セシル・テイラー『Corona』(FMP、1996年)を聴く。
Cecil Taylor (p, voice)
Sunny Murray (ds)
Dominic Duval, Tristan Honsinger, Jeff Hoyer, Chris Jonas, Jackson Krall, Elliott Levin, Chris Matthay, Harri Sjöström (voice)
最初はドミニク・デュヴァルやトリスタン・ホンジンガーらがステージ上で面白い動きでもしていたのだろうか、観客のちょっとした笑いが聴こえてくる。5分あまり、かれらは思い思いにざわめきを作り出す。
そこからの48分間にはただただ圧倒される。セシル・テイラーは絶えず何か大きなものを構築し、それが崩壊しようと残っていようと、ひたすらに再び何か大きなものを構築する。ときにその動きは縦方向ではなく横方向にも化す。硬質な建築士であるだけではない。新鮮なウニを腐らせ溶かすかのような魔の液も放ち、構築した伽藍など大したことではないと言わんばかりのサウンドさえも垣間見せてくれる。そしてサニー・マレイはテイラーの動きと並行していつまでも献身する。
それが過ぎて、最後の7分間、テイラーは涼しい顔で言葉を放つ。最後には「motion... motion...」、「time... time...」と。なんて人だろう。
●セシル・テイラー
セシル・テイラー+田中泯@草月ホール(2013年)
ドミニク・デュヴァル セシル・テイラーとの『The Last Dance』(2003年)
セシル・テイラー+ビル・ディクソン+トニー・オクスレー(2002年)
セシル・テイラーの映像『Burning Poles』(1991年)
セシル・テイラー『The Tree of Life』(1991年)
セシル・テイラー『In Florescence』(1989年)
ザ・フィール・トリオ『Looking (Berlin Version)』(1989年)
1988年、ベルリンのセシル・テイラー
イマジン・ザ・サウンド(1981年)
セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(1979~1986年)
セシル・テイラー『Michigan State University, April 15th 1976』(1976年)
セシル・テイラー『Dark to Themselves』、『Aの第2幕』(1969年、76年)
ザ・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ(1968年)
セシル・テイラー『Live at the Cafe Montmartre』(1962年)
セシル・テイラー初期作品群(1950年代後半~60年代初頭)