膨大な読書と知識に裏付けされた鋭いルポや批評で有名だった著者の自伝的作品。語り口調のため、インタビューに答えたものをまとめたようにも見える。
著者を有名にした「田中角栄研究」について多くページを割いているが、それ以前の仕事ぶりの方がある意味、彼が何故そう至ったかを知ることができた。と言っても自分は僅か2,3冊しか著書を読んでいないのだが。
興味深いのは、彼の関心は社会問題などより科学に向いていること、そう言えば本書を読むきっかけとなったのも「宇宙からの帰還」を読んだからだったかもしれない。
昨今のルポライターで、或いは批評家で、彼並みそれ以上に勉強をしてバックグラウンドとした人が、どれほどいるだろうか。お手軽軽佻浮薄になってはいないだろうか。
2024年6月20日 実家より戻る電車にて読了