本八幡のcooljojo(2018/4/15)。三者三様の個性。
Mikiko Nagatake 永武幹子 (p)
Shinpei Ruike 類家心平 (tp)
Ryusaku Ikezawa 池澤龍作 (ds)
ファーストセットは富樫雅彦の曲をまじえたインプロ。冒頭から、永武さんのいつにない激しさに驚かされた。
どうしても富樫雅彦の音が耳にこびりついているために参照項となってしまい、池澤龍作のドラミングとの違いゆえにそちらに意識が引き寄せられる。ある一定のパターンをもとに大きな円弧を描くような展開において、極めて精緻で研ぎ澄まされた富樫の音に対して、池澤さんのドラミングにはより逸脱があって、それが面白さだった。
何度もインプロ特有の潮目の変化があって、ところどころに、富樫雅彦の美しいメロディが入ってくる。中でも、静かに「Waltz Step」が聴こえてきたときには新鮮だった。このときはピアノ中心だったのだが、それにしても、類家心平のトランペットはいつもながらにエモーショナルであり、朗々と吹くときなどにはなぜか日本の童歌を思い出してしまう。
セカンドセット。「There Is No Greater Love」では前半とはうって変わって永武さんのオールドスタイルの跳ねるようなピアノ。池澤さんのブラシが気持ち良い。「Duke Ellington's Sound of Love」(ミンガス)では類家心平の朗々とした見事なトランペット、「September in the Rain」では池澤龍作の複合リズム。ピアノが途中で「Epistorophy」のように介入する面白さがあった。「石頭歌」(石ころの歌)は永武さんがエリ・リャオに教えてもらった台湾アミ族の歌だそうであり、ここでも、類家さんのレンジが広くウェットな雰囲気が良い。それを引き継いで物語を諄々と語るようなピアノ。ときにマル・ウォルドロンを思わせる同音のアプローチがあった。「Groovin' Parade」(山下洋輔)ではニューオーリンズ的なゴキゲンさ。池澤さんのドラムスは執拗になにかの形を構築していくようで見せ場を作った。アンコールは「I'll Be Seeing You」。
再演があるとまた別の音楽になるに違いない。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4
●永武幹子
永武幹子+加藤一平+瀬尾高志+林ライガ@セロニアス(2018年)
永武幹子+瀬尾高志+竹村一哲@高田馬場Gate One(2017年)
酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)
永武幹子+瀬尾高志+柵木雄斗@高田馬場Gate One(2017年)
MAGATAMA@本八幡cooljojo(2017年)
植松孝夫+永武幹子@北千住Birdland(JazzTokyo)(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)
●類家心平
東京ザヴィヌルバッハ・スペシャル@渋谷The Room(2018年)
TAMAXILLE『Live at Shinjuku Pit Inn』(2017年)
森山威男3Days@新宿ピットイン(2017年)
ナチュラル・ボーン・キラー・バンド『Catastrophe of Love Psychedelic』(2015-16年)
RS5pb@新宿ピットイン(2016年)
白石雪妃×類家心平DUO(JazzTokyo)(2016年)
白石雪妃+類家心平@KAKULULU(2016年)
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
板橋文夫『みるくゆ』(2015年)
森山・板橋クインテット『STRAIGHTEDGE』(2014年)