Sightsong

自縄自縛日記

マシュー・ウェルチ+ジェレマイア・サイマーマン『Bardo Thodol』

2018-06-21 23:04:28 | アヴァンギャルド・ジャズ

マシュー・ウェルチ+ジェレマイア・サイマーマン『Bardo Thodol』(Kotekan Records、2016年)を聴く。

Matthew Welch (as)
Jeremiah Cymerman (cl)

バグパイプなど様々な楽器を扱うマシュー・ウェルチだが、ここではアルトサックスに専念している。ジェレマイア・サイマーマンはやはりクラリネット。エフェクトは使われていない。

曲目としては、ジャチント・シェルシ、オーネット・コールマン、モートン・フェルドマン、ピエール・ブーレーズ、アルノルト・シェーンベルクといった音楽家たちに捧げられたものが並べられている。現代音楽の作曲家たちのことはあまり知らないのだが、それぞれの作風を意識したように聴こえなくもない。

ただむしろ、このストイックなデュオにおいて、クラリネットとアルトサックスとが多様な演奏において楽器特有の音を出し、絡み合っては離れ、重なりあいや離脱の瞬間にその旨みが浮上したり、うなりを生じたりするショーケースとなっている面白さがある。

●ジェレマイア・サイマーマン
「JazzTokyo」のNY特集(2017/12/1)


山中千尋@ディスクユニオンJazz Tokyo

2018-06-21 00:36:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

御茶ノ水のディスクユニオンJazz Tokyoで、山中千尋のインストアライヴ(2018/6/20)。

Chihiro Yamanaka 山中千尋 (p)
Hiroyuki Yamamoto 山本裕之 (b)
Genki Hashimoto 橋本現輝 (ds)

普段は健康的すぎるような気がして(無理に理由を考えるなら)、あまり聴かないピアニストだが、こうして演奏を目の当たりにすると圧倒される。

新譜『ユートピア』は20枚目のリーダー作だそうであり、クラシックの曲が中心(『モルト・カンタービレ』もそんなコンセプトのアルバムだった)。どうも自分には距離が遠そうだが、いやいや、かつて松風鉱一さんの「w.w.w.」を取り上げただけで正義の味方である。

リハーサルと言いつつバリバリと弾いた「マンボ」。バダジェフスカ「乙女の祈り」はたいへんな疾走感。阿武隈川でがぶりとやられて以来苦手な白鳥のふてぶてしさをイメージしたという、サン=サーンス「白鳥」。最後に「Utopia」~「Strike up the Band」。もうノリノリ、右手の高速の旋律や、いきなりファンキーに入るノイジーな音なんか、なかなか夢中になって凝視してしまうのだった。