってのことである。

■ Candy(2017/5/16)

Mette Rasmussen (as)
Chris Corsano (ds)

クリス・コルサーノは溜息をもらしてしまうほどのスピードをいかんなく発揮した。メテ・ラスムセンはさまざまに音風景を変えながら、身体のダイナミックな動きをフル活用した表現をみせた。実は冗談抜きで素晴らしかったのである。詳細後日。

■ スーパーデラックス(2017/5/20)

Mette Rasmussen (as)
Chris Corsano (ds)
Jim O'Rourke (g)
Akira Sakata 坂田明 (as, cl, vo)

Candyでのデュオにおいては、ふたりとも実に大きなポテンシャルをさまざまな表現の形で垣間見せてくれた。しかしこの日は様子が異なった。

何しろメテさんの横には坂田さんがいて、いつもの調子で飛ばしまくる。メテさんは最初は様子を探る感じで吹いていたのだが、マウスピースをラバーからメタルに取り換えてから明らかに潮目が変わった。とにかく振り落とされず演奏を前へ前へと主導しなければならぬ、そのためのパワープレイだった。貫通する轟音、多彩な音、ダイナミックな動き、それはやはり圧倒的なのだった。

クリス・コルサーノもここではまるでフリージャズのドラマー。繊細な表現手段を開陳するフィールドではなく、やはりパワープレイ。後半なんてほとんどエルヴィン・ジョーンズかというくらいの叩きっぷりであり、後頭部が熱くなった。

それでも、全部4人でやるよりは、当初予定通りにデュオの部をいれたほうが良かった。素晴らしくても「全部があの感じ」になってしまうから。

●メテ・ラスムセン
ドレ・ホチェヴァー『Transcendental Within the Sphere of Indivisible Remainder』(JazzTokyo)(2016年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(JazzTokyo)
(2013年)

●クリス・コルサーノ
クリス・コルサーノ、石橋英子+ダーリン・グレイ@Lady Jane(2015年)
コルサーノ+クルボアジェ+ウーリー『Salt Talk』(2015年)
アイスピック『Amaranth』(2014年)
エヴァン・パーカー+ジョン・エドワーズ+クリス・コルサーノ『The Hurrah』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(2013年)
ネイト・ウーリー『Seven Storey Mountain III and IV』(2011、13年)
ネイト・ウーリー+ウーゴ・アントゥネス+ジョルジュ・ケイジョ+マリオ・コスタ+クリス・コルサーノ『Purple Patio』(2012年)
ロドリゴ・アマド『This Is Our Language』(2012年)