Sightsong

自縄自縛日記

ブランフォード・マルサリス『The Secret Between The Shadow And The Soul』

2019-08-22 08:21:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

ブランフォード・マルサリス『The Secret Between The Shadow And The Soul』(Marsalis Music、2018年)を聴く。

Branford Marsalis (sax)
Joey Calderazzo (p)
Eric Revis (b)
Justin Faulkner (ds)

最近ではブランフォード・マルサリスが話題になることも少ないし、このアルバムも出ていたことにしばらく気がつかなかった。

それにはやはり理由があって、2010年代のジャズの動きに敢えて背を向けているように見えること、またブランフォード自身のサックスやバンドのスタイルを変えていないことが大きい。かつてブランフォードが先鋭的に聴こえたのは80年代から90年代のピアノレストリオ(『Trio Jeepy』や『The Dark Keys』)だとか、R&Bやヒップホップと仲間になろうとしたアルバムだとか、だった。

本盤は典型的なカルテットで、驚いたことに、アンドリュー・ヒル(「Snake Up Waltz」)やキース・ジャレット(『Belonging』の「The Windup」!)も演奏している。しかしすべてブランフォードの、というか、マルサリスのスタイルだ。ヒルの歪みもキースの人外感もない。

でも好きである。ブランフォードのサックスはなめらかで巧く惚れ惚れするし、ジョーイ・カルデラッツォは今もまだ溌剌としている。ホントに高品質なサウンドで決して退屈ではない。

●ブランフォード・マルサリス
及部恭子+クリス・スピード@Body & Soul(2015年)
エリック・レヴィス『In Memory of Things Yet Seen』(2014年)
ハリー・コニック・ジュニア+ブランフォード・マルサリス『Occasion』(2005年)
デイヴィッド・サンボーンの映像『Best of NIGHT MUSIC』(1988-90年)


『TEST』

2019-08-22 00:38:23 | アヴァンギャルド・ジャズ

『TEST』(AUM Fidelty、1998年)を聴く。

Sabir Mateen (as, ts, fl, cl)
Daniel Carter (as, ts, tp, fl)
Tom Bruno (ds)
Matthew Heyner (b)

タリバム!のマット・モッテルが、ランチ後にマックでNYの音楽シーンの個人史のような話をしてくれて、その中に、この「TEST」というバンドが出てきた。

ベースとドラムスに管楽器がふたり、サビア・マティーンが右、ダニエル・カーターが左。ふたりとも楽器をあれこれ持ち替えているが、どれであっても個性の違いがあらわれていて面白い。マティーンはエネルギッシュに良い音で前に出てきて渦を作る。カーターは一歩引いたようで、いちど沈めてまた持ち上げたような音色で、伴奏するようなソロ。

ソリッドと言いたくなるがよく聴くと緻密な応酬である。たしかにこれが目の前で行われていたら夢中になるだろうね。

●サビア・マティーン
ウィリアム・パーカー『Essence of Ellington / Live in Milano』(2012年)
サニー・マレイ『Perles Noires Vol. I & II』(2002、04年)

●ダニエル・カーター
ダニエル・カーター+ウィリアム・パーカー+マシュー・シップ『Seraphic Light』(JazzTokyo)(2017年)
マシュー・シップ『Not Bound』(2016年)
トッド・ニコルソン+ニューマン・テイラー・ベイカー+ダニエル・カーター@6BC Garden(2015年)
ダニエル・カーター『The Dream』、ウィリアム・パーカー『Fractured Dimensions』(2006、03年)