たまたま見かけた本だが、読もうと思った理由は3つ。「アメリカ」「バス」それに何と言っても「城山三郎」。え?あの城山三郎がバス旅行?やはり晩年の姿がイメージにあるので、何ヶ月もグレイハウンドで放浪する姿なんて想像もつかないのだ。そうじゃありません奥様?でも本書は紛れも無く、あの城山三郎がアメリカ大陸をバス旅行した際のあれこれを綴ったものなのである。
だが紛れもない事実は逆に、本書の古さを物語る。著者がバス旅行をしたのは2回とのことだが、二度目ですら30年前だ。当然、データは使えない。町並みも人も変わってしまったかもしれない。
バスの旅は愉快なことばかりではない。どの交通機関より庶民的ゆえに貧困層も乗ってくる。超デブとの相席、物騒な輩との相乗り。この点は現代でも変わらないかもしれない。黒人の観察が鋭い。今よりもっと差別の残っていたであろう当時だから、その鬱憤を晴らすかの如く車内で傍若無人に振舞う黒人乗客。似たような光景をAMTRAKの車内で見たことがある。
サンフランシスコから東へ。折り返して東へ。一回目は4ヶ月にわたったと言うからハンパではない。本書は旅日記ではあるが、アメリカの市民観察の記録でもある。著者の作品群、多くが「人」を描いていることを考えれば、こうした観察癖がその後に結実している、とこじつけられないこともない。
田中小実昌が「解説」を書いているがオソマツ。
2010年1月26日 出張の埼京線にて読了
だが紛れもない事実は逆に、本書の古さを物語る。著者がバス旅行をしたのは2回とのことだが、二度目ですら30年前だ。当然、データは使えない。町並みも人も変わってしまったかもしれない。
バスの旅は愉快なことばかりではない。どの交通機関より庶民的ゆえに貧困層も乗ってくる。超デブとの相席、物騒な輩との相乗り。この点は現代でも変わらないかもしれない。黒人の観察が鋭い。今よりもっと差別の残っていたであろう当時だから、その鬱憤を晴らすかの如く車内で傍若無人に振舞う黒人乗客。似たような光景をAMTRAKの車内で見たことがある。
サンフランシスコから東へ。折り返して東へ。一回目は4ヶ月にわたったと言うからハンパではない。本書は旅日記ではあるが、アメリカの市民観察の記録でもある。著者の作品群、多くが「人」を描いていることを考えれば、こうした観察癖がその後に結実している、とこじつけられないこともない。
田中小実昌が「解説」を書いているがオソマツ。
2010年1月26日 出張の埼京線にて読了