ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』(河出文庫、原著1996-2011年)を読む。
読む前からわかってはいたようなものだが、やはり、気持ちが悪く、とても怖い。いやタイトルからはもうちょっとファンタジックなジュヴナイルかなとも思ったのだが、違った。気持ちが悪く、とても怖い。
本書にはタイトル通り7つの短編が収録されている。少女たちによる少女誘拐監禁。性犯罪を犯した義父への復讐。何でも知っている不吉な猫。立派で邪悪な兄と不健康でアーティストになった弟の双子。立派に見せかけることが天才的で邪悪な兄を呪う双子の弟。未亡人と、アメリカの戦争ですべてを失なった男との救いようのない話。整形外科医の破滅。
どれも読んでいて怖くてやめたいのだがやめられない。翻訳者によれば、オーツはプロット重視ではなく心の動きを中心に描き出すアメリカ短編小説作家の系譜に連なるという(もちろん長編小説もたくさん書いている)。最後の短編で整形外科医が悪夢的にわけのわからない領域に突入する描写なんてまさに心の地獄、圧倒的。
でも怖いの苦手だからしばらくオーツは読まないけんね。あっまだ何冊か積んであった。
●ジョイス・キャロル・オーツ
ジョイス・キャロル・オーツ『Daddy Love』(2013年)
ジョイス・キャロル・オーツ『Evil Eye』(2013年)
ジョイス・キャロル・オーツ『アグリーガール』(2002年)
林壮一『マイノリティーの拳』、ジョイス・キャロル・オーツ『オン・ボクシング』(1987年)
ジョイス・キャロル・オーツ『Solstice』(1985年)
ジョイス・キャロル・オーツ『エデン郡物語』(1966-72年)