「南国港町おばちゃん信金 「支援」って何?“おまけ組”共生コミュニティの創り方」原康子
図書館に入荷しそうにないので、取り寄せ購入で読んだ。
NGOの活動ってこんなことをしてるのか、と勉強になる。
南インドの港町、ビシャカパトナムでの活動――「信用金庫」を立ち上げる話。
P181
日本人の私が今、手に入れているモノを、その村の人が持っていないから貧しい、だから不幸せだと思い込み、日本人と同じモノを持てるようにすることが「援助」であると言うなら、それは大きな間違いだ。彼/彼女らを「貧しい」と決めつけるのは、いつも私のような外部の者だ。「あれがない、これがない。だから不幸です」と村人に言わせてきたのは、私たち「援助する側」だ。
偏見かもしれないが、NGO活動をされる方は、真面目な方が多い、と思う。
文章を読んでいて、少なくともこの著者はとても真面目だし、頭が良い、と感じた。
現地の方の言葉を岐阜弁にしたり、面白くリアルに再現されている。
ただし、思ったほど面白くなかった。
せっかく、おいしい「題材」なのに残念。
現地の方が多数登場するのに、十把一絡げで個性が無い。
スタッフも同様。
(プライバシーを考慮して、つっこんで描けなかったのかもしれない)
せっかくローカルのインドが舞台なのに、風俗が匂い立ってこない。
そこも残念なポイント。
努力の痕を感じるが、全体として地方新聞のコラムの域を出ない。
まぁ、真面目で頭も人柄も良い方の文章って、こんな感じなのかもしれない。
色んな意味で、「もったいない」作品だ。
せっかく良い素材なのに・・・。
(自分でお金を出して買っただけに、久しぶりにネガティブな文章になった・・・申し訳ない)
辛口となったのは、私の要求するレベルが高すぎるからである。
決して、つまらない内容、という訳ではない。
ただ、海外を舞台にしたレポート・・・石井光太、星野博美作品と比べると、あまりに見劣りしてしまうから。
【おまけ】
本人は自ら「おばちゃん」と言いながら、吹っ切れていない。
つまり、おばちゃんになりきっていない。
著者は、あと20年ほどしたら、面白味のある文章が書けるかもしれない。
【ネット上の紹介】
経済第一主義が作り出す、ほんの一握りの「勝ち組」と大多数の「負け組」―超格差社会。しかしここに、勝ち組でも、負け組でもない、“おまけ組”とも呼ぶべきもう一つの道を選んだおばちゃんたちがいる。南国のある港町。彼女らの小さな取り組みが私たちに教えてくれるものとは。国際協力NGOの一員として活動を共にした著者が、自らの「思い出すのも恥ずかしい」数々の失敗話を俎上にのせて、共生、支え合い、支援のありうべき姿を、ユーモア溢れる筆致で鋭く描き出す。
[目次]
第1幕 南国港町おばちゃん信金(鵜匠さんとインドのおばちゃんと赤味噌と―誰かが誰かを援助できる?
給与はインドルピーです―「援助」の仕事はさっぱり…
途上国「援助」における職人技とは?―親方の技を、現場で盗みたい ほか)
第2幕 印度草双紙(インド暮らしスタート
テレビCMとお手伝いさん
大工、電気・水道・電話の修理屋さん ほか)
第3幕 日本のおばちゃんとして―途上国で働く三つの理由(途上国で身につけた「援助しない技術」
勝ち組・負け組・おまけ組
日本国憲法とおばちゃん)