本書は、自動車とそれを取り巻く環境から、ニッポン社会を論じようという趣旨の本らしい。なので個々のメーカー・車種の解説などは皆無に等しく、クルマはあくまで研究題材として扱われるのみである。それは良い。
のっけから「江戸論」である。次いで「高級論」「ジャポニズム論」…と続き、最後に「自動車進化論」で終わるのだが、何となく全般的にニッポン社会・文化を批判する色合いが強く、さらに研究とは呼べぬ安易な比較に過ぎないと思われる箇所も多く、読んでいて好感の持てる箇所は少ない。それに著者ってあまり自動車産業や道路行政に詳しくないんじゃない?裏付けのない論理展開は見苦しいのだ。
と言う自分自身、自動車産業および交通行政について研究したこともなければ生活の糧としているわけでもない。昔は多少のクルマ好きだった程度である。決して著者と自分の考え方や意見が異なるから感想を厳しくするのではなく、考え方のステップが短絡的過ぎたり、比較の根拠が曖昧すぎるのを指摘しているので為念。
もちろん優れた指摘もある。「自動車行政論」などは根拠資料が明示され提案内容がより具体的になれば、とても読み応えのある一文である。だがしかし、それは全編の印象を覆すには至らない。ミステリー作家としては著名な方だが、評論家としてはどうだろうか。
2008年9月5日 JL139機中にて読了
のっけから「江戸論」である。次いで「高級論」「ジャポニズム論」…と続き、最後に「自動車進化論」で終わるのだが、何となく全般的にニッポン社会・文化を批判する色合いが強く、さらに研究とは呼べぬ安易な比較に過ぎないと思われる箇所も多く、読んでいて好感の持てる箇所は少ない。それに著者ってあまり自動車産業や道路行政に詳しくないんじゃない?裏付けのない論理展開は見苦しいのだ。
と言う自分自身、自動車産業および交通行政について研究したこともなければ生活の糧としているわけでもない。昔は多少のクルマ好きだった程度である。決して著者と自分の考え方や意見が異なるから感想を厳しくするのではなく、考え方のステップが短絡的過ぎたり、比較の根拠が曖昧すぎるのを指摘しているので為念。
もちろん優れた指摘もある。「自動車行政論」などは根拠資料が明示され提案内容がより具体的になれば、とても読み応えのある一文である。だがしかし、それは全編の印象を覆すには至らない。ミステリー作家としては著名な方だが、評論家としてはどうだろうか。
2008年9月5日 JL139機中にて読了