【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「六月の雪」乃南アサ

2018年11月19日 22時46分19秒 | 読書(台湾/中国)


「六月の雪」乃南アサ

杉山未來は祖母と二人で暮らしている。
祖母は台湾で生まれ、女学生の時、現地で敗戦を迎える。
祖母の入院を契機に、台湾を訪問しようと決意する。
現地の人々に助けられながら、祖母が通った学校や、生家を探すが、
そこには、かつて日本の植民地だった痕跡が数々残っていた。

思った以上に面白かった。
乃南アサさんは、歴史に絡ませた長篇が上手い。
「水曜日の凱歌」然り、「地のはてから」然り、「火のみち」然り。




【おまけ】
洪春霞(こうしゅんか)のキャラクターが生き生きとしている。
彼女がいなければ、もっと暗い作品になった、と思う。

【蛇足】
乃南アサさんは、短篇より長篇の方が巧いし面白いと感じる。
逆に、永井するみさんは、長篇より短篇の方がいい。
池波正太郎さんも、同様に感じる。

【ネット上の紹介】
入院した祖母を元気づけるため、32歳になった杉山未來は祖母の生地である台湾の古都、台南を訪れる。優しくてなぜか懐かしい国。そこで未來は戦前の日本人の涙と無念を知り、台湾人を襲った悲劇に驚く。そしてようやくたどり着いた祖母の生家は、地獄の家へと変わり果てていた。「わたしは誰も愛さないなんて生き方はしたくない!」そのとき未來が下した人生の決断とは―。


「紅茶スパイ 英国人プラントハンター中国をゆく」サラ・ローズ

2018年03月02日 20時30分39秒 | 読書(台湾/中国)
 
 


「紅茶スパイ 英国人プラントハンター中国をゆく」サラ・ローズ

私事で恐縮ですが、普段、緑茶か紅茶を飲んでいる。
コーヒーは体に合わないので。
このタイトルも、もし「コーヒースパイ」なら読まなかったでしょう。
「紅茶スパイ」…なにそれ?興味津々、と。

さて、コーヒーも紅茶もカフェインを含んでいる。
「コーヒーが合わない」と言うと、「紅茶のほうがカフェイン多いんじゃないの?」と言われる。
それに対する回答もある。
P178
1ポンドあたりのカフェインの量は、紅茶のほうがコーヒーより多い。だが1ポンドの紅茶があれば二百杯近い紅茶が淹れられるが、1ポンドのコーヒー豆ではせいぜい四十杯のコーヒーしか淹れられない。カップ一杯分のカフェインについて言えば、紅茶はコーヒーのおよそ半分しか含まれない。一方、緑茶のカフェインは紅茶の三分の一、コーヒーの六分の一だ。つまりコーヒーを約二杯飲むと眠気や疲れが取れる。それは紅茶四杯分、緑茶十二杯分に相当する。それだけの量の紅茶や緑茶を飲める時間や膀胱を持ち合わせている人は、まずいないだろう。

P2
中国は茶の販売で得た銀貨で、イギリス商人からインド産のアヘンを買い、その代金を支払うようになった。いわゆる三角貿易[イギリスの綿製品をインドへ、インドのアヘンを中国へ、中国の茶をイギリスへ輸出していたので「三角貿易」と言われた]の始まりだ。

P26
東インド会社は多くの貿易相手国の実質的な支配者になり、領土を広げ、貨幣を鋳造し、軍隊を指揮した。条約に署名し、戦争を開始・終結し、法律を作り、課税制度を確立した。東インド会社はいまや国家であり、世界経済におけるまったく新しい存在となった。

P30
イギリスは百年前から外交ルートを通じて茶の製法を知ろうとしていたが、中国は決して明かそうとはしなかった。

P55
中国のバラがイギリスに紹介されるまで、イギリスにはシンクのバラはなかったと言われている。だから薔薇戦争(1455-85)でランカスター家は深紅のバラを紋章にできるわけがなく、ただの薄いピンクのバラだったはずなのだ。

P157
洪秀全は客家出身だった。客家は正当な漢民族であるが、戦乱を逃れるために中原から地方に移住したため、漢民族としての社会的地位を十分に享受することはなかった。客家は地方で農民となったが、女性は昔からの纏足の風習に従わなかった。そして中国南部に定住して何百年にもなるが、地元の人たちからは相変わらず「よそ者」として見られていた。(鄧小平が客家出身と言われている)

P194
世界征服を目指すイギリス海軍は、砂糖、紅茶、アヘン貿易で稼いだ金で軍備を強化し続けることができた。アヘンなくしてはインド貿易の繁栄はありえなかっただろうし、インドなくしてはナポレオン戦争後のイギリス植民地政策は失敗していただろう。

P242
良質の脂を使うことが、新しいエンフィールド銃にとって必要不可欠となった。
会社が選んだのはウシとブタの混合脂だった。(なんと無神経な!インド北部にはイスラム教徒の兵士がおり、信仰の篤いヒンドゥー教徒の兵士もいて、聖なる牛の死体には触れない)

P243
1857年1月のある日、カルカッタに近いダムダム兵器廠で働く生まれの卑しい肉体労働者が、バラモンのシパーヒーに向かって「だんなたち(ヨーロッパ人)はウシとブタの脂に漬けた薬包をあんたにかみ切らせるようだが、そうなったらあんたのカーストはどうなるのかね?」と言い放った。

P246
シパーヒーの反乱により、傀儡政権として東インド会社と結託してきたムガル帝国は終焉を迎えた。

P247
反乱が最終的に鎮圧されると、イギリス議会はインドにおける東インド会社の特権をはく奪し、その特許状を無効にした。議会の署名ひとつで、東インド会社は消滅したのだ。

P254
ついに1750年頃には、イギリスの磁器工場磁器焼成の秘密を発見し、新しい産業が誕生した。
(中略)
こうした技術進歩を利用した初期の陶器職人のひとりがジョサイア・ウェッジウッドであり、彼の孫のひとりが、ロバート・フォーチュンと同時代人であるチャールズ・ダーウィンだ。(ウェッジウッドやマイセンをありがたがる前に、伊万里焼を見なおした方が良い、と思うけど…フレディ・マーキュリーは伊万里のファンだったそうだ。本物の分かる男だ)

【ネット上の紹介】
19世紀、中国がひた隠ししてきた茶の製法とタネを入手するため、英国人凄腕プラントハンター/ロバート・フォーチュンが中国奥地に潜入…。アヘン戦争直後の激動の時代を背景に、ミステリアスな紅茶の歴史を描いた、面白さ抜群の歴史ノンフィクション。
一八四五年 中国の〓(びん)江
一八四八年一月十二日 イギリス東インド会社本社
一八四八年五月七日 ロンドン、チェルシー薬草園
一八四八年九月 上海から杭州へ
一八四八年十月 杭州寄りの浙江省
一八四八年十月 長江の緑茶工場
一八四八年十一月 安徽省にあるワンの実家
一八四九年一月 上海
一八四九年三月 カルカッタ植物園
一八四九年六月 インド北西州サハランプル植物園〔ほか〕


「 史記」(11)横山光輝

2018年02月27日 20時30分58秒 | 読書(台湾/中国)


「 史記」(11)横山光輝

これで最終刊。
11巻目は、「列伝」である。

P4
『史記』は王侯貴族の興亡だけでなく歴史の表舞台に出ることもない人物も取り上げている。



P308
老子は言った。
「法律禁令が完備すればするほど盗賊や反徒は増えてくる」と…

【ネット上の紹介】
▼第1話/義に殉ずる▼第2話/男と見込まれ▼第3話/大侠客朱家▼第4話/最後 の侠客▼第5話/酷吏蒼鷹▼第6話/野心家寧成▼第7話/冬の月(前編)(後編) ▼最終話/酷吏時代●主な登場人物/予譲(第1話)、聶政(第2話)、朱家(第3 話)、郭解(第4話)、寧成(第6話)、王温舒(第7話)、杜周(最終話)●あら すじ/紀元前5世紀ごろ、晋では6人の家老が権力闘争を始めていた。予譲は6人の 家老のうちの范氏、中行氏に仕えていたが、役目は使い走り程度。次に仕えた智伯に は才能を認められたものの、智伯は趙一族の軍に討ち取られてしまう。予譲は、その 敵を討とうと決心するのだが…(第1話)。▼戦国時代の斉に、聶政という男がい た。聶政は韓の領内で生まれたが、ふとしたことから喧嘩を起こし相手を斬ってしま う。仇討ちの手が母や姉にも及ぶのを恐れた彼は、斉に身を隠す。そんな彼のもと に、韓の大臣・厳仲子が「恨みを持つ人物を討つ手伝いをしてほしい」と頼みにやっ て来た。この突然の依頼に聶政は大いに戸惑うが…(第2話)。●本巻の特徴/『史 記』は決して王侯貴族の興亡のみを描いたものではない。歴史の転換期に活躍の場を 得られず、表舞台に名を残すことはままならなかったが、人々に語り継がれてきた男 たちのことも記されている。文庫版第11集となる本巻は、『史記』本編には描ききれ なかった知られざる英雄たちの物語である『史記列伝』。「義に殉ずる」「男と見込 まれ」ほか、全8話が収録されている。●その他の登場人物/智伯(第1話)、厳仲 子(第2話)、季布(第3話)●本巻に登場する故事成語・諺・歴史用語など/「士 は己を知る者のために死す」(第1話、第2話)、遊侠の徒(第3話)


「史記」(10)横山光輝

2018年02月25日 20時48分32秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(10)横山光輝

10巻目を読んだ。


P226
大昔から中国にとって、北方の遊牧民族は悩みの種であった。

【参考】
本巻はこれで終了し、次の11巻目は『列伝』となる。

【ネット上の紹介】
▼第49話/栄光と恐怖▼第50話/直言居士・えんおう▼第51話/呉楚七国の乱(前 編)(後編)▼第52話/大単于冒頓▼最終話/禍の男●主な登場人物/陳平、周勃、代王(第49話)、えんおう(第50話)、晁錯(第51話)、大単于冒頓(第52話)、中 行説(最終話)●あらすじ/「呂氏の乱」後の前漢時代。この混乱期に皇帝となった 文帝は、古代からの政道を記した『書経』を太子に学ばせたいと考えた。しかし、始 皇帝の焚書抗儒以降、『書経』を含む四書五経を研究する儒学は衰退。儒学者の数も 激減していた。そんな数少ない儒学者の中に、伏生という優れた人物がいた。だが都 から遠く離れた所に住み、しかも高齢のため、文帝のもとに参内することはできそう にない。そこで文帝は、伏生のもとに自分の代わりの者を送り、儒学を学ばせること にする。その白羽の矢が立てられたのが、晁錯という才能豊かな若者だった…(第 49話)。●本巻の特徴/呂氏一族の反乱は鎮圧され、漢は新しい時代へと向かってい った。だが急激な世代交代は、国士たちの厚い忠義心ゆえに、互いの反目を招くこと になる。そしてついに呉楚七国の乱が起きる。作者・司馬遷が生まれ育った時代を背 景に、様々な思惑が交錯する全6話を収録した『史記』完結集。●その他の登場人物 /文王、恵恵帝、晁錯(第50話)、文帝(第51、最終話)、景帝(第51話)、頭蔓単 于(第52話)、老上単于、軍臣単于、武帝(最終話)●本巻に登場する故事成語・諺 ・歴史用語など/焚書抗儒(第51話)、封禅の儀式(最終話)


「史記」(9)横山光輝

2018年02月20日 20時56分47秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(9)横山光輝

8巻目を読んでから間が開いてしまった。
8巻目までは、自分の住んでいる図書館に在架していた。
しかし、9巻目から置いていない。
しかたがないので、他市に借りに行ってきたのだ。(広域利用カードで)



悪名高い呂后の話
P191
「今 青い犬がわたしに咬みついた」
「はて?わたしどもはお側におりましたが、そのようなものは見ませんでした」

【ネット上の紹介】
"▼第44話/禍、これより始まらん▼第45話/後継者争い▼第46話/呂后専横▼第47話 /呂氏の陰謀▼第48話/呂氏誅殺●主な登場人物/蕭何(第44話)、戚姫(第 45話)、呂后(第46話)、呂后、呂禄、呂産(第47話)、周勃(第48話)●あらすじ /時は前漢の時代。恵帝が没した後、その妻・呂后は帝の一族である劉氏一族を次々 と謀殺していき、呂后の勢力はますます強まっていった。呂后、絶頂の紀元前 181年。この年に起こった日食に不安を感じた呂后は、すぐに祭壇を作らせ厄払いの 儀式を執り行なった。しかし、彼女はその帰路に、青い犬に咬みつかれる幻を見る。宮殿に戻った呂后は、この幻が吉凶かどうかを占い師に訊ねたところ、""如意の祟 り""と出た。如意というのは、かつて呂后が毒殺した王族だった…(第47話)。●本 巻の特徴/長い戦国時代も、劉氏によってようやく終止符が打たれたかに見えた。だ が高祖・劉氏の死をきっかけに、世の中はまたも激変。権力を得た劉邦の妻・呂后に よるすさまじい専横政治が始まる。そして、新しい時代を作るべく、巻き返しを狙う 者たちは…!?「禍、これより始まらん」など、全5話を収録。●その他の登場人物 /鯨布(第44話)、周昌(第45話)、如意(第46話)、灌嬰、陸賈(第47話)。●本 巻に登場する故事成語・諺・歴史用語など/左袒する(第48話)。"


「史記」(8)横山光輝

2017年12月19日 19時41分53秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(8)横山光輝

 
これが韓信の「背水の陣」である。
この中に虞美人もいた。
項羽はこの女性を愛し、いつも側からはなさなかったのである。
「后」「貴妃」「美人」は、女性の身分の官名である。

それにしても漢の陣営からなぜ楚の歌が聞こえるのだ。
(中略)
漢軍は、武器を捨てた楚兵は黙って通した。
…これが「四面楚歌」。

【誤植】
P136
(誤)知恵ある物でも
   ↓
(正)知恵ある者でも

【ネット上の紹介】
"▼第39話/すいすいの合戦▼第40話/背水の陣▼第41話/離間の策▼第42話/四面楚 歌▼第43話/淮陰侯韓信●主な登場人物/項羽、劉邦、韓信(第40話)、陳平(第 41話)●あらすじ/五諸侯を味方につけ、56万人もの大軍となった劉邦軍だったが、わずか3万人の項羽軍に手痛い敗北を喫する。しかし、名将・韓信の活躍でこの危機 を脱し、体制の立直しに成功した劉邦は、その韓信に兵1万5千を与えて、巍・趙征 伐に向かわせた。韓信は、この北伐で""背水の陣""を敷いて、見事に趙軍20万を撃破 したのを始め、数々の大勝利を収めるのである…(第40話)。●本巻の特徴/秦の時 代は終わった。ポスト秦の覇権を争う項羽と劉邦。そして侮れない勢いの韓信。だが 時は迫り、いよいよ項羽と劉邦の最初の直接対決の舞台がやってくる。果して軍配は …!?夕闇の山野。戦い疲れた兵士たちの上に、もの哀しい楚の歌が流れる「四面楚 歌」など、人々の野望をのせた全5話を収録。●その他の登場人物/夏侯嬰(第 39話)、巍豹、龍且(第40話)、虞美人(第42話)、鐘離眛(第43話)●本巻に登場 する故事成語・諺・歴史用語など/背水の陣(第40話)、離間の策(第41話)、四面 楚歌(第42話)●その他のデータ/巻末に、中国史の権威である元拓殖大学教授・伊 達宗義氏によるエッセイ「テロリスト豫譲自刃の橋」を収録。"


「史記」(7)横山光輝

2017年12月16日 20時45分04秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(7)横山光輝


「なるほどこれでは劉邦も東進はできぬな」
「左遷」という言葉はこの時生まれた。

なにっ、あの男が国士無双だと。

人間の諍いの原因はすべて「利」にあるという。
(中略)
『史記』で司馬遷は述べている。

【ネット上の紹介】
▼第34話/関中一番乗り▼第35話/鴻門の会▼第36話/咸陽炎上▼第37話/国士無双 ▼第38話/壊れた友情<前編><後編>●主な登場人物/項羽(第34~37話)、劉邦 (第34~37話)、韓信(第36、37話)、張耳、陳余(第38話)●あらすじ/貧しい平 民の子として生まれた韓信は、秦打倒の戦の中で楚軍の一雑兵として戦っていた。だ が韓信は、楚軍では自分の才能が生かせないと感じていた。そんな折り、関中へ転封 される劉邦軍が兵士を募集しているのを聞いた韓信は、早速関中行きに参加する。あ る事件がきっかけで劉邦にその才能が認められた韓信は、劉邦軍の大将軍に大抜擢さ れる。そして、東進軍の総大将として、項羽を討つために進撃を開始する…(第 37話)。●本巻の特徴/滅亡への道をたどる強国・秦。新たな支配者に駆け上がる のは、力の項羽か、人望の劉邦か…!?関中一番乗りを果たすために、函谷関、武関 …と、それぞれの戦いは続く。「両雄並び立たず」の言葉通り、二人が敵意をむき出 しにした「鴻門の会」など、手に汗握る全5話を収録。●その他の登場人物/彭越 (第34話)、夏侯嬰、蕭何、章邯(第37話)、武臣(第38話)●本巻に登場する故事 成語・諺・歴史用語など/三秦、左遷(第36話)、韓信の股くぐり<股夫>、五大兵 法書、砂嚢の計、国士無双(第37話)


「史記」(5)横山光輝

2017年12月14日 20時21分26秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(5)横山光輝

4と5をアップするのを忘れていた。
先に、6を紹介して、前後してしまった。
本日、4&5を公開。


ついに燕の南境に達した

こうして秦王政は始皇帝を名乗り、皇帝が法であると告げた。三十八歳の時である。

【ネット上の紹介】
"▼第21話/奇貨居くべし▼第22話/ロウアイの乱▼第23話/我れ鳥獣にあらず▼第 24話/刺客ケイカ▼第25話/保身の術▼第26話/始皇帝[1]▼第27話/始皇帝 [2]●主な登場人物/呂不韋(第21、22話)、ロウアイ(第22話)、李斯(第 23話)、ケイカ(第24話)、王翦(第25話)、始皇帝(第26、27話)●あらすじ/諸 国を股にかけた大商人であった呂不韋が趙の都・邯鄲を訪れた時、街角で妙に気にな る若者を見かける。町の者に尋ねてみたところ、その若者は趙の人質である秦の太子 ・安国君の息子の子楚であった。呂不韋は、この若者に物心両面の援助をして秦王に するという、遠大な""投資""を決意する…(第21話)。●本巻の特徴/絶大な権力 を誇り、長大な万里の長城を築き上げた秦の始皇帝。だが、その死は突然やってきた …。権力者の限りない栄光と孤独を描いた「始皇帝」ほか、全7話を収録。●その他 の登場人物/子楚、安国君、華陽夫人、政(第21話)、政、夏太后、昌平君(第 22話)、韓非子、鄭国(第23話)、丹、王翦、樊於期、田光、秦舞陽(第24話)、李 信(第25話)、蒙恬、李斯、徐福、高漸離、張良(第26話)●本巻に登場する故事成 語・諺・歴史用語など/奇貨居くべし(第21話)、千金(第22話)、威陽宮、封禅、焚書抗儒、直道、驪山陵、安房宮(第26、27話)"


「史記」(4)横山光輝

2017年12月14日 20時19分33秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(4)横山光輝



才能のある人物はたとえてみれば錐のようなものだ。錐は袋に入れればたちまち先が突き出るもの

司馬遷は「春申君老いたり」と記している

【ネット上の紹介】
▼第17話/便所の屈辱▼第18話/嚢中の錐▼第19話/老いの野望▼第20話/主を震わ す者●主な登場人物/范雎(第17話)毛遂(第18話)、春申君(第19話)、信陵君無 忌(第20話)●あらすじ/魏の范雎は、学識もあり知恵者でもあった。彼は官僚とし て身を立てたいと思い、諸国を遊説してまわったが、家が貧乏であったため、その旅 も長くは続けられなかった。范雎は生活のため、とりあえず魏の中大夫・須賈に仕 え、魏国の使者の一員として斉に出向く。范雎は賢人として評判が高まり、敬意を表 した斉王は彼に牛肉、酒、黄金を贈った。だが須賈は、正式の使者である自分には何 もないのに、部下の范雎に贈り物が届いたことを不快に思った。帰国後、須賈は宰相 ・魏斉に、范雎が魏の機密を売ったに違いないと報告する。誤解された范雎は捕らえ られ、拷問を受けたうえ、簀巻きにされて便所に放り込まれてしまう…(第17話)。●本巻の特徴/一介の説客から身を興し、あらゆる苦難に耐えて秦の宰相にまで登り 詰めた魏の范雎の忠義と、その一生を描いた「便所の屈辱」ほか、全4話を収録。● その他の登場人物/須賈(第17話)、鄭安平(第17話)、王稽(第17話)、平原君 (第17話)、魏斉(第17話)、信陵君(第17話)、平原君趙勝(第18話)、李同(第 18話)、考烈王(第19話)、李園(第19話)、侯贏(第20話)、朱亥(第20話)、毛 公(第20話)、薛公(第20話)


「史記」(6)横山光輝

2017年12月12日 20時38分14秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(6)横山光輝

6巻目を読んだ。


項羽が剛の人ならば劉邦は柔の人である。

「それは鹿でしょう」
「そなたは」
「……う、馬にございます」
(中略)
「馬鹿」という言葉はこの時生まれた。


「史記」(3)横山光輝

2017年12月09日 20時59分58秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(3)横山光輝

3巻目を読んだ。


「刎頸の友」という言葉は、ここから生まれた。
ロッキード事件の時、国際興業社主であった故・小佐野賢治が国会に証人喚問され
故・田中角栄との関係を問われ「刎頸の友」であると答えたのは有名な話である。

【ネット上の紹介】
"▼第12話/先從隗始〔先ず隗より始めよ!!〕▼第13話/奇謀詭策▼第14話/食客三千 ▼第15話/刎頚の友▼第16話/長平の大合戦●主な登場人物/郭塊(第12話)、田単 (第13話)、孟嘗君(第14話)、藺相如、廉頗(第15話)、白起(第15、16話)●あ らすじ/薛の領主の側室の子として生まれた田文。のちの""戦国の四公子""の一人、孟嘗君である。その才能を評価していた亡父・田嬰の遺言で薛の領主となった孟嘗君 は、情報源である食客を大切にもてなしたため、そのもとには各地から様々な人材が 集まった。政治を論じる遊説家だけでなく、物真似の名人や盗みの名人まで、「何か の役に立つことがあるかもしれない」といって迎えたため、""食客三千人""と言われ るほどであった。ある日、仕えていた斉王の命で秦に赴くことになった孟嘗君は、食 客を引き連れ""虎狼の国""秦へ向かったのだが…(第14話)。●本巻の特徴/古代中 国の戦国時代。強国・秦に対して敢然と立ち向かい、自国・趙を守り抜いた藺相如と 廉頗の友情を描いた「刎頚の友」ほか、全6話を収録。●その他の登場人物/燕王・ 噌、子之、楽毅(第12話)、騎劫(第13話)、田嬰、昭王(第14話)、恵文王、昭王 (第15話)、超奢、超括(第16話)●本巻に登場する故事成語・諺・歴史用語など/ 隗より始めよ、楽毅の手紙(第12話)、鶏鳴狗盗(第14話)、刎頚の友(第15話)"


「史記」(2)横山光輝

2017年12月08日 20時11分37秒 | 読書(台湾/中国)

「史記」(2)横山光輝

2巻目を読んだ。
読んでいて、横山光輝氏の画力に感心した。
小説だと流せる箇所が、マンガだと、どんな服装で背景がどうなっているか具体的に描画する必要がある。ストーリーも分かりやすい。


端午の節句の中国では恨みをのんで死んだ人の怨霊のたたりを静めるための厄除けの風習だという。

秦は思い切った国政の改革を行い超大国にのしあがった。その基礎を作ったのが商鞅である。

【ネット上の紹介】
▼第6話/臥薪嘗胆▼第7話/呉の滅亡▼第8話/因習打破▼第9話/改革者の悲劇 ▼第10話/孫子の兵法▼第11話/業因強国策●主な登場人物/伍子胥(第6話)、句 践、夫差(第6、7話)、西門豹(第8話)、呉起(第9話)、孫武、孫濱(第 10話)、商鞅(第11話)●あらすじ/中国南部の後進国・呉は、臣・楚から亡命した 伍子胥の提案を取り入れて国力増強に努めた結果、天下の大国となった。だが、中央 に進出して天下に号令するためには、隣国の楚を討たなければならない。呉王は、後 顧の憂いをなくして楚と戦うため、呉の南にある小国・越に攻め入った。絶対的に不 利な戦況にあった越であったが、奇策が成功し、呉は思わぬ打撃を受けて退却させら れるばかりか、このときに受けた傷がもとで呉王も死去する。その後を受けて呉王と なった夫差は、伍子胥とともに国力の回復に力を注いだ…(第2話)。●本巻の特徴 /越に殺された父王の恨みを忘れまいと、寝床に薪を敷いた夫差。その夫差への屈辱 を胸に留めるため、苦い肝を嘗めた句践。初志貫徹した二人を描いた「臥薪嘗胆」を はじめ、全6話を収録。●その他の登場キャラクター/文侯(第8、9話)、武侯、田分、公叔、悼王(第9話)、孝公(第11話)●本巻に登場する故事成語・諺・歴史 用語など/臥薪嘗胆(第6話)、牛耳る(第7話)、大夫(第8話)、三老、吮疽の 仁(第9話)、風林火山(第10話)、秦の法(第11話)

「史記」(1)横山光輝

2017年12月06日 20時50分47秒 | 読書(台湾/中国)


「史記」(1)横山光輝

以前から気になっていた作品。
文庫版だと全11巻。
ぼちぼちと読んでみようと思う。

読んでいて感じたのは、王の側近は重要、ってこと。
これにより、国が栄えたり滅んだりしている。
それにしても中国古代史は上昇も下降も激しい。

宮刑とは男根を切りとり宦官になることである。司馬遷この時48歳であった。

何人もの兵隊が交代で平王の死体を打ちつづけた。これが「屍に鞭打つ」の語源である。

【ネット上の紹介】
始皇帝、項羽、劉邦、武帝……。英雄・豪傑たちが次々に登場して、ダイナミックに展開する古代中国の歴史。司馬遷が精根こめて著した世界的な歴史書を、巨匠・横山光輝がコミック化した名作が、文庫版で登場!▼第1話/司馬遷▼第2話/名宰相・管仲▼第3話/驪姫の陰謀▼第4話/漂白の覇者・文公▼第5話/復讐の鬼(前編)(後編)●主な登場人物/司馬遷(第1話)、管仲(第2話)、驪姫(第3話)、文公〔耳子〕(第4話)、伍子胥(第5話)●あらすじ/幼少時から天才の誉れ高かった司馬遷。その才能は誰もが認めるものであったが、漢の官僚となってからは、長く不遇の時代が続いた。しかも彼の才覚がようやく認められつつあった頃、その身に悲劇が起こる。武帝の逆鱗に触れ、男根を切り取られるという屈辱的な刑罰宮刑に処せられてしまったのだ。だが過去の歴史を後世に残さなければならないという、尊敬する父の遺志を継ぐべく、司馬遷は発奮。武帝も刑は与えたものの、彼の才能を高く評価していたので、司馬遷のために「中書令」という新しい役職を作る。司馬遷は、宮廷の書を自由に見ることのできるこの役職をフルに利用し、歴史書の執筆に取り組み、約10年の歳月ののち、全130巻にも及ぶ歴史書を書き上げた。彼が命を懸けて記した一大歴史書「史記」は、こうして完成したのである…(第1話)。●本巻の特徴/中国、前漢の歴史家・司馬遷は、波瀾の半生を経たのち、父・司馬談の遺志を継いで「史記」を完成させた。壮大な物語は、この第1巻から始まる。「司馬遷」、「名宰相・管仲」ほか、全5話を収録。●その他の登場人物/司馬談、武帝、李陵(第1話)、鮑叔、桓公(第2話)、献公(第3話)、恵公[夷吾](第4話)、平王、孫武(第5話)●本巻に登場する故事成語・諺・歴史用語など/封禅の儀式、陰暦、宮刑(第1話)、管鮑の交わり(第2話)、覇者(第4話)、日暮れて遠し、屍に鞭打つ(第5話)


「橘玲の中国私論 」

2017年05月24日 20時21分28秒 | 読書(台湾/中国)


「橘玲の中国私論 」

中国に関する資料、評論作品は数多くある。
それらを著者がピックアップして、要領よく紹介されている。
著者は中国各地を訪問しており、人脈も持っている。
体験談、現地で出会った人の話も紹介されていている。

日本企業で働く中国人の不満
P85
①給料が安い
②中国人を信用しない(「器が小さい」と)
③細かな規則が多すぎる
④無意味な残業を強制させられる
⑤根回しのような暗黙のルールがある
⑥年功序列で昇進・昇級のキャリアアップが遅い
⑦日本人は終身雇用だが中国人には雇用の保障がない
⑧日本人は高給だが、それに見合う仕事をしていない

中国人が日本の役所を見学に来た話
P90
“ほら、日本では役人が住民にぺこぺこ頭を下げてるでしょ。これがほんとうの役人の姿なのよ”

P130-132
人口経済学からすると、2020年頃、中国バブルは崩壊するのではないか、と。
実際、読んでみて。



第一次大戦後のパラダイムシフトについて
P230-231
野放図な植民地獲得(帝国主義)がこうした悲劇を生み出したとの反省点から、アメリカは植民地の放棄と民族自決を唱え、英仏などの戦勝国も現状維持に傾いた。
この「パラダイム転換」によって欧米列強は中国への態度を大きく変え、アメリカは満州国建設に反対し、イギリスも不平等条約の改定に応じるようになった。
 もっとも第一次大戦後のパラダイムの転換は、英仏欄などの植民地利権には手をつけない不徹底なものだった。これが遅れて近代化した国々(ドイツ、日本、イタリア)の不満を生み、連合国(先行近代)と枢軸国(後進近代)のあいだで第二次大戦が勃発した。その終結によって帝国主義は全否定され、民族自決の新しい世界が始まったのだ。

P199
日中は隣国で、いまさら戦争をするわけにはいかない。友好以外の選択肢はないということは、両国民の対多数が同意するだろう。だとすれば今必要なのは、お互いのナショナリズムを認めつつ偏狭なナショナリズムから自由になることだ。

P211-212
江沢民(チアン・ツーミン)
胡錦濤(フー・チンタオ)
習近平(シー・チンピン)Xi JInping
毛沢東(マオ・ツォートン)Mao Zedong

【ネット上の紹介】
世界史上稀な鬼城-ゴーストタウン-を生み出した中国人とはどんなひとたちなのか? 橘玲が旅した驚きから考察した新中国論。「なぜ中国人はひとを信用しないのか」「なぜ中国にはヤクザがいないのか」「なぜ反日なのか」。中国人と中国社会の根底にある深い闇を暴いた!中国10大鬼城-ゴーストタウン-観光案内付き
巻頭特集 中国10大鬼城観光(内モンゴル自治区オルドス―“廃墟都市”観光のメッカ中国の不動産バブルがよく分かる
天津・浜海新区―日本からのアクセスが最良!北京から日帰り見学も可能 ほか)
1 中国人という体験(ひとが多すぎる社会
幇とグワンシ ほか)
2 現代の錬金術(経済成長を生んだゴールドラッシュ
鬼城と裏マネー ほか)
3 反日と戦争責任(中国のナショナリズム
謝罪と許し ほか)
4 民主化したいけどできない中国(理想と愚民主義
北京コンセンサス ほか)


龍應台さんインタビュー記事

2016年01月29日 22時56分21秒 | 読書(台湾/中国)

昨日「台湾海峡1949」を紹介した。
以前からチェックして気になっていた作品であるが、そのような作品は他にも何冊もある。
どうして急に手にとって読みたくなったのか?
それは、台湾の選挙に絡んで、著者・龍應台さんのインタビューが掲載されたから。(2016.1.9朝日新聞)

不安を感じるのは健康的なことですが、不安が恐怖に変わると恐怖の人質になり、外交政策や経済政策を行う時に恐怖に主導されてしまう。最後は自分を傷つけ、代価を払うことにならないか心配です。

中国は日本に歴史に向き合うことを要求している。すばらしい。正しいことです。ではあなた方は文化大革命にどう向き合うのですか?反右派闘争や、多くの国民を死なせてしまった大躍進に対する態度は?抗日戦争で果たした(果たさなかった)役割についても事実を話していない。だから日本を批判する資格が足りないように見えるのです。