日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
お気軽にコメント下さい。

【映画】グランド・ジャーニー

2020-08-11 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 なんか以前にも似たようなストーリーの映画があったな、でも観ようと思いつつ観逃したなと思い出しながら本作を観に行った。レイトショーで観客4人。

 舞台はフランスと、ちょっとノルウェー。絶滅の惧れがある、ノルウェーとフランスを行き来するはずの渡り鳥(ガン)の保護のため、博物館勤務の父がガンを孵化させ「渡り」を覚えさせようと奔走する。ガンの孵化などのため渡りの南端であるフランス南部の湿地にいやいや同行する、オンラインゲーム漬けで引き篭もりがちな息子だが、孵化した雛たちの世話を手伝わされているうちに自らものめり込み、渡りを先導するためのウルトラライトプレーンの操縦を覚え父や協力者と共にノルウェーに渡る。そして、アクシデントにより父でなく息子がフランスへ向かう旅に舞い上がってしまった…

 作品紹介を見てストーリーは読めた。観たかったのは空撮による景色。VFXもあるためどこまでが本当と言うのはあるが、秋のノルウエーの突き刺すような空気感、フランスの畑や湿地の美しさを大いに堪能できた。飛行機でパリCDG空港に到着すると、降下中ずっと美しい畑を眺めることができる。GWなど、季節的に最高だ。その度にフランスは一大農業国だと思う。本作を観て強く思い出した。いや、親子の物語とか自然保護への世間の無関心とか脱法に対する国民性の違いとか、他にも感じることは沢山あったんですよ。

 あと作中、本当に食事ごとにテーブルワイン、いいねえ。

 2020年7月25日 川崎・チネチッタにて
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【本】湯浅 誠著 「反貧困-「すべり台社会」からの脱出」(岩波新書)

2020-08-11 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 「年越し派遣村の村長さん」として名を知られた著者による、現代日本の貧困層の実情と、そういう人々への行政の対応や民間による支援の実態。初版は10年以上前に出されている。もうそんなになるのか。

 「うっかり足を滑らせたら、どこにも引っかかることなく、最後まで滑り落ちてしまう」日本社会を著者は「すべり台」と表現した。ついでに付け加えれば、今の日本は一旦そうなったら二度と這い上がることのできない「蟻地獄」構造であるとも言えはしまいか。自分は大丈夫と思える人は幸せだ。ちょっと大きな病気をして、休業でも給料が出るサラリーマンは良いがそうでない人は一気に転落だ。サラリーマンとて住宅ローンや子供の養育費などがあれば、経済的に厳しくなる日は遠くない。

 著者が必要と説くのは「溜め」=ストック。直ぐに思い付くのはお金だが、それ以外にも人間関係、精神的なもの(自信や自尊心)。それって幸福の尺度と同じだな。さて、自分は?ちょっと心許ない。どれも、慌てて一朝一夕に準備できるものではない。人間関係に関しては、似たようなことはこの前に読んだ江上剛さんも書いていたね。

 色々と書いても、具体的な政策提言に至っていない点が読者は不満であろうと著者は認めている。知らなかったが東大出なんですね。そのせいか、(信頼性を云々するのはともかく)統計データによる裏付けがあったり、判り易いストーリーや事例紹介で構成されており、貧困支援の入門書として良いのかもしれない。

 新型コロナウィルス騒動による経済活動停滞により大幅な派遣切りやリストラが行われ、本書に書かれたようなネカフェ難民やホームレスが増えることは想像に難くない。我々を含めた社会はどう対応できるだろうか。

 2020年7月25日 自宅にて読了
コメント (2)
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