2008年9月15日 しんびん紀行（４）

　パッケージツアーだと５日間なんてところですが多忙な我々もう帰ります。でも今回は本当に良い息抜きになりました。反動が怖いです。リゾートで休養して仕事へのエネルギー充電なんてウソですね。放電しっ放し、過放電かもしれません(^^;

　不幸にも来た時と同じ機材、行きに変えなければ席まで同じでした…帰りもひたすら映画さんまい、おかげで寝るヒマがありません。特筆すべきは機内食の不味さで、Ｃしか乗らない櫃間氏(仮名)は特にショックが大きいようでした。６月に乗った広州→成田のＹメシは特筆モノの旨さだったんですけどね…やはり外地のケータリング会社によって随分と左右されるものです。よっぽど「お客様の声」の用紙を貰って帰ろうかと思いましたが止めときました。

　これから期末に向けてちょっと忙しくなる筈なのですが、なんかこう…そういうのに追い立てられる生活が殊更に虚しく思える、ちょっと豊かな時間を過ごしすぎたかもしれません。

家田荘子著 「ラブ・クライシス」(集英社文庫)

　サブタイトルは「世紀末人間の危険な欲望」。

　自分で本書のコメントに書いている通り、家田荘子ってちょっとタブーっぽいテーマを突っ込んで書くのが好き、というイメージがある。だってそうじゃん、ねぇ？ご本人にとっては「タブーだから書く」という気はさらさら無く、自然と自分の関心が向いたからということらしいのだが。

　本書が書かれたのは10年以上も前で、今とはAIDSに関する認識も知識(理解)も大幅に異なっていた。そこは読む前に頭に入れておかなければならない。そうした上で当時この本がセンセーショナルに扱われた事実を思い出してみる。。。確かに話題作には成り得るテーマだ、だけど本当に内容に価値があっただろうか？

　少なくともいま読んでみた限りでは、AIDS蔓延に警鐘を鳴らすという意味では説得力に乏しく(具体的統計の引用等が少ない)、「ビーチボーイ」や「ぶら下がり」も行動の実態を紹介するだけでその結果の患者を描いているわけではない。

　もしAIDS蔓延を憂いて警告したい意図があるのであれば、好き勝手に遊んだ結果発症し、友人や親兄弟すらも遠ざかり淋しく朽ちてゆく患者を冷徹にレポートすべきだろうし、薬害AIDSを訴えたければそういう調査報告ができよう。単にAIDSという言葉で人々の好奇心を煽り著作を広めようとする意思があったとは思えないが、例え状況が今と異なっていたにせよ、もう少し掘り下げて書くことはできなかったものかなと思えて仕方がない。

　2008年9月14日　シンガポールのホテルにて読了