【ぼちぼちクライミング&読書】

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「ブーリン家の姉妹」(上・下)フィリッパ・グレゴリー

2016年07月22日 20時25分46秒 | 読書(小説/海外)

「ブーリン家の姉妹」(上・下)フィリッパ・グレゴリー


「子なきは去れ」と貝原益軒は言ったが、
「子なきは首を切れ」とまでは言わなかった。
ヘンリー8世は、アン・ブーリンが男子を生まなかった、として首を切ってしまった。
結婚してわずか2年後のことである。(結局、6人と結婚して、2人斬首)
前妻キャサリン王妃と離婚するため、イギリス国教会を作り、バチカンから離反までしたのに。

本書は、そのアン・ブーリンを「妹」の視線から描いている。
悪名の高いアン・ブーリンだが、私は嫌いじゃない。(好きでもないが)
しかし、本書の著者は好きじゃないようだ。
さらに言うと、その血を受けついたエリザベスも嫌いなようだ。
もしかしたら、著者はカトリック教徒なのかも?
だから、英国をプロテスタント(英国国教会だけど)の国にしたアン・ブーリンとエリザベスを腹立たしく思っているのかも知れない。 
読んでいて、そんなことを感じた。

ベストセラーの人気作品だけど、基本となる人物設定が、私の趣味と合致しない・・・。
描き方も、ワイドショー・女性週刊誌のような下世話さを感じた。
(そんな訳で、さほど面白く感じなかったが、様々な思いが湧きあがった)
Anne boleyn.jpgHenry-VIII-kingofengland 1491-1547.jpg
↑アン・ブーリンとヘンリー8世

【おまけ】
急に本書を読みたくなったのは、英国EU離脱。
まったく状況は異なるが、イギリスという国は、他のヨーロッパと違うことをする。
一番の違いが、イギリス国教会を作ってバチカンから離脱したこと。
私の中では、EU離脱とアン・ブーリンが繋がった。
だから、この時代を扱った作品を読みたくなったのだ。

この時代はめまぐるしく為政者が替わる。
ヘンリー8世→エドワード6世→メアリ1世→エリザベス1世
ちなみに「王子と乞食」は、エドワード6世を描いている。
「イルカの家」も16世紀だけど、後半か。
「王子と乞食」を読むと、あまり良い時代じゃなかったように感じるが、
「イルカの家」を読むと、けっこう豊かな時代だったように思える。
いろんな人々がいた、ということか。

【離婚について】「王妃の離婚」佐藤賢一(P66)

 厳密にいえば、カソリックの教義に離婚というものはない。新約聖書、マタイの福音書19の6に「もはやふたりではなく、ひとりなのです。こういうわけで、人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません」とあるからである。コリント人への手紙、第1の7の10、並びに11にも「妻は夫と別れてはいけません。もし別れたのだったら、結婚せずにいるか、それとも夫と和解するか、どちらかにしなさい。また夫は妻を離別してはいけません」とある。こうした教えを守るべく、カノン法も「婚姻の本質的特性は、単一性及び不解消性である」と明記して、あまねく信徒に離婚を禁じている。

 では、意に添わない相手とも、永遠に別れられないかといえば、そういうわけでもなかった。キリスト教徒は事実上の離婚として、「結婚の無効取消」という手続きに訴えることができた。つまり、はじめからなかったことにする、という理屈である。

【はたしてアンに愛はあったか?】「残酷な王と悲しみの王妃」中野京子(P236)

歴史家たちの間でも意見は二分され、定説はない。最初のうち愛していなかったのは確かだ。問題はその後である。一国の王から熱烈なラブレター(ヴァチカンに十七通も残されている。なぜヴァチカンに?それも謎だ)をもらい、他国と戦争になりかけてまで、また宗教改革をしてまで、臣下を処刑し元王妃を退けてまで、自分を求めてくる、国のナンバーワン男を、いつまでも愛さずにいられるものだろうか?

いられる。
その点で、女は男ほど情に流されやすくはない。愛してくれる相手を可愛く思うようになる、というのは男性特有の(不思議な)優しさであり、たいていの女性は嫌なものは嫌なまま、身をまかせたにしてもそれは我慢しているだけだ。だからアンが徹頭徹尾、己の野心だけで行動していた、という説にも説得力はある。
 しかし愛というものの性質を考えるとき、一方通行がそれほど長く続くものだろうか、との疑問が湧く。遠くから恋しているだけなら、たとえ相手に嫌われていようと、十年でも二十年でもあるいは一生でも続けれれるかもしれない。だがヘンリーとアンは、後半、ほぼ毎日のように顔を合わせていた。アンに情のひとつもなければ、いかなヘンリーであれ、恋情を保てたとは思えない。アンの心がわずかずつでも自分に傾いてきたればこそ、そしてある瞬間に魂と魂が響きあったればこそ、愛は成就したのではないか。
ヘンリーのようにではないにせよ、アンもきっと愛したのだ。彼女が愛したとき、ヘンリーはうっすら失望した。手に入った愛は、もういらない・・・・・・。

【ヘンリー八世の逸話】P193
 八世は「イングランドで初めて梅毒にかかった王」との別名もあり、子どもたちに死産、流産、夭折がふつう以上に多かったのはそのせいと言われる。

【ネット上の紹介】
 姉のアン・ブーリンに疎まれた妹メアリーはやがて、宮廷の外に新しい生活を求める。そこには「平凡な男」、スタフォードとの出会いがあった。一方、前の妃を追い出したアンは、栄華の極みを得る。しかし、男の世継ぎを産むことに執着した彼女は、破滅の途をたどり…。のちのエリザベス1世の母、アン・ブーリンと妹メアリーの哀しくも激しい物語は息を呑むクライマックスへ。


「タイムライダーズ」〔1〕-1&2スカロウ,アレックス

2016年01月06日 22時25分38秒 | 読書(小説/海外)

タイムライダーズ〈1〉タイムライダーズ〈2〉 
「タイムライダーズ」〔1〕-1&2スカロウ,アレックス/金原 瑞人/樋渡 正人【訳】

時代も場所も異なるところから、生死の境で救い出された少年少女たち。
あるものは沈没するタイタニックから、あるものは墜落寸前の飛行機から。
2001年のニューヨークを「ベース基地」として集められ、タイムライダーズが結成される。

第一話では、ナチスがアメリカに勝利した世界を描いている。
それを「修正」しようとするタイムライダーズたち。

P66
フォスターはニューヨークのビル群を指さした。
「あるはずのないものが見えるだろう?」
マディは息を飲んだ。「信じられない――ツインタワーだ!」
「そのとおり。貿易センタービルだ」

【ネット上の紹介】
ときは、2040年代。タイムトラベルが可能となり、人の野望が世界の歴史を変えてしまう時代。「ここに残り、死ぬことを選んでもかまわない。さあ、決断のときだ」時代も場所も違うところから、生死の境で救い出された少年少女は、2001年のニューヨークに集められ、タイムライダーズが結成された。狂った現実をもとの世界にもどすために、タイムライダーズの戦いが始まる。


「イルカの家」ローズマリー・サトクリフ

2015年05月31日 20時38分20秒 | 読書(小説/海外)


「イルカの家」ローズマリー・サトクリフ

十六世紀のロンドンが舞台。
孤児となった少女タムシンが、おじさんの家に引き取られるところから始まる。
「黄金の日々」・・・読んでいてそんなフレーズが頭に浮かんだ。
活気あふれるロンドンの風景が、タムシンの視点から生き生きと描写される。
それだけでも読む価値有り。

P108
六月の香草市場は、金色の花でうめつくされます。チェルシーの野で子どもたちが摘んだタンポポの花が運ばれてきて、町の人に売られるのです。デボラおばさんは、金色の花でうまった香草市場を見て、言いました。
「ああ、今年もまた、タンポポのお酒を作る季節になったのね」
(タンポポのお酒、ってポピュラーなものなんですね?!レイ・ブラッドベリの創作かと思っていた)
《ベスト版》文学のおくりもの<br> たんぽぽのお酒 (ベスト版) 

PS
「イルカの家」は、だいぶ前に購入した本。
積んでおいたのを、フト読みたくなった。
著者は、あの有名な ローズマリー・サトクリフ。
このような作品も書くんですね。

【ネット上の紹介】
十六世紀、大航海時代のイギリス。孤児となった少女タムシンは、ロンドンのおじさんの家に引き取られる。船乗りになって大海へ出たいという叶わぬ夢と、自分の居場所を失った悲しみとを胸に秘めて…。にぎやかなロンドンの下町で、日々のささやかな喜びと充足をを糧に生きる、多彩な人々。その姿を温かな共感とユーモアを交えて綴った本書には、サトクリフその人が、色濃く映し出されている。


「解錠師」スティーヴ・ハミルトン

2013年06月13日 23時11分55秒 | 読書(小説/海外)


「解錠師」スティーヴ・ハミルトン

 これはレベルが高い。
それもそのはず、「文春ミステリ」海外部門1位作品。
オリジナルタイトルが「The Lock Artist」。
勘違いしてはいけない、「Rock Artist」ではない!(クライマーは出てこない)
Lock、即ち「錠」のこと。

この作品のすごいところは、ミステリと同時に、すぐれた青春小説であること。
解説を読むと、「本書は、ヤングアダルト世代に読ませたい一般書に与えられる、全米図書館協会のアレックス賞も2010年に受賞している」、と。
主人公の少年は、幼少時の「ある事件」から声を失う。
けれど、彼には2つの才能があった。
絵を描く才能、そしてどんな錠も開く才能。
孤独な少年だが、ふとしたきっかけから、犯罪を犯してしまう。
どんどん深みにはまっていく。
この作品が救われているのは、少女アメリアの存在。

良くできていて、完成度が高い。
ミステリファンじゃなくても楽しめる、と思う。
過去と未来が交錯しながら物語が進む。
そして最期に「錠」が開く。(みごと!)

【ネット上の紹介】
八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。

「英国王妃の事件ファイル1 貧乏お嬢さま、メイドになる」リース・ボウエン

2013年05月22日 21時24分21秒 | 読書(小説/海外)

「英国王妃の事件ファイル1 貧乏お嬢さま、メイドになる」リース・ボウエン

『リース・ボウエン』で、『新刊パトロール』に登録している。
先日発売されたばかり、即購入した。
リース・ボウエン作品は、現在3冊しか日本に紹介されていない。
①口は災い
②押しかけ探偵
・・・そして、本作である。
①②はニューヨークが舞台。
本作は、ロンドンが舞台。
20世紀初頭が背景で、歴史+コージー。

内容は・・・
気の進まない縁談から逃げ出してロンドンにやってきたジョージ―。
お金を稼ぐためにメイドになる。
そんなある日「事件」発生。
1930年代のロンドンの描写が本作の楽しみのひとつ。

結論から言うと、おもしろさでは、「口は災い」に負ける。
もし、リース・ボウエン作品を読んだことがないなら、
「口は災い」から読むことをお薦めする。
でも、こちらも、それなりに楽しめる。
リース・ボウエンのファンなら必読か?

【ネット上の紹介】
20世紀初頭のスコットランド。英国王族でありながら、公爵令嬢ジョージーの暮らしは貴族とは名ばかりの貧乏生活。凍えそうな古城でこのまま一生を終えるのかしら?ところがある日、最悪の縁談を耳にしてしまったジョージーは、思わずロンドンへ逃げ出すことに。そこで生活のためにはじめた仕事は、なんとメイド!王族にあるまじき行動が王妃さまの耳に入らないことを祈りつつ、慣れない掃除に悪戦苦闘する毎日。でも、メイドから見た貴族の生活は意外に面白いかも!?そう思いはじめた矢先、仕事帰りの彼女を待ち受けていたのは、浴槽に浮かぶ死体!初めての仕事に殺人事件まで…ジョージーのロンドン生活は一筋縄ではいかず!?―。

【関連図書】

「ラスト・チャイルド」(上)(下)ジョン・ハート

2012年03月21日 18時21分47秒 | 読書(小説/海外)


「ラスト・チャイルド」(上)(下)ジョン・ハート

人気作品だけあって面白かった。
13歳の少年が主人公。
双子の妹が誘拐されその1年後、って設定。
ゆったりした導入、途中で怒濤の展開となる。
そのきっかけとなるのが、殺人現場を目撃するシーン。
殺される被害者の趣味がクライミング、という設定。
最後に気付いたけど、これが非常に重要な伏線。

「被害者はロック・クライミングをやるみたいですね」
「なんだって?」
ドクター・ムーアは顎をしゃくった。「手を見てください」
ハントはディヴィッド・ウィルソンの両手を調べた。たこ、ひっかき傷、擦り傷がついている。爪はきちんと切りそろえてあるが、汚れている。過去に出会った建設現場作業員はみんなこんな手をしていた。

郡の監察医であるドクター・ムーアとハント刑事の会話。
クライマーがいきなり殺されてしまうのは残念だけど、これが契機となり物語が動き出す。
展開の巧さ、少年の成長が描かれ、後味のよいラスト。
最後にタイトルの隠れた意味も解る仕組みになっている。
さすが超人気作品である。

【ネット上の紹介】
少年ジョニーの人生はある事件を境に一変した。優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。事件後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように…。少年の家族は完全に崩壊した。だが彼はくじけない。家族の再生をただひたすら信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける―早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。英国推理作家協会賞受賞。

PS
最新作「アイアン・ハウス」の評判もよさそう。
 
ジョン・ハート 待望の新作 

PS
少年が主人公のミステリというと「少年時代」(R・マキャモン)を思い出す。
正直な感想を言うと、私はこちらの方が好き。

【「少年時代」ネット上の紹介】
12歳、なにもかもがきらめいて見えていたあのころ…アメリカ南部の田舎町で暮らす空想好きの少年コーリーはある朝、父とともに不可思議な殺人事件を目撃してしまう。そこからコーリーの冒険に満ちた一年間が始まった!底なしの湖に車と共に沈んだ無惨な死体は誰なのか?悪夢にうなされる父はしだいにやつれてゆき、コーリーは現場に残された緑の羽根を手がかりに、謎解きをはじめる。その過程で友や愛犬と体験する忘れ得ぬ体験の数々―誰もが子どものころに持っていながらも、大人になって忘れてしまった魔法を信じる心をよみがえらせ、世界中の読者好きを夢中にさせた珠玉の名作。世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞受賞作。


「音もなく少女は」ボストン・テラン

2010年11月21日 12時12分26秒 | 読書(小説/海外)


オビの文句はこうである。
『いい小説だ。胸に残る小説だ』(by 北上次郎)
・・・まったくそのとおり。
今年の海外小説ベスト、と思われる。
(おそらく毎年恒例年末ランキングでも上位になるでしょう)

いくつか文章を紹介する。
P54
『緋文字』についてフランがクラリッサに説明するシーン。
「本の題よ。私生児を産んだだめに、誰にも見えるように胸にAという字をつけた服を着なければならなかった清教徒の女の話。わたしの母はその話をよく生徒に話していた」フランは紙に書いたAの文字を指さして続けた。「でも、これはほんとうに緋文字だった。なぜなら、この文字は教育や教養を意味するからよ。
でも、教育と教養は問題の多い同盟にもなりうる。なぜなら、選択肢のあることがわかりはじめると、世界というものが自分の知っている以上のものだということがわかると、人は新しいものを求めるようになるから。
あなたのまわりの人たち、あなたの最も近しい人たちはあなたに望かもしれない。要求するかしれない。今のままでいるように。なぜなら、あなたが変われば、そのことが彼らの人生における脅威になるかもしれないから。そもそも言われたとおりにしないということは、言われたとおりにすることよりはるかに大きな危険を冒すことよ」


P149
フランとイヴの会話。
―わたしは神さまのことは誰でも信じてるんだと思ってた。
「それはちがうわ」とフランは言った。
―神さまを信じてなくても天国に行けるの?
「神を信じてなければ」とフランは答えた。「天国なんて必要ないものよ。だって地獄だけがあるものなんだから。この地球に」
(中略)
しばらく歩くと、ヴァレンタイン劇場近くの店先に人だかりができていた。
 みな店の窓に顔を近づけ、中をのぞいていた。みな途方もないショックを受けたような顔をしていた。その店では商品のテレビすべてが大きな音でつけられていた。
テレビの画面では、細い口ひげを生やしたワイシャツ姿の男が結んだネクタイをゆるめて話していた。イヴはその男の唇を懸命に読んだ。―大統領・・・・・・ダラス・・・・・・狙撃。


この作品には、重要な女性が4人登場する。
・・・クラリッサ、フラン、イヴ、ミミ、この4人の人生、特にイヴを中心に語られる。
イヴの人生を語り、ニューヨーク・ブロンクスを語り、合衆国20世紀を語っている。
イヴは聾者として生まれる。
いかにして学校に通い、カメラと出会い、ニューヨーク・ブロンクスで生き抜いたのか?
全部で462頁・・・たっぷり堪能してみて。

【ネット上の紹介】
貧困家庭に生まれた耳の聴こえない娘イヴ。暴君のような父親のもとでの生活から彼女を救ったのは孤高の女フラン。だが運命は非情で…。いや、本書の美点はあらすじでは伝わらない。ここにあるのは悲しみと不運に甘んじることをよしとせぬ女たちの凛々しい姿だ。静かに、熱く、大いなる感動をもたらす傑作。
著者紹介
テラン,ボストン (テラン,ボストン)Teran,Boston
アメリカ、サウスブロンクスのイタリア系一家に生まれ育つ。1999年、『神は銃弾』でデビュー、同作は高く評価され、イギリス推理作家協会新人賞を受賞、「このミステリーがすごい!」第1位、日本冒険小説協会大賞の3冠に輝いた


【参考リンク】
ボストン・テラン『音もなく少女は』

【おまけ】
聾者を主人公にした作品で思い出すのが下記作品「静寂の叫び」、ジェフリー・ディーヴァー作品だ。
聾学校の生徒を乗せたスクールバスが、脱獄囚3人に乗っ取られる。
囚われたスクールバスに乗り合わせた教育実習生メラニーは単独で反撃に出る!
(こちらは完全にエンターテイメント作品・・・でも、見事に聾者の世界を描いている)

【ネット上の紹介】
聾学校の生徒と教員を乗せたスクールバスが、三人の脱獄囚に乗っ取られた。彼らは、廃屋同然の食肉加工場に生徒たちを監禁してたてこもる。FBI危機管理チームのポターは、万全の体制で犯人側と人質解放交渉に臨むが、無残にも生徒の一人が凶弾に倒れてしまう。一方、工場内では教育実習生のメラニーが生徒たちを救うために独力で反撃に出るが…緊迫の展開に驚愕と興奮が相次ぐ、読書界で話題独占の作家の最高傑作。


「押しかけ探偵」リース・ボウエン

2010年07月24日 08時48分02秒 | 読書(小説/海外)

いったい何年待たせるんじゃ?!
怒るぞ、講談社文庫編集部、職務怠慢!
前作「口は災い」2006年6月発売なので、3年も経ったことになる。
いったい何を考えているのか、講談社文庫編集部は。
著者は現在10作目を執筆中、とのこと。
3作目は、早めに出版していただきたい。
(次作はアンソニー賞・歴史ミステリ賞を受賞しているらしい・・・待ち遠しい)

さて、このシリーズの1番の魅力は、20世紀初頭のニューヨークが舞台になっている点。
(だから歴史ミステリ賞を受賞した)
馬車が通るニューヨーク、って映像が魅力。
(頭の中のスクリーンに映像が浮かぶ)
摩天楼が築かれつつあるニューヨーク。
地下鉄工事で穴が掘削されつつあるニューヨーク。
移民が押し寄せつつあるニューヨーク。
9.11は遙か遠い未来、である。
今作では、史実に基づく大統領暗殺が描かれる。
(「理想の国」アメリカは、既に破綻していた)

【ネット上の紹介】
1900年代初め、ニューヨークに住み着いたアイルランド娘のモリーは、想いを寄せるエリート警部のダニエルの反対を押し切って探偵になると宣言。師匠と見込んだヴェテラン探偵のライリーは頑固な女嫌い。何とか口説いて出入りを許された矢先、ライリーが殺されてしまう。図らずも跡を継いだ彼女は犯人を追う。