海や山、大自然界での遭難から生き延びた、或いは健闘むなしく消え去った人々の物語は多い。そこに人間の知恵と勇気と時には愛と、そして偉大な大自然の脅威を感じることができるから、この手の本は読んで飽きない。できうればこの平凡な中年男にも何らかの力を。。。
そんなジャンルの一冊だと思って読み始めると、実は本書のキモはそこになかった。前半はタイトル通り、エベレスト(チョモランマ)公募登山隊に参加し一度は死にかかった著者が、奇跡的に生還し地表に戻るまでのストーリー。これはこれで読み応えがある。「八甲田山」や「南極スコット隊」とも違う、暴風雪との闘い。実はこの時の遭難で、日本人女性クライマーの難波康子さんが亡くなっている。そして彼女の最期の時に隣に居たのが著者だったと言う。
そうした「遭難記」が終わり、時代を遡り著者の生い立ちから辿られる後半こそが興味深く、同時に不快感を覚える。なぜか。あまりに身勝手なその姿に。赤裸々に告白する姿は潔いとも言えるが、同時に言い訳しているようで良い感じはしない。「奇跡の生還」で身体はボロボロになりながらも心はすっかり変わったらしいが。。。もっとも、著者の奥さんも奥さんだなぁと思わずにいられない。この本は登山記、冒険記ではなく夫婦記・家族物語として読むべきだ。積木くずし、くずしたのはお父さん。いや、この家庭はもともと積まれていなかったのかも…
私の父の仕事仲間で、山好きの人が居た。その人が言った「僕はね、雪山賛歌って歌が嫌いなんだ。『俺たちゃ町には住めないからに~』なんて、町にも住めない=社会のルールを守れない奴等はまして山になんか来ちゃダメなんだよ!」という言葉を数十年ぶりに思い出した。
2007年10月15日 夕食の食堂にて読了
そんなジャンルの一冊だと思って読み始めると、実は本書のキモはそこになかった。前半はタイトル通り、エベレスト(チョモランマ)公募登山隊に参加し一度は死にかかった著者が、奇跡的に生還し地表に戻るまでのストーリー。これはこれで読み応えがある。「八甲田山」や「南極スコット隊」とも違う、暴風雪との闘い。実はこの時の遭難で、日本人女性クライマーの難波康子さんが亡くなっている。そして彼女の最期の時に隣に居たのが著者だったと言う。
そうした「遭難記」が終わり、時代を遡り著者の生い立ちから辿られる後半こそが興味深く、同時に不快感を覚える。なぜか。あまりに身勝手なその姿に。赤裸々に告白する姿は潔いとも言えるが、同時に言い訳しているようで良い感じはしない。「奇跡の生還」で身体はボロボロになりながらも心はすっかり変わったらしいが。。。もっとも、著者の奥さんも奥さんだなぁと思わずにいられない。この本は登山記、冒険記ではなく夫婦記・家族物語として読むべきだ。積木くずし、くずしたのはお父さん。いや、この家庭はもともと積まれていなかったのかも…
私の父の仕事仲間で、山好きの人が居た。その人が言った「僕はね、雪山賛歌って歌が嫌いなんだ。『俺たちゃ町には住めないからに~』なんて、町にも住めない=社会のルールを守れない奴等はまして山になんか来ちゃダメなんだよ!」という言葉を数十年ぶりに思い出した。
2007年10月15日 夕食の食堂にて読了