Sightsong

自縄自縛日記

アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』

2014-09-03 07:44:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』(TUM Records、2005年)。ずっと興味があったが、ようやく聴くことができた。

Andrew Cyrille (ds)
Greg Osby (as, ss)

とてもシンプルな、シリルとオズビーのデュオである。シンプルだが、味わいもスリルもあって、1時間、ずっと耳が吸い寄せられる。

シリルの演奏は、実際に目にすると、武道の達人のようである。ここでも見事な演舞を繰り広げている。おそらく、手と足がすべて必然のように動いていたに違いないのだ。

オズビーが登場してきたときには、スティーヴ・コールマンのエピゴーネンのようにしか感じられなかった(実際にそうであったのかもしれないが)。ただ、今や、ミニマルな断片を積み上げて行くような感覚は完全にオリジナルなものに思える。かつて来日し、菊地雅章とのデュオで「Little Abi」を吹いたときには感激した(DUGで聴いた)。この6月、ニューヨークで、マット・ウィルソンらと組んで「キース・ジャレットの音楽を演奏する」という風変わりなライヴをやっていたが、それは残念ながら覗くことができなかった。録音していれば是非公表してほしいところだ。

●参照
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard
アンドリュー・シリル『Duology』
ビリー・バング+サン・ラ『A Tribute to Stuff Smith』


フィリップ・ル・バライレック『Involved』

2014-09-02 07:41:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

フィリップ・ル・バライレック『Involved』(Out Note Records、2011年)を聴く。(わたしはフランス語をまったく知らないのだが、この表記でいいのか?)

Philippe Le Baraillec (p)
Chris Cheek (ts)
Mauro Gargano (b)
尾上一郎 (ds) 

目当ては、クリス・チークのサックスである。スティーヴ・スワロウ『Into the Woodwork』において、とても良いソロを吹いていたことが印象的だったのだ。

ここでも、表面をマイルドにコーティングしたような音色と、甘酸っぱい(笑)ようなフレーズをたくさん聴くことができる。と言うと、アンディ・シェパードだってそうじゃないかという気がしてくる。ふたりともカーラ・ブレイやスティーヴ・スワロウの音楽と親和性があることは、偶然ではないに違いない。

バライレックのピアノは流麗で、普段積極的に好んで聴くようなものではないのだが、これは良い。ただ、ラスト曲の「St. Thomas」(ソニー・ロリンズ)には、チークも参加してほしかった。

●参照
スティーヴ・スワロウ『Into the Woodwork』