Sightsong

自縄自縛日記

西島芳 triogy@本八幡cooljojo

2018-07-17 07:50:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のcooljojoで、西島芳のtriogy(2018/7/16)。

triogy:
Kaori Nishijima 西島芳 (p, vo)
Hiroshi Yoshino 吉野弘志 (b)
Yoshinori Shiraishi 白石美徳 (ds)

この3月に下北沢のApolloで観て素晴らしかったこともあり、5月にもと思っていたのだが、タイミング悪くわたしが入院してしまった。そんなわけで4か月ぶり、また観ることができてとても嬉しい。

西島さんの音楽には、淡い光の中で静かに佇むような独特な世界を垣間見ることができる。時間のあわいを大事に取り出したような感覚である。それがたとえば「Dawn」であり、西島さんの囁きと白石さんのブラシとが重なって何とも言えない夢現のサウンドが出来上がっていた。「Where is my dream?」「hard to remember」と歌っていたように。

「Evening」での魅力的なピアノの和声、「つばめ」での遠くなったり近づいたりする濃淡、「大きな魚」でのヴォイスとピアノとの気持ちよい重なりと微妙なズレなんかも良かった。

またそればかりではなく、「Bran New Cubic」や「ものすごく速いらしいクルマ」ではスピーディーに飛ばし、吉野さんの良い音のベースも、あまり大きな音を好まないらしい白石さんのドラムスも、ここではサウンドを駆動して、他の曲とのコントラストで目が醒めるようだった。先日のApolloでは、休憩時間にキース・ジャレットのスタンダーズ(たしか『Standards in Norway』)が流されていて、西島さんが「スポーツカーのよう」と表現していたことを思い出した。キースとは異なるピアノトリオのサウンドではあるけれど。

吉野さんのベースにはいつもながらに実に味がある。ライヴで歌うことはないが、声もそうであり、無関係ではないに違いない。

こんどの東京でのライヴは9月19-21日、triogyとtrio SONONI(Apolloと新宿ピットイン)。なんとか駆けつけようと思っている。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●西島芳
西島芳 triogy@下北沢Apollo(2018年)
西島芳 trio SONONI@下北沢Apollo(2018年)
西島芳アンサンブル・シッポリィ『Very Shippolly』(2017年)

●吉野弘志
西島芳 triogy@下北沢Apollo(2018年)
吉野弘志+中牟礼貞則+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2008年)
向島ゆり子『Right Here!!』(1995-96年)
ジョセフ・ジャーマン

●白石美徳
西島芳 triogy@下北沢Apollo(2018年)
かみむら泰一session@喫茶茶会記(2017年)
照内央晴「九月に~即興演奏とダンスの夜 茶会記篇」@喫茶茶会記(JazzTokyo)(2016年)


大井町フィールドワーク

2018-07-17 06:47:45 | 関東

いつも蒲田ばかりで下車していると目が曇ってしまう。そんなわけで、週末に大井町の初フィールドワークを敢行した(呑むだけ)。同行者のおふたりもこの近くとは言え蒲田ほど詳しくはない様子で、出てくる言葉は大井武蔵野館とかそんな昔話くらい。

自分もはじめてだと思い込んでいたのだが、よく考えると、ニコンの大井製作所には光学ガラスを作った伝説的な坩堝があり、何度か訪問して敷地内に入ったことがあった。いまだに熱狂的なファンはここを聖地とみなす(『科学の眼 ニコン』)。工場前は「光学通り」である。わたしは銀塩はペンタックスとライカ、ニコンにはあまり縁がなかった。

駅を出るとまずは東側の「東小路」とその先の「すずらん通り」、「平和小路」を散策する。比較的まっすぐではあるが、狭くて横丁に入るとよくわからなくなりそうな作りである。共同便所もある。藤木TDC『東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く』によると、ここが建物疎開地にできた貴重なヤミ市跡ということである。

まずは東小路の入り口にある「牛タンいろ葉」で、柔らかい名物の茹でタン、それからポテサラやいぶりがっこ(クリームチーズと蜂蜜を付けて食べる)。塩レモンサワーは普通のレモンサワーのようだが、実はよく混ぜないと塩が底のほうに沈んでいる。かなり賑わっている。店員さんがなかなか来てくれずテーブル上の懐かしいくじ引き器を見ると、上に呼び出しボタンなどが付いていた。新タイプなのだった。

同じ東小路にある中華料理の「永楽」にも、多くの客が入っており、外には空くのを待っている人さえもいた。日曜日ゆえ閉まっている店が多いからでもあるようで、残念ながら、人気店の「肉のまえかわ」もシャッターを下ろしていた。

右往左往した挙句に、洋食をつまみながら呑むのも悪くはないだろうという結論に達し、平和小路の「ブルドック」に入った。すっかり暗くなり、このごちゃごちゃした雰囲気で気分が高まる。ショーケースのサンプルはアレだが、店内は古くはあっても綺麗にしてある。野菜が必要だろうと頼んだミックスサラダが想定外の逸品で、次々に箸が伸びた。また巨大なメンチカツはしつこくはなく、あっさりと食べられた。再訪決定。

もう1軒と食べログ検索したところ、沖縄料理の店が界隈に3軒ある。しかし、そのうち「アランチャ」というバーはどうも姿を消しているようだった。そんなわけで、西側の大井町線ガード下に並ぶ商店街「大井サンピア商店街」を歩き、道を渡ったところにある「沖縄の味 ぶがりの~し」に入った。隣の「南風 どなん」は臨時休業だった。

『東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く』によれば、「大井サンピア商店街」は実はかなり長い歴史を持つ。1927年に「目黒蒲田電鉄線」として開業したときから、国鉄大井工場(いまのJRの車両センター)の労働者をターゲットとした商店街だったという。いま並ぶのは新しい店が多いようだったが、活気があることは間違いない。

なお、西口の大きなイトーヨーカドーの敷地に、多くの飲食店(大井新地のマーケット)があったようである。

「若い頃、あのあたりを歩くと、呼び込みの化粧の濃いオネエサンに『どこいくの?』なんてからかわれて、お尻をポンと叩かれたりしてね」。(フリート横田『東京ヤミ市酒場』

「ぶがりの~し」では、島豆腐と島らっきょう。泡盛の種類は多く、貴重な泡波も置いてあった。高いから次の機会に。


現代三味線デュオ『弦発力』(斎藤僚太、ヨシュア・ヴァイツェル)

2018-07-14 08:30:57 | アヴァンギャルド・ジャズ

現代三味線デュオ『弦発力』(Kendra Steiner Editions、2016-17年)を聴く。

Ryota Saito 斎藤僚太 (shamisen)
Joshua Weitzel (shamisen)

これまでのヨシュア・ヴァイツェルのライヴやCDを聴くと、三味線の音を、三味線の伝統的な文脈を出発点としてではなく、最初から越境を視野に入れて模索してきたことがわかる。

本盤もただの三味線のデュオではない。いきなりのホワイトノイズ、これは何だ? 吹いているのか、弦を擦っているのか? 擦っているとして、それは人力で? その意思が隠されている音の横で、撥で弾き叩くことによる独特の三味線成分が放出されている。それは揺らぎであり、倍音であり。

しかし、音の拡張はそれにとどまらない。やがて、明らかに電動の道具が弦を擦り弾く展開となる。やはりその横で通常の三味線の音が出されているのだが、三味線コンテキストから言えば異常事態が発生しているからこそ、三味線の三味線性が浮かび上がってくる。そしてまた、通常とはいっても通常ではない。ふたりの触手は、揺らぎ、軋み、不均一といった周辺領域に伸び続ける。

刺激的な越境音楽である。ドイツ・カッセルから来日中のヴァイツェルはこのデュオもやるそうなので(7/21、Ftarri)、いくつもの疑問を抱えて観に行こうと思っている。

●ヨシュア・ヴァイツェル
二コラ・ハイン+ヨシュア・ヴァイツェル+アルフレート・23・ハルト+竹下勇馬@Bar Isshee
(2017年)
大城真+永井千恵、アルフレート・23・ハルト、二コラ・ハイン+ヨシュア・ヴァイツェル+中村としまる@Ftarri
(2017年)
ウルリケ・レンツ+ヨシュア・ヴァイツェル『#FLUTESHAMISEN』(2016年)


佐藤浩一+福盛進也@神保町試聴室

2018-07-14 07:40:14 | アヴァンギャルド・ジャズ

神保町試聴室で、佐藤浩一と福盛進也のデュオ(2018/7/13)。

Koichi Sato 佐藤浩一 (p)
Shinya Fukumori 福盛進也 (ds)

佐藤浩一もスーパーなピアニストである。「も」って何だ。佐藤浩一は唯一性のあるスーパーなピアニストである。

誰もが実力を知るかれと、ECMからリーダー作を出した福盛進也とのはじめてのデュオという企画。インパクトがあったのか、神保町試聴室には30人近くの人が集まり椅子が埋まった。

この日の演目はふたりのオリジナルばかり。そしてふたりの音楽的な相性は良さそうである。従って、ふたりとも、完全に自分の領域内で演奏を繰り広げた(かなり長く、50分くらいを2セット)。福盛進也のシンバルもブラシもかなり繊細で、リズムも強度もスピードも自在、楽器が鳴る音をとても大事にしており、それを無理に意思で突破することはない。佐藤浩一のピアノはタッチが柔らかく、やはりピアノを手段として自己を無理に露出させることはない。実のところ、その巧みなプレイが特定の領域内であることに不満がなくはない。

●佐藤浩一
本田珠也『Ictus』(2017年)
小沼ようすけ+グレゴリー・プリヴァ、挟間美帆 plus 十@Jazz Auditoria(2017年)
rabbitoo@フクモリ(2016年)
rabbitoo『the torch』(2015年)
福冨博カルテット@新宿ピットイン(2015年)
安ヵ川大樹『神舞』(2012年)


中村としまる+ジョン・ブッチャー『Dusted Machinery』

2018-07-13 07:42:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

中村としまる+ジョン・ブッチャー『Dusted Machinery』(2009年)を聴く。

Toshimaru Nakamura 中村としまる (no-input mixing board)
John Butcher (sax)

ジョン・ブッチャーの超絶技巧は言ってみれば「いつもの通り」であり、感嘆はするけれど、もはやこちらも驚くように驚くことはしない。それは多彩極まりない音も自己で完成されたものとして提示されるからでもある。自己の殻をやぶろうとする仕草など見せれば、毎回、聴く者にそのプロセスを疑似体験させることができるのかもしれないが、かれはそのようなことはしない。

そのブッチャーの音世界と対等に演奏している中村としまるもやはり凄い。「no-input mixing board」はコントロール自体が至難に見えるのだが、そのようにクソ重いものを操って大きな流れを作りだしている。

重いものが動くときは慣性も大きいわけだが、何の前触れもなく突然それが途絶し音風景が変わる。ブッチャーも平然とその瞬間に脱皮する。

2009年、ロンドンにおける録音。最初はスーパーデラックスでの共演であったという。こんどブッチャーが来日することでもあれば、ぜひこのデュオを観てみたい。

●中村としまる
フタリのさとがえり@Ftarri(2018年)
竹下勇馬+中村としまる『Occurrence, Differentiation』(2017年)
クレイグ・ペデルセン+中村としまる@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
中村としまる+沼田順『The First Album』(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)
山内桂+中村としまる『浴湯人』(2012年)

●ジョン・ブッチャー
ジョン・ブッチャー+ジョン・エドワーズ+マーク・サンダース『Last Dream of the Morning』(2016年)
歌舞伎町ナルシスの壁(2016年)
ジョン・ブッチャー+高橋悠治@ホール・エッグファーム(2015年)
鈴木昭男+ジョン・ブッチャー『Immediate Landscapes』(2006、15年)
ジョン・ブッチャー+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『So Beautiful, It Starts to Rain』(2015年)
The Open Secret『A Geography For Plays』(2014年)
ジョン・ブッチャー+トマス・レーン+マシュー・シップ『Tangle』(2014年)
ロードリ・デイヴィス+ジョン・ブッチャー『Routing Lynn』
(2014年)
ジョン・ブッチャー@横浜エアジン(2013年)
ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Bottle Breaking Heart Leap』(2013年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+ジョン・ブッチャー+ポール・リットン『Nachitigall』(2013年)
ジョン・ブッチャー+大友良英、2010年2月、マドリッド(2010年)
ジョン・ブッチャー+マシュー・シップ『At Oto』(2010年)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
ジョン・ブッチャー『The Geometry of Sentiment』(2007年)
デレク・ベイリー+ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Scrutables』(2000年)
『News from the Shed 1989』(1989年)

ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年) 


吉田野乃子@四軒茶屋

2018-07-12 23:59:41 | アヴァンギャルド・ジャズ

三軒茶屋の四軒茶屋に足を運び、吉田野乃子ソロ(2018/7/12)。

Nonoko Yoshida 吉田野乃子 (as)

野乃子さんがソロに取り組んで4年だそうで、この日も吉田野乃子スタイルのルーパーを使った演奏。

冒頭に、「空ヲ知ル」(トリオ深海ノ窓『目ヲ閉ジテ 見ル映画』に収録)。北海道の空知という地域名から付けられた名前だそうである。いきなりトレードマーク的な強い音圧のアルトがハコの中を高速で飛び交い反射する。2曲目は、お客さんに言ってもらった言葉も含めて録音し、ルーパー遊び。曲名はこの場所にちなんで「四茶」。そして、『Lotus』に収録されている「Desert Island」では抒情的なはじまりから音が次第に重ねられてゆき、野乃子さんの強い音がまるで小さい無数の分身となってそのあたりを飛翔するようなサウンドになった。続いて、やはり『Lotus』収録の「Uru-Kas」。ここにきてアルトは鋭い音波となって空中でぴきぴきと音を立てた。

ファーストセット最後には、「M's Flat」(『Iwamizawa Quartet』に収録)。MさんとはNY時代の友人だそうで、その悩みを共有したことが曲のモチーフになっている。そう思って聴くと、優しい和声も、慰撫するような曲調も、ルーパーの音をいったんゼロにしての孤独な奮闘を思わせるソロも、また複数の音となっての重なりあいも、そのような意味が込められているのではないかという印象があった。

セカンドセット、最初は即興であり、終盤のマルチフォニックの音に押される。2曲目は、Kim Yooi/吉武裕二というサックス奏者とChant Recordsに吹き込んだ曲「Blood Orange」。いつもはウドゥドラムを使うそうだが、「壺を東京に持ってくるのも大変」なので、カスタネットを使いながらの演奏。3曲目は、サッカーをする妹夫婦をネタにした「Taka 14」、確かに疾走感があり、また片足で音を止めたり、マウスピースを外して吹いたり、コップの水につけたりと、飛び道具を持ってきた。次に、亡くなったお母さんが闘病時に元気になるように書いたという、「Lunatics」(『Lotus』)。ここでは身を震わせながら吹くアルトが祈りのように思えた。

アンコールは、PAを切り、ルーパーも脇に蹴飛ばしての生音ソロ「East River」(『Lotus』)。さすが。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●吉田野乃子
デイヴ・スキャンロン+吉田野乃子@なってるハウス(2018年)
トリオ深海ノ窓『目ヲ閉ジテ 見ル映画』(2017年)
『トリオ深海ノ窓 Demo CD-R』、『Iwamizawa Quartet』(2017、2007年)
乱気流女子@喫茶茶会記(2017年)
吉田野乃子『Demo CD-R』(2016年)
吉田野乃子『Lotus』(2015年)
PAK『NYJPN』(-2014年)
ペットボトル人間の2枚(2010、2012年)


マカヤ・マクレイヴン@ブルーノート東京

2018-07-11 07:44:02 | アヴァンギャルド・ジャズ

ブルーノート東京で、マカヤ・マクレイヴンを観る(2018/7/10、2nd)。

Makaya McCraven (ds)
Greg Ward (as)
Matt Gold (g)
Junius Paul (bass g)

というのも、マクレイヴンの『Highly Rare』がかなりカッコいい傑作だったし、それがいまのシカゴの動きのひとつだとすれば観ないわけにはいかないからだ。ベースギターのジュニアス・ポールは、ロスコー・ミッチェル『Celebrating Fred Anderson』でも個性的な音を出しており、他にも故フレッド・アンダーソンやカヒル・エルザバーとも共演していたりする。かれもまたシカゴの精鋭ということか。

この日の曲は、『Highly Rare』やその前の『In The Morment』の収録曲、またアイドルだったというトニー・ウィリアムスのチューンなど。

とても印象的だったのはサウンド全体のつくりである。伝統的なジャズが譜面の時間軸に沿った進行であり、全体を見渡しつつ曲や時間やバランスの枷を意識しつつ自分の音を出すというものだとして、かれらのサウンドは、すでに全体が地図となっているように思えた。曲がコンター付きの地図であり、それが精細であろうとなかろうと、メンバーは既に全体像を鳥瞰できている。その地図の上で出口に向かってルートを辿ってゆき、自由も個性も発揮する感覚。

したがって、「この小節でソロという見せ場を発揮する」決め事よりも次元の軸が増えており、複雑な曲の中で全員が複雑なルールをこなしているように聴こえるのも、グレッグ・ウォードのサックスが一聴その中に埋没しているように感じられるのも、それと無関係ではない。しかし、決してつまらなくはない。むしろ多次元世界の音楽住人たりえている姿がとても面白かった。

マクレイヴンのビートはちょっと変わっている。大汗は流すけれど、従来のドラマーが盛り上げるために組み立てるあり方とは明らかに違っていて、隙間も多く、大きな流れの一部でありつつどこからでも始められる分散型でもあった。また電子ドラムのように聴こえたりもして、かつてトニー・ウィリアムスが遊びで試行的に使ったものがこのようなハイパーな世界へと展開したという見方もあるのかも知れないなと思った。

ジュリアス・ポールのベースギターは、終始カッチョいいグルーヴを作り出していた。やはり今後も注目。

最後に、マカヤの父スティーヴン・マクレイヴンに捧げる曲が演奏された。実はかれらが父子だなんてこの日の朝はじめて気が付いた。20年くらい前に、アーチー・シェップとともに来日したスティーヴンに、サインをもらったことがある。演奏後、そのCDをマカヤに見せるとすごく喜んで、自分のCDと並べてスマホで写真を撮ったりしていた。

●マカヤ・マクレイヴン
マカヤ・マクレイヴン『Highly Rare』
(2016年)


白石民夫@新宿西口カリヨン橋 その6

2018-07-10 00:56:13 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿西口カリヨン橋の白石民夫さん、今年2回目(2018/7/9)。

Tamio Shiraishi 白石民夫 (as)
Toshi Tanaka 田中トシ (dance)

生暖かくもあるが気持ちよくもある天気。

またも早く着きすぎてしまったのだが、白石さんは既にそこに立っていた。ジャイナ・ブートレグや仕事の話などをしていると、やがて、田中トシさんが現れた。1980年代にTACOの活動をともにしていた人であり、現在はブラジル在住なのだという。さらに、山崎春美さんも現れた。いきなりカリヨン橋にわけのわからない磁場が出来上がった。

22時、時間通りに始まった。やはり白石さんの音はわかってはいても想像の上をいく。その高音と抽象の飛び道具の中で、田中さんが動く。身体を折りたたむようでもある。ひんぱんに橋の向こうから駅のほうへと人が歩いてくるのだが、通り過ぎた直後、かれらの背後から同じ速度で田中さんがいきなり滑るように並行移動した。これには驚いた。そしてまた、まるで地平線の向こうに消えるように小さくなる。

白石さんはその動きに呼応し、追従するように、また攻撃するように、また無視するように、身体の向きを変え、音を放つ向きを変え、また歩いたりもした。それにより、ひとつの場所から新宿の空を刺すのではなく、この独特の空間全体に抽象がばら撒かれ、拡げられた。田中さんが唸ると、山崎さんも叫んだ。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●白石民夫
白石民夫@新宿西口カリヨン橋 その5(2018年)
2016年の「このCD・このライヴ/コンサート」
白石民夫@新宿西口カリヨン橋 その4(2016年)
白石民夫@新宿西口カリヨン橋 その3(2016年)
白石民夫@新宿西口カリヨン橋 その2(2015年)
白石民夫@新宿西口カリヨン橋(2015年)


ジャスティン・ブラウン『NYEUSI』

2018-07-08 16:02:30 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジャスティン・ブラウン『NYEUSI』(Biophilia Records、2015年)を聴く。

Justin Brown (ds, Fender Rhodes, synth, Yamaha DX7)
Mark Shim (Wind Controller)
Jason Lindner (Moog Synth, Prophet, Mopho, Schoenhut Piano)
Fabian Almazan (Fender Rhodes, Mopho, Wurlitzer, Laptop)
Burniss Travis (b)

アンブローズ・アキンムシーレやジェラルド・クレイトンらのバンドで異次元のドラミングを聴かせてくれたジャスティン・ブラウン。

それだけに大きく期待したのだが、正直言ってあまり面白くはない。確かにジェイソン・リンドナーやファビアン・アルマザンのきらびやかなシンセサウンドの中で、重力を無視して空中を跳躍し、リズムもスピードも自在に変えるブラウンは素晴らしい。しかしそれにしても、これでは刺激が無さすぎる。時代遅れにさえ感じる。

●ジャスティン・ブラウン
アンブローズ・アキンムシーレ『A Rift in Decorum: Live at the Village Vanguard』(2017年)
アンブローズ・アキンムシーレ『The Imagined Savior is Far Easier to Paint』(2014年)
パスカル・ルブーフ『Pascal's Triangle』(2013年)
ジェラルド・クレイトン『Two-Shade』、『Life Forum』(2009、13年)
デイナ・スティーブンス『That Nepenthetic Place』(2010年) 
カーロ・デローザ『Brain Dance』(2009年)
アンブローズ・アキンムシーレ『Prelude』(2008年)


メテ・ラスムセン+タシ・ドルジ『Mette Rasmussen​ / ​Tashi Dorji』

2018-07-08 14:45:58 | アヴァンギャルド・ジャズ

メテ・ラスムセン+タシ・ドルジ『Mette Rasmussen / Tashi Dorji』(2016年)を聴く。

Mette Rasmussen (as)
Tashi Dorji (g)

このふたりにドラムスのタイラー・デーモンを加えたトリオによる『To The Animal Kingdom』の前日に吹き込まれた演奏である。

タシ・ドルジの音は、もはやインプロとかジャズとか言うよりも呪術と呼ぶべきか。翌日のトリオの方がインパクトが大きいのではあるけれど、このデュオも十分に凄い。やはりそれはメテ・ラスムセンのアルト演奏が身体と直結しているからであって、そうすると、彼女が突破するものが多いほどサウンドのインパクトが強化されるということか。

いや、ソロやクリス・コルサーノとのデュオを思い出せばそうとも限らないか。

●メテ・ラスムセン
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)
メテ・ラスムセン@妙善寺(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy、スーパーデラックス(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy(JazzTokyo)(2017年)
メテ・ラスムセン+タシ・ドルジ+タイラー・デーモン『To The Animal Kingdom』(2016年)
ドレ・ホチェヴァー『Transcendental Within the Sphere of Indivisible Remainder』(JazzTokyo)(2016年)
メテ・ラスムセン+ポール・フラハーティ+クリス・コルサーノ『Star-Spangled Voltage』(2014年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(JazzTokyo)
(2013年)
『Trio Riot』(2012年)


Ken Gトリオ with 村上俊二『The Reason』

2018-07-08 10:48:20 | アヴァンギャルド・ジャズ

Ken Gトリオ with 村上俊二『The Reason』(Noke Jazz、-1995年)。

Kenji Shimizu 清水ケンG (ts)
Shunji Murakami 村上俊二 (p)
Hiroshi Isogane 磯金弘 (b)
Koichiro Kurachi 倉知幸一郎 (ds)

当時聴いたのだが、最近見つけて確保した。

清水ケンGさん(清水ケンG→ケンG→清水賢二)の初リーダー作である。演奏は山口県のポルシェであり、このあと1998年にはSun Shipのやはり最初のアルバム『Live at "Porsche"』が吹き込まれている。両者には村上俊二さんがピアノを弾いているし、その後もMikaramなどのバンドを通じて共演を続けている(本盤の1曲目も「Mikaram」)。

それにしても熱い。Sun Shipにも引き継がれている、どジャズの熱さである。

村上さんの前へ前へと猪突猛進するピアノも既に聴き取ることができる。清水さんは後年のジョー・ヘンダーソンを思わせるスタイルではなく、よりストレートだ。いまはどうなっているのか興味津々。普段は山口や福岡を拠点にしているが、ときどき関東にも出てきて演奏を行っている。いつか機会を見つけて観にいくつもりでいる。

●清水賢二
Ken G『Cry of the Wild』(2008年)
Ken G『Last Winter』(2005年)
清水ケンG『Bull's Eye』(1996年)


高島正志+古池寿浩+秋山徹次「Blues Frozen Xīng ブルース 凍てついた星」@Ftarri

2018-07-08 09:42:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2018/7/7)。

(秋山さんの写真を使っていただいた)

Masashi Takashima 高島正志 (ds, GITM)
Toshihiro Koike 古池寿浩 (tb)
Tetuzi Akiyama 秋山徹次 (g)

ファーストセットはインプロ、セカンドセットは高島さんの作曲。

高島さんのスタイルはかなりユニークだ。GITMというエレクトロニクスからは、明に空間を攻めるサウンドが発せられるのではない。むしろ気が付くとドローン的にたゆたっていたり、突然介入してきたりする。フィードバックが秋山さんのスライドギター、古池さんのトロンボーン、両者のスライドと重なるあたりはかなり覚醒的である。またドラミングは、研ぎ澄ませて選ぶというよりも、ひとつひとつの音要素をそのものとして提示するようだ。

古池さんのトロンボーンは、確信犯的にふたりを横目で視て、仕事であるかのように空間を埋めていった。ときにはふたりと重なり合った。また、秋山さんのギターは、ファーストのアコースティックにしてもセカンドのエレキにしても、この連続的なサウンドの中に響くたびに、たいへんなリアリティのようなものを感じさせた。

セカンドの曲は、テキストや譜面や音の進行のイメージ図が描きこまれたものであった。ファーストのインプロと共通する点がありつつも、ドローンやハウリングから脈動のブルースへと化していくものに感じられた。面白いのは、この工作にあたり、3人の演奏という行為だけが抽出されたように印象に残ったことだった。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●高島正志
高島正志+河野円+徳永将豪+竹下勇馬@Ftarri(2018年)

●古池寿浩
藤井郷子オーケストラ東京@新宿ピットイン(2018年)
ふいご(2008年)

●秋山徹次
ファビオ・ペルレッタ+ロレンツォ・バローニ+秋山徹次+すずえり@Ftarri(2017年)
池田謙+秋山徹次@東北沢OTOOTO(2017年)


永武幹子+齋藤徹@本八幡cooljojo

2018-07-08 08:08:01 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のcooljojoにおいて、永武幹子・齋藤徹デュオ(2018/7/7)。

Mikiko Nagatake 永武幹子 (p)
Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b)

エリントンとモンクの昼。永武幹子さんは驚くほど緊張していたし、齋藤徹さんも思うところがあったに違いない。余韻はだんだん消えていくものだが、今回に限っては妙に大きくなってきて、まだ残っている。またとない時間を共有したのかなと思っている。そんなわけで詳細後日。

1st set:
1. Reflections (Monk) / 2. Four in One (Monk) / 3. Lotus Blossom (Strayhorn) / 4. I Let a Song Go Out of My Heart (Ellington) / 5. Take the Coltrane (Ellington)
2nd set:
1. Jackie-ing (Monk) / 2. Come Sunday (Ellington) / 3. Caravan (Ellington / Tizol) / 4. Ugly Beauty (Monk) / 5. I Mean You (Monk) 

この日は齋藤徹さんの手術後1年。そして7月9日になって、ミシェル・ドネダ、レ・クアン・ニン、今井和雄のトリオによる演奏が松戸の旧齋藤邸で行われる前に、吉報がもたらされたのだった。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●永武幹子
永武幹子+類家心平+池澤龍作@本八幡cooljojo(2018年)
永武幹子+加藤一平+瀬尾高志+林ライガ@セロニアス(2018年)
永武幹子+瀬尾高志+竹村一哲@高田馬場Gate One(2017年)
酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)
永武幹子+瀬尾高志+柵木雄斗@高田馬場Gate One(2017年)
MAGATAMA@本八幡cooljojo(2017年)
植松孝夫+永武幹子@北千住Birdland(JazzTokyo)(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)

●齋藤徹
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
DDKトリオ+齋藤徹@下北沢Apollo(2018年)
川島誠+齋藤徹@バーバー富士(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
長沢哲+齋藤徹@東北沢OTOOTO(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
ローレン・ニュートン+齋藤徹+沢井一恵『Full Moon Over Tokyo』(2005年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』(1996年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 


カンパニー『Fictions』

2018-07-07 10:25:40 | アヴァンギャルド・ジャズ

カンパニー『Fictions』(Incus、1977年)。レコード。

Misha Mengelberg (p, celesta, voice)
Lol Coxhill (sax, voice)
Steve Beresford (p, toy, voice)
Derek Bailey (g, voice)
Ian Croall (voice)

デレク・ベイリーの著書『インプロヴィゼーション』を朗読しながらのインプロヴィゼーション集。

その言葉はやはり明確であり、同時に人をはぐらかすようでもある。言葉の存在によるものか、ベースやドラムスがいないためか、インプロも上方で端正に繰り広げられている印象を覚える。その意味ではかれらの演奏者としての凄みをダイレクトに与えるものではない。

しかし、決定的に皆が変態である。ミシャ・メンゲルベルグのピアノは猫のようなタッチ・アンド・逍遥。ロル・コクスヒルもまただらりと脱力し、それを貫く。

●デレク・ベイリー
今井和雄 デレク・ベイリーを語る@sound cafe dzumi(2015年)
デレク・ベイリー晩年のソロ映像『Live at G's Club』、『All Thumbs』(2003年)
デレク・ベイリー『Standards』(2002年)
ウィレム・ブロイカーが亡くなったので、デレク・ベイリー『Playing for Friends on 5th Street』を観る(2001年)
デレク・ベイリー+ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Scrutables』(2000年)
デレク・ベイリーvs.サンプリング音源(1996、98年)
デレク・ベイリー+ルインズ『Saisoro』(1994年)
田中泯+デレク・ベイリー『Mountain Stage』(1993年)
1988年、ベルリンのセシル・テイラー(1988年)
『Improvised Music New York 1981』(1981年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、91、98年)
デレク・ベイリー『New Sights, Old Sounds』、『Aida』(1978、80年)
『Derek Bailey Plus One Music Ensemble』(1973、74年)
ジャズ的写真集(6) 五海裕治『自由の意思』
トニー・ウィリアムスのメモ

●ミシャ・メンゲルベルグ
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』(2011年) 
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)

●ロル・コクスヒル
ロル・コクスヒルが亡くなった(2012年)
ロル・コクスヒル+ミシェル・ドネダ『Sitting on Your Stairs』(2011年)
ロル・コクスヒル+アレックス・ワード『Old Sights, New Sounds』(2010年)
ロル・コクスヒル、2010年2月、ロンドン
ロル・コクスヒル+ジョン・エドワーズ+スティーヴ・ノブル『The Early Years』(2004年)
突然段ボールとフレッド・フリス、ロル・コクスヒル(1981、98年)
フィル・ミントン+ロル・コクスヒル+ノエル・アクショテ『My Chelsea』(1997年)
コクスヒル/ミントン/アクショテのクリスマス集(1997年)
G.F.フィッツ-ジェラルド+ロル・コクスヒル『The Poppy-Seed Affair』(1981年)

●スティーヴ・ベレスフォード
オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス+スティーヴ・ベレスフォード『Check for Monsters』(2008年)


アンドリュー・シリル+ミルフォード・グレイヴス『Dialogue of the Drums』

2018-07-07 00:06:33 | アヴァンギャルド・ジャズ

アンドリュー・シリル+ミルフォード・グレイヴス『Dialogue of the Drums』(IPS、-1974年)。レコード。

Andrew Cyrille (ds, perc)
Milford Graves (ds, perc)

文字どおり、ふたりの傑出した打楽器奏者による対話である。これを聴いていると、数限りないリズムや放出される熱量にやられて、冷静に聴き分けていたはずが朦朧としてしまう。

確かに個性はそれぞれ発揮している。シリルは細かく繊細で解像度の高いドラミングを行い、グレイヴスはプロレスラーのごとく身体全体をもって叩くようなダイナミズムを持つ。しかし、それだけではない。シリルの力強さはグレイヴスに負けるものではないし、グレイヴスも荒々しさの中に独特の細かいリズムパターンを持つ。

こんなものをライヴで観たならどうなることか。トリップする者続出か。それとも音だけでは判らない違いを認識して覚醒するか。

●アンドリュー・シリル
ベン・モンダー・トリオ@Cornelia Street Cafe(2017年)
トリオ3@Village Vanguard(2015年)
アンドリュー・シリル『The Declaration of Musical Independence』(2014年)
アンドリュー・シリル+ビル・マッケンリー『Proximity』(2014年)
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard(2014年)
ベン・モンダー『Amorphae』(2010、13年)
トリオ3+ジェイソン・モラン『Refraction - Breakin' Glass』(2012年)
アンドリュー・シリル『Duology』(2011年)
US FREE 『Fish Stories』(2006年)
アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』(2005年)
バーグマン+ブロッツマン+シリル『Exhilaration』(1996年)
ビリー・バング+サン・ラ『A Tribute to Stuff Smith』(1992年)
1987年のチャールズ・ブラッキーン(1987年)
『Andrew Cyrille Meets Brötzmann in Berlin』(1982年)
アンドリュー・シリル『Special People』(1980年)
アンドリュー・シリル『What About?』(1969年) 

●ミルフォード・グレイヴス
ミルフォード・グレイヴス+ビル・ラズウェル『The Stone - April 22, 2014』(2014年)
ミルフォード・グレイヴス+ビル・ラズウェル『Space / Time * Redemption』(2013年)
デイヴィッド・マレイ『Saxophone Man』(2008、10年)
ブラクストン、グレイヴス、パーカー『Beyond Quantum』(2008年)
ローウェル・デヴィッドソン(1965年)
ポール・ブレイ『Barrage』(1964年)