Sightsong

自縄自縛日記

マーティン・エスカランテ+小埜涼子『Duo』

2019-08-11 12:48:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

マーティン・エスカランテ+小埜涼子『Duo』(2019年)を聴く。

Martín Escalante (as)
Ryoko Ono 小埜涼子 (as)

先のノア・ソウザとのデュオとは大きく異なり、相方は小埜涼子さんである。

確かに小埜さんも奇妙でフリーキーな音を出すものの、アルトのキー操作によってフレーズを繰り出してゆく。というか、それがアルトを吹くということである。一方のエスカランテは操作やフレージングよりも、破綻しようがしまいが吹き続けることに最大のアイデンティティを持っているようにみえる。その結果ポルタメントにも聴こえるぐちゃぐちゃの奔流が生まれている。

なにものにも負けないようにみえる強度をもったふたりが、まるで違うくせに、平然と共存してみせている。そのことがとても感動的。

●マーティン・エスカランテ
マーティン・エスカランテ+沼田順+石原雄治@なってるハウス(2019年)
マーティン・エスカランテ、川島誠、UH@千駄木Bar Isshee(2019年)
マーティン・エスカランテ+ノア・ソウザ『The Sprawl』(-2019年)
マーティン・エスカランテ+ウィーゼル・ウォルター『Lacerate』(2018年)
シシー・スペイセク『Spirant』(2016年)

●小埜涼子
mn+小埜涼子@七針(2019年)
林栄一+小埜涼子『Beyond the Dual 2』(2014-15年)


マーティン・エスカランテ+ノア・ソウザ『The Sprawl』

2019-08-11 10:32:13 | アヴァンギャルド・ジャズ

マーティン・エスカランテ+ノア・ソウザ『The Sprawl』(Potentially Kinetic Records、-2019年)。

Martín Escalante (as)
Noah Souza (as)

まだマーティン・エスカランテの衝撃の来日から2か月くらいしか経っていないのだが、嵐のようなものだったせいか随分前のことに感じる。このCD-Rはその前に台湾のマニアであるJan-wen Luさんに見せてもらっていて、ぜひ本人から買おうと決めていた。そして確認した限りでもまったく異なる手塗りのジャケットは5種類。作ったのは相方のノア・ソウザ(南米だから送料が高かった、とJan-wenさんの弁)であり、たぶん数十種類はあるのだろう。変な人だなあ。

それで、嵐のあとにときどき聴くのだが、ともかくも何があろうとも渾身の力で吹き続けるマーティン・エスカランテの音の洪水に耳を晒していると、奇妙な勇気が生まれてくる。おそらくソウザもかれと一緒に踊り続けるのだからよほどのものだ。即興とは自分自身を出すことだ、という観点でみればエクストリームに正義。

●マーティン・エスカランテ
マーティン・エスカランテ+沼田順+石原雄治@なってるハウス(2019年)
マーティン・エスカランテ、川島誠、UH@千駄木Bar Isshee(2019年)
マーティン・エスカランテ+ウィーゼル・ウォルター『Lacerate』(2018年)
シシー・スペイセク『Spirant』(2016年)


早川岳晴『kowloon』

2019-08-11 08:32:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

早川岳晴の新しいソロ作品が出るらしい。そんなわけで『kowloon』(studio wee、2002年)を聴いている。

Takeharu Hayakawa 早川岳晴 (b, saz, darbuka, rhythm programming, kalimba)
Takao Watanabe 渡辺隆雄 (tp)
Tatsuya Yoshida 吉田達也 (ds)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Nobuo Fujii 藤井信雄 (ds)
Keiki Midorikawa 翠川敬基 (cello)
Mari Sekine 関根真理 (ds, perc)

このあくの強い面々とのソロ、デュオ、トリオ。各氏ためらうことなく一気に自分を出しているようで実に痛快だ。

早川氏のベースはリーダーだけあってアルバム全体を覆っていて、とても粘っこく、常に次のダッシュに向かっている感覚がある。それはオマケのCD-Rに収録された演奏(早川、渡辺、吉田)においてより過激で、三者とも眼をかっ開いて5分後のゴールに向かって爆走。

●早川岳晴
渡辺隆雄+早川岳晴『Hums For Midnight Amble』(2018年)
生活向上委員会大管弦楽団『This Is Music Is This?』(1979年)