漂白の俳人とか奇才とか色々と評価される種田山頭火だが、断片的に幾つかの句を知っているだけでまとめて読んだことはない。かといってずらずらと句が並べられてあるだけの本は面倒で読む気がしない。そうしたところ、ちょっと伝記風に彼を描きかつ句が収められた本があったので取り組んでみた。
やはり読むのに骨が折れる。一句読んでは考え(味わう、には程遠い)、解説を読み、また考え…の繰り返し。それにしても著者は良くこれほどに評じ断じられるものだ。まるで見たかのように(笑)。
うしろ姿のしぐれてゆくか
分け入っても分け入っても青い山
あたりは有名で、以前に一度聞いて覚えたほど気に入った句なのだけど、今回ちょっとしんみりしちゃったのが
かなしい旅だ何というバスのゆれざまだ
何がかなしいのか、「悲しい」より「哀しい」だろう、旅のさなか、ふと己の人生でも振り返ったのか、それとも行き先を案じているのか。平坦でない路は人生そのものなのか。おんぼろバスは自分の生活そのものか。。。旅のさなかふと弱気になる様、何となく不肖ワタクシも見に覚えがございます。
酒で失敗し他人に無心を繰り返す、素面に帰ってはそんな己を嘆く、神経衰弱になる…そんな人間的弱さや繊細さが山頭火の魅力だと言う人もいるが、それには同意しない。だからそのような「自省の句」は読んでも心に響かない。彷徨い歩いていてふと目を留めた景色、道端の花、そういうのを詠んだ時の山頭火は良い。
いくら旅が好きでも、さすがにこうした人生は真似できないなぁ。そもそも彼は旅が好きで「行乞」したワケでもなかろう。でもきっかけがどうであれ、各地を歩きつつ感じ考え句を詠んだことは間違いない。
2008年9月19日 打合せの合間の喫茶店にて読了
やはり読むのに骨が折れる。一句読んでは考え(味わう、には程遠い)、解説を読み、また考え…の繰り返し。それにしても著者は良くこれほどに評じ断じられるものだ。まるで見たかのように(笑)。
うしろ姿のしぐれてゆくか
分け入っても分け入っても青い山
あたりは有名で、以前に一度聞いて覚えたほど気に入った句なのだけど、今回ちょっとしんみりしちゃったのが
かなしい旅だ何というバスのゆれざまだ
何がかなしいのか、「悲しい」より「哀しい」だろう、旅のさなか、ふと己の人生でも振り返ったのか、それとも行き先を案じているのか。平坦でない路は人生そのものなのか。おんぼろバスは自分の生活そのものか。。。旅のさなかふと弱気になる様、何となく不肖ワタクシも見に覚えがございます。
酒で失敗し他人に無心を繰り返す、素面に帰ってはそんな己を嘆く、神経衰弱になる…そんな人間的弱さや繊細さが山頭火の魅力だと言う人もいるが、それには同意しない。だからそのような「自省の句」は読んでも心に響かない。彷徨い歩いていてふと目を留めた景色、道端の花、そういうのを詠んだ時の山頭火は良い。
いくら旅が好きでも、さすがにこうした人生は真似できないなぁ。そもそも彼は旅が好きで「行乞」したワケでもなかろう。でもきっかけがどうであれ、各地を歩きつつ感じ考え句を詠んだことは間違いない。
2008年9月19日 打合せの合間の喫茶店にて読了